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Interview : October 14, 2011 @ 15:26

Japanese Soul!! インタビュー ── 中島ノブユキ&青野賢一 “pianona”(後編)



SHIBUYA-FM 78.4MHzにて放送中の”大”人気ラジオ番組『Japanese Soul!!』に、音楽家の”中島ノブユキ”さん、そしてビームスレコーズの”青野賢一”さんが登場。


2011年5月発売した東神田のカフェ&定食屋『フクモリ』の2周年記念のコレボレーションアルバム『pianona』をプロデュースした中島ノブユキさん。

この度、そのアルバムに収録されていた”シスター・スレッジ”のカヴァー曲「Thinking of You」のリミックスEP盤『Thinking of You EP』をビームスレコーズからリリースした。


ひきつづき、期せずしてそのEP盤の発売記念となってしまった、おふたりが出演した際のラジオインタビューの後編をおたのしみいただきたい。






カネコ:つづきまして、中島ノブユキさんの選曲です。


中島ノブユキ
「Thinking of you」


カネコ:コチラはどなたが歌っていらっしゃるんですか?


中島:これは”Natural Calamity”の森(俊二)さんです。
そして、ギターが石井マサユキさん。


カネコ:”TICA”の?


中島:ええ。
ピアノはボクが弾いているのですが、これが先ほど青野さんから出ていたフクモリ発信のアルバム「pianona」からの一曲です。さっきはピアノソロの曲なんですけれど、このアルバムはピアノソロと、いろいろな方とご一緒させていただいた曲とが、サンドイッチ状態になっているアルバムで。
あとは、ELTの持田香織さんとか、田村玄一さん、バンドネオン奏者の北村聡さんとか。


カネコ:菊地成孔さんのバンドの方ですよね。


中島:そうです。
TICAの武田カオリさんとか、いろいろな方に参加していただいているんです。
純然たる自分のソロアルバムというワケではなく、初めてのコラボレーションアルバムというか、そういったものになったなと。


カネコ:なるほど。
いまちょうどその『フクモリ』のプレスの。。。


青野:見たことがある方がいますね(笑)。


カネコ:見たことのある、プレスの吉澤藤佳さんがいらっしゃるんですけれど(笑)、、、お話しを聞いてみましょうかね。


吉澤藤佳:おじゃまします。


カネコ:このアルバムを出すことになった経緯を教えてもらえますか?


吉澤藤佳:月に一度、定期的に中島ノブユキさんに「pianona」という定期演奏会をやっていただいていて、それが一年半くらい経ったんです。それと『フクモリ』がこの春に2周年を迎えたので、その記念で、ぜひこのすばらしい演奏会を記録に、ということでアルバムにさせていただきました。


一同:・・・


青野:急に振ったわりにはすごくスラっと。。。


カネコ:すごいですね!


中島:さすがです。


カネコ:さすがプレスですね。


青野:ちょっとビックリしちゃいましたね。


中島:頼りになる(笑)!


カネコ:ありがとうございます。
ちなみに、この曲はアレですね。


中島:“Sister Sledge”のノリノリの、アゲアゲの。。。


青野:ディスコですよね。
明け方の名曲です。


中島:それをちょいとこんな感じにしてみましたというのがこの曲です。


カネコ:なるほど。では次の曲をご紹介しましょう。


中島ノブユキ
「What a Wondaful World」


中島:この曲はサッチモ(ルイ・アームストロング)が歌って有名な曲なんですが、これをTICAの武田カオリさんがヴォーカルで、それからクラリネットで塩谷博之さん、そしてギターで高田漣くん、ベースが”リトルクリーチャーズ”の鈴木正人さん、で、ピアノがワタクシという、そんなメンバーです。
武田カオリさんの歌が。。。


カネコ:いいですねー、聴き入っちゃいますよね。


中島:すばらしいですね。
コレ、バラバラに録って最後に歌を重ねてとかじゃなくて、歌も含めて全員で”せいの”で録っているんですけれど、このテイクが録れたときは、ホントにこのアルバム全体が幸せな作品になるなと、実感しましたね。


カネコ:マイクがオフの時に、青野さんが「聴き入っちゃうね」とポソっと言っていましたけれど、
ホント聴き入っちゃいますね。


青野:何回聴いても、やっぱりいーんだよね。


中島:ありがたい!


青野:アルバム全体もそうですけれどね。
この曲がアルバムの最後の曲なんですけれど、このストンと、これで終わってという、、、置かれかたというんですかね。これが落ち着くし、でまた、もう一回聴いてみようかなという気持ちになるんです。
思ったことを言っているだけで、別に持ち上げようとして言っているワケではないですよ(笑)。


中島:いや、持ち上げられるとすごく喜ぶタイプなんでね。
もっともっと!みたいな(笑)。


青野:褒められて伸びるタイプなんですよね(笑)。


カネコ:ははは(笑)。
いやいや、とはいえすばらしいアルバムですよ。
つづきまして、中島さんが影響を受けた日本の音楽というところですが。。。



Yellow Magic Orchestra
「LOTUS LOVE」





中島:いろいろ考えました。
じつは、「コレだ!」と思ったレコードがあったんですけれど、家で確認したら針飛びを起こしていて(笑)。


青野:それがこの”カクトウギ・セッション”なんですね。


中島:そうなんです。


カネコ:ハハハ(笑)。


中島:なのですが、この曲もいま聴くと染みちゃうなということで、”Yellow Magic Orchestra”の『浮気なぼくら』というアルバム、、、後期のアルバムですが、その中から「LOTUS LOVE」という、細野さんの曲です。
もう、中学、高校で聴きまくっていましたからね。


カネコ:やはりそうですか。


中島:ドラムのフィルとか、シンセのフレーズとか、あらゆるディテールを全部歌えちゃうくらい聴き込んでいるアルバムです。


カネコ:3人が並んでいるジャケットですよね。


青野:「君に胸キュン」が入っているアルバムね。


中島:そうです。
ちょっとポップだし、あまり顧みられないでしょこのアルバム。


青野:そうですね。


中島:『テクノデリック』とか『BGM』は、ある種傑作という称号があるのでね。
でも、こういう感じのアルバムがまたね。いま聴くとスゴくきますよ。


カネコ:ボクは、残念ながら後追い派ですが、『テクノデリック』はすごく好きですね。
あの音の作り込み方とかってどうやってやっているんだとか思っちゃいましたよ。


中島:いまほど自由度、、、機材的な自由度というか、いまはコンピューターの中でいろいろできるのに比べたら、ホントにいろいろ試行錯誤しながら作っていったんだろうなということは想像できるんですけれどね。
逆に言うと、あの音はいまできないですよ。


カネコ:生では難しいんじゃないですかね。


中島:そうだし、あの時代の音は、どこかやはり人力?肉体でやっている部分もふくまれているから。YMOの人たちは、いまもきっとそうだと思いますけれどね。
やはり、肉体性があるというところにキちゃいますよ。


青野:ドラム缶を叩いたりとか、していましたね。
「その音いいね!」って言って、その辺を叩いている音が入っていたり。


中島:あとは工場に音を録りに行ったりとか。


カネコ:サンプリングしたりしていたみたいですね。


中島:
フェンスをガシャガシャとやった音をビートにしたり。


カネコ:いろいろな意味で実験的なことをメジャーに持っていったバンドですよね。


中島:いろいろと遊べたんでしょうね。
直前に「ライディーン」とか、「テクノポリス」とか、それこそ朝、小学生みんながアレでラジオ体操するくらい、ひとびとに浸透しているというものがあったからこそ、ものすごく過激に遊んじゃえというか、そういう発想があったのかなと思うんです。


青野:ポップスにもどったのもまたそういうところですよね。


中島:そうですよね、裏切るというかね。


カネコ:やはり、YMOはそういう意味で中島さんに大きな影響を受けられたバンドなんですね。


中島:すごく受けていますね。


カネコ:なるほど。
服部さんもYMOはスゴい大好きですよね。


服部:大好きですよ!


カネコ:なんか、珍しく静かだったので。


服部:いやいや。
グッと聴きましょうよ。
人それぞれのYMOがあるから。


青野:そうそう!


カネコ:そうなんですよね。
という感じで、今日は青野さん、中島さんありがとうございました。


青野:ありがとうございました。


中島:ありがとうございました。



(おわり)






中島ノブユキ
『Thinking of You EP』




レーベル:ビームスレコーズ(BBR-A-6026)
価格:¥1,400(税抜)



中島ノブユキ
『pianona』





レーベル:K.K.H.K(KKHK-01)
価格:¥2,500(税込)

>>>レビューはコチラ


□プロフィール
・中島ノブユキ
音楽家
ピアニストとしては勿論の事、時に作・編曲家としてエレガントかつスリリングなアンサンブルを構築し、映画音楽〜JAZZ〜POPS〜広告音楽〜クラシック 等様々なフィールドで展開。
編曲家として菊地成孔、UA、ゴンチチ、沖仁、高木正勝、CALMらの作品に携わる。またピアニストとして畠山美由紀、ジェーン・バーキン、高田漣、原田知世らと共演。2010年タップダンサー熊谷和徳と東京フィルハーモニー交響楽団が共演する「REVOLUCION」に参加(音楽監修/作曲、オーケストレーション)。映画「人間失格」、アニメーション「たまゆら」の音楽を担当。
ソロアルバムとして『エテパルマ』(06)『パッサカイユ』(07)『メランコリア』(10)を発表。
2009年より月例ピアノ演奏会 “pianona” をフクモリにて開催中。
2011年6月発表のコラボレーションアルバム『pianona』をプロデュース(持田香織、森俊二、武田カオリ、高田漣、北村聡らが参加)。
近年は完全即興と作曲との稜線を行くピアノソロによる演奏活動も行っている。日本大学藝術学部で教鞭を執る。
http://nobuyukinakajima.com/



・青野 賢一
BEAMS クリエイティブディレクター
BEAMS RECORDS ディレクター

セレクトショップ〈BEAMS〉のクリエイティブディレクターとして、ファッション、音楽、アート、文学などを繋ぐ活動を行う。
2010年には初の著作集『迷宮行き』(天然文庫/BCCKS)を発表。
雑誌『OCEANS』、『ROCKS』、文芸誌『IN THE CITY』にてコラムを連載中。
また山崎真央(gm projects)、鶴谷聡平(NEWPORT)との選曲ユニット「真っ青」としても活動し、「SPECTACLE in the Farm 2010」にも出演した。
BEAMS web site
http://www.beams.co.jp/
BEAMS RECORDS web site
http://shop.beams.co.jp/shop/records/



・ Japanese Soul!!




日本に存在する多くの名曲をオシャレに、且つアカデミックに紹介するプロジェクト。
ラジオ番組『Japanese Soul!!(ニッポンの魂)』やイベント『Japanese Soul!! ナイト』、DJなどによる空間プロデュースなど、幅広い分野で活動中。
メンバーはプロジェクトによって流動的だが、本インタビューではカネコヒデシ、服部全宏の2人。
ラジオ番組は2011年10月で6年目を迎える。
放送は、SHIBUYA-FM 78.4MHz、毎月第三、第四水曜日の21:00から。
『Japanese Soul!! ナイト』は毎月第三金曜日に開催。
そのほかさまざまなイベントにてDJなどで活躍中。
http://japanesesoul.jp/


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