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Interview : September 28, 2011 @ 17:27

プロジェクト『to ku ri』について訊く(前編)



『MERRY ART UNION』の中田茂雄、『ONES STROKE』の鈴木輝永、『beau temps』の益島伸一郎、そして『Smith&Hardy』の福薗英貴、、、4つのアパレルブランドがひとつになり、さまざまな広がりを見せているプロジェクト『to ku ri』。


この『to ku ri』、今春に起こった『東日本大震災』のボランティア活動だったり、支援活動などを行うなど、アパレルブランドの展開だけではなく、プロジェクトは現在もいろいろなモノに変化しつづけている。


今回は、この『to ku ri』プロジェクトのメンバーである中田茂雄さん、鈴木輝永さん、益島伸一郎さん、福薗英貴さん、4人のデザイナーとPRを担当している鳥海陽子さんの5人に、「プロジェクト『to ku ri』とは何ぞや?」とお話を伺ってみた。






☆:『to ku ri』は、いろいろなブランドが集まってひとつのグループを作っているプロジェクトですが、それをやろうと思ったキッカケを教えてください。


鈴木:新しいブランドをはじめるにあたって、中田さんと益島さんのおふたりに声をかけたんです。ふたりとももともとデザインや、ものづくりの現場を経験されてきたんですけれど、ブランドを出した事がなかったし、ボクもブランドを立ち上げるにあたって、フルコレクションというよりは内容の濃いものだけを出したいなと。
そのときに先輩であるおふたりに「そういう形で一緒にやりませんか?」と、声をかけたのがキッカケです。


☆:例えば、コレクションの発表とかは、どういう形でプロジェクトを進めているんですか?


鈴木:不定期ですけれど、ボクからみなさんに声を掛けて、スケジュールを合わせて、「次の展示会はこうしよう」とか、方向性とかも含めて集まって決めていく感じですね。


☆:基本的には鈴木さんが音頭を取っているという感じなんですね。


鈴木:そうです。そう、、、ですよね(笑)?
みなさん、経験もある方なので、そういった中での背景とか、ブレーンとか、そういうモノが集まる事でひとりではできないこと、1+1が2じゃないことも、今後やっていけたらいいなと考えています。


☆:このメンバーのつながりを教えてください。


鈴木:中田さんと益島さんは、元上司です。
昼から夜から、いろいろと先輩に教わってますよ(笑)。


☆:福薗さんは?


福薗:ボクは以前、別のブランドをやっていたときに、益島さんにものづくりの方でお手伝いをしていただいていて、、、そのつながりでです。


鈴木:プロジェクトとしては、都度メンバーが変わっていくという感じですね。


☆:とりあえず、いい意味でまだ未定ということですね(笑)。


鈴木:はい(笑)!


☆:むしろ未来がある感じですよね。


鳥海:それぞれのブランドが独立しているので、プロジェクトの内容によりその都度、その内容に賛同するブランドやメンバーが、出たり入ったりできるような形が、このプロジェクトなんです。
展示会もプロジェクトのひとつであって、それ以外にも今回の東日本大震災のボランティアだったり、支援だったり、そんなことも進めています。
そのときに参加できる人がやるというのが『to ku ri』なんです。


☆:今回は「ARCHIVE」ということで、それぞれブランドさんのシーズンテーマが同じで、解釈が違うというところが面白い部分ですよね。
鈴木さんの『ONES STROKE』は、今季はARCHIVE”発色”というのがテーマですが、それはどこからインスピレーションが湧いたのでしょうか?


鈴木:60年代や70年代の「サイケ」というか、そういった派手な色使いから、やるなら色の数という発想になってですね、それで今回は2型20色という展開にしました。


☆:福薗さんの『Smith&Hardy』は、ARCHIVE “SOBER(ソバー)”というのが今季のテーマですが、これはどう言う意味なんですか?


福薗:“しらふ”とか、そういう意味なんですけれど、、、まじめな服、クリーンなモノをつくりたいというのがブランドの柱であり、イメージなんです。
今回は1回目なので、その言葉をテーマにしました。


☆:益島さんの『beau temps』。今回のテーマはARCHIVE “ミリタリー”なんですね。


益島:もともと自分が好きな部分なんです。
あとミリタリーの服って機能性というか、生きるために必要なものがつまっていますよね。それを日常に生かせるような形にしてみたらどうなるのか、そういう部分を表現したくてそのテーマで展開してみました。


☆:機能性というのは、たとえばどんな部分ですか?


益島:例えば、ボクはよく大きなサンプルを手に持って電車に乗ることが多いんですよ。その時にPASMOが手の部分に内蔵されたらいちいち出さなくて楽だなーとか、サバイバルで生きるための機能性ではなく、いま日常の生活しているときに使える機能性です。
タウンユースだけど、アウトドアブランドと同じくらいの機能性を持っていたり、着心地だったり。。。
洋服屋がつくる機能服というのを、表現したかったんですよ。


☆:中田さんの『MERRY ART UNION』は、テーマがARCHIVE”ネイビー”で”海軍”ということですが、益島さんのミリタリーと雰囲気的には似ていますね。今回はなぜそのテーマだったんですか?


中田:最初はシーズンテーマを「ARCHIVE」ではなく、「ミリタリー」で行こうという話が出ていたんですよ。ボクもボーダーとか、Pコートとか、ダッフルコートとか好きなので。
で、それを着ている部隊はどこだろうと思ったときに、”海軍”だったんですね。だから、海軍を掘り起こして、そのモデルを違う素材で当て込んだら面白いんじゃないかなと。
それでトライしてみました。


☆:特徴としては、どんな感じになったのですか?


中田:Pコートとか、ダッフルコートとか、あとはMA-1タイプのモデルを、ニット素材でつくることに挑戦してみました。


☆:実際やられてみてどうでしたか?
ニットだと、けっこう大変だったんじゃないですか。


中田:そうですね。
まあ、最初のトライとすれば満足はしていませんが、出せる状態にはなったと思います。
チャンスがあれば、それを定番化させていきたいですね。


☆:今季の素材はニットでいくというのは、どうやって決められたんですか?


中田:ニットでトライしたのは2シーズン目なんです。
とはいえ、いつも使ってみたい新しい素材を見つけようと努力はしているんですけれどね。


鳥海:ちなみに、今回のイメージ写真は、カメラマンの方が横須賀まで行って撮ったものなんですよー。


中田:そうです。わざわざ行ってもらったんです。
最初ね、PCから海軍の駆逐艦に国旗がなびいているみたいなイメージで、ブランドのロゴをなびかせて欲しかったんですけれど、それは「ヤバいんじゃないか?」ってなって(笑)。。。
なので、わざわざ横須賀まで行って、ボクの希望の写真を撮ってきてもらって、当て込んでもらったんです。


☆:なるほど。
みなさんイメージがいろいろと凝っていますよね。福薗さんのイメージは?


福薗:それは、切り取って組み立てるとペン立てになるというキットの設計図なんです。


☆:もともと誰かのデザインであったものを使用された感じですか?


福薗:
いえ、オリジナルで手描きで作りましたよ。もともと厚紙でつくったものがあって、それをグラフィックとして使用したんです。
一緒にやっている人が描いたんですけれどね。


☆:益島さんのは”雲”がイメージですが。。。


益島:じつは、それはカシミヤの綿なんです。


☆:カシミヤの綿のイメージということですか?


益島:いえ、先に晴天を撮ってもらって、綿を雲に見立てたんですよ。
ボクのブランド『beau temps』は、「晴天」とか「自由」という意味で、そういう意味でのバックグランドの空と、今回のコレクションでカシミヤのシリーズを作ったのでその綿を撮って合成させたんです。
基本はカットソーで、着心地のいいものを作りたいという思いでやっています。


☆:本物の雲かと思いました(笑)。


鈴木:ちょっとねー、リアルに撮りすぎちゃったんですよ(笑)。


鳥海:
テグスをつかってガンバってましたよ。
カメラマンがノッてきちゃって、何回も撮り直していました(笑)。


☆:本気っぷりが感じますね(笑)。


鈴木:本気過ぎちゃってね(笑)。



(後編へつづく)






to ku ri



http://www.triplearchworks.com/



□プロフィール(写真左から)
・『MERRY ART UNION』
中田茂雄
designer
1973年3月、京都河合玲デザインスクール修了。
1973年5月、株式会社コロネット商会 Chloeアトリエ部門 企画・生産業務。
1985年5月、株式会社ストックマン マリテ&フランソア・ジルボーライセンス部門 プロデュース。
2000年3月、中田商会 設立。デザイン・企画・生産業務。
2011 spring & summer collectionより『MERRY ART UNION』スタート。


・『ONES STROKE』
鈴木輝永
designer
パンツの縫製工場を営む両親の元に生まれる
1991年、株式会社ストックマン入社。
インポートブランドのモノつくりを学ぶ。その後、小売店に入社し国内外でのバイイング、販売を経験
1999年、STUDIO ORIBE設立。パンツを得意とするカジュアルブランドとして幅広く展開。
2010年、社名変更:TRIPLE.ARCH.WORKS
2010年9月、メーカー、小売りの経験と、縫製工場を間近で見てきた幼い頃からの経験を背景に、2010 spring & summer collectionより『ONES STROKE』スタート


・『beau temps』
益島伸一郎
designer
奄美大島出身。
1989年、株式会社ストックマン入社。
多数の生産管理業務を行う。
Baily BRAND、RED BUTTON、CLOSED/LIC、MONAMI/P、  LIBERTINE、、、ほか、
大手企業のユニホームの企画や生産管理業務、HIT PARADE(植松晃士プロデュースブランド)、
NANNO(南野陽子オリジナルブランド)の企画、生産管理など。
2007年、フリーランスとして独立。SATURDAY NITE(綾小路 翔オリジナルブランド)の企画生産業務を行う。
2011 spring & summer collectionより『beau temps』スタート。


・『Smith&Hardy』
福薗英貴
designer
2002年、アントワープ王立芸術学院を日本人として初めて卒業。
2003年、メンズファッションブランド”WHEREABOUTS”を立ち上げ、2010-2011AWコレクションをもってデザイナーを辞任。
2008年、ファッションブランド “TAKEO KIKUCHI” のデザインディレクターに就任。
2011 autumn & winterr collectionより『Smith&Hardy』を本格始動。


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