Interview : March 10, 2010 @ 17:05
若きファッショニスタたちの目線から(第一章)
檀上佑一(penderie)&馬場隆臣(va-vaデザイナー)対談インタビュー
世は、この上ない不景気。
クルマ業界や出版業界をはじめ、もちろん音楽業界やファッション業界、あらゆる業界の景気が低迷中だ。
どうなるニッポンの経済!
そんな状況のなか、日本のファッション カルチャーのシーンは、今後どのような方向にむかうのか。
この『若きファッショニスタたちの目線から』では、”ファッションを生業としているヒト”=”ファッショニスタ”と定義し、若いファッショニスタたちが、いまの日本のファッション業界、そしてこれからのファッションについてどう考えているのかを、思いのままに語ってもらい、提議する。
今回は、トーキョー マガジンがいまもっとも注目しているコンセプトショップ”penderie”から、ディレクター檀上佑一さんと、ブランド”va-va”のデザイナーであり、ショップ”penderie”をささえるパートナー馬場隆臣をお迎えし、今後のファッション業界を担うであろうおふたりに、3回にわたって、いろいろとお話を訊いてみた。
インタビュー・構成:カネコヒデシ
撮影協力:関西風串かつ”旬”
(恵比寿横丁)
撮影協力:関西風串かつ”旬”
(恵比寿横丁)
第一章
日本のファッションカルチャー
カネコ:ふたりとも、ファッション好きのリアルな30代前半の青年だよね(笑)。
今回は、その直の声を聞かせてください。まずはおふたりの出会いから?
馬場:ボクも檀上もふたりとも大阪にいて、共通の友人がいたんです。
でも、大阪では出会っていないんですよ。
檀上:(大阪で)自分が働いていた洋服屋の向かいのお店に馬場との共通の友人がいたんです。で、ボクが東京に出て来て”DUPE”で働きはじめたら、彼も後から東京に出て来て、、、その時に馬場を紹介されたんです。

馬場:初めて会ったときの記憶がない(笑)。。。
檀上:気づいたらいたよね(笑)。
馬場:ボクは東京に来て、”naichichi”というお店で働いていたのですが、その前に”DUPE”も受けていたので、
お店には遊びに行っていたんです。そうしたら、いつのまにか檀上がお店にいて──。
檀上:たしか22か3のとき。もう7年くらいになるよね。よく遊ぶようになったのは、”DUPE”がなくなる1年くらい前で、最初は、、、アレだよ!『バカボンド』を貸してくれ!って──。
馬場:ああ、そうだ!店に借りに来たんだ(笑)。
檀上:そのあとから、昼飯食べたり、お互いの家に行ったりするようになって。ボクが”DUPE”を辞めるときも──。
馬場:ボクが”naichichi”を辞めるってなって、そのあとは、他のアルバイトをやっていたんです。もちろん洋服もやりたかったけれど、当時は生活のために掛け持ちでアルバイトをやっていましたね。
で、コッチに来た当初から仲よくさせていただいていた”ジョン ローレンス サリバン”の(柳川)荒士さんに「デザインを勉強させてほしい」って相談をしたら、「やりたいんだったら、分からなくてもいいからやれ!」って。別の先輩には「うちでバイトして、余った時間にデザインをやって、そして○月には展示会をやれ!」と言われたので、とにかくその約束をして、どうにかデザインをやりはじめたんです。その1年後くらいに、檀上がお店をオープンすることになって──。
檀上:ボクも洋服屋をやりたくて、そのあと”ADELAIDE”に入ったんです。いろんな出会いがあって、penderieをオープンする話しがあり、やってみようという事で。その話しが具体化してきた時には馬場は自分のブランドをすでに始めていて、、、

カネコ:ふたりは、なぜファッションで食べていこうと思ったの?
檀上:ボクは10代の頃から洋服屋で働いていて、もうソレしかなかったというか──、それがいちばん好きだったからです。根本的にあの(リクルート)スーツを着たくなかったんですよ。
いちばん最初に働いたお店のオーナーさんには「君が好きな服を着て働きたいんだったら、ファッションをやりなさい」と言われて、それもそうだなーと。それでファッションを選びました。
ボクの場合はたまたまタイミングよくお店をオープンできたわけですが、、、それまで10年近く働いて、自分の好きなものだったり、ある程度のベースが出来ていたから、”ペンデリー”にはそれが活かされていると思います。

カネコ:それはすごくラッキーだよね。
でも、ひとつのセレクトショップを打ち出していくには、それなりの覚悟が必要だったと思うんだけれど。
檀上:20代前半の頃に、自分でお店をやるなら洋服屋というカテゴリーじゃなくてヒトが集まる場所をやりたいと、漠然とは考えていたんです。それって、”家”っぽいことなんじゃないかなって。
例えば、クローゼットを開けたらボクの着ている服やボクの好きな物があって、本やPC、ギターが置いてあって。ギターを弾きたいヒトは弾いてもいいし、本を読みたかったら読んでもいい。クローゼットの服を買いたければ買ってもいい。そういう感じの基地みたいな場所ですね。服だけというのには、やはり限界があると思うんです。日本って洋服屋が多いし、もう情報も溢れている。だから、”ペンデリー”では、新しくて面白いことがやりたかったんです。
カネコ:馬場くんは、シャツのデザインしているけれど、なぜシャツだったの?
馬場:ボクも檀上と一緒で、服のデザインをやり始めたのも自分の基地が欲しかったからなんです。でも、ボクの場合はお店とか、セレクトは出来ない。だから、表現できるもの、例えばボクの服があることで誰かが集まったり、知り合ったり。そういう方が面白いですよね。
もともと、Tシャツよりもキレイにシャツを着るスタイルに興味を持っていたし、毎日スーツを着ているヒトや普段スーツを着ないヒト、シャツはいろいろなジャンルのヒトたちに広げられると思ったんです。
カネコ:檀上くんは馬場くんのシャツを取り扱ったワケだけれど、取り扱うことになったポイントはあるの?
檀上:彼のシャツは、コンセプトがすごくユニークなんです。シャツを買うことで人と人がつながるとか。その”つながる”というテーマにとても共感できましたね。もちろんデザインにも好きな要素が入っていたし──。タイミングもありますけれど、ボクの考えるスタイルに彼のシャツがすごくハマったんですよ。
結果、そこからつながったお客さんもいっぱいいるし、馬場のシャツが好きで買いつづけてくれているお客さんもいるので成功でした。
馬場:表現しているものは、彼は”お店”で、ボクは”シャツ”なので見え方が違うけれど、根本的な部分が一緒なんです。檀上は、オシャレも流行も好きだけれど、いままで培ってきた自分の好きなもの──ワードローブでお店を構成させているんですよ。ボクもいま流行りのものより、ボクの好きなシャツの良さを少しでも感じて欲しいんです。
そういう流行よりも、好きなものを共感してほしいというスタイル。方向性が一緒だから刺激しあえるというか、だからこそブレないんだと思います。
カネコ:いい相乗効果だよね。『継続はチカラなり』じゃないけれど、まずはそれを続けていくことが大事だと思う。
いまって、セレクトショップに行っても、結局おなじモノを色違いとかで置いてあるというのが現状で、もちろんそれが売れるから置いているんだろうけれど、それだとセレクトショップとしてはちょっと寂しいよね。そこから見ると”ペンデリー”は、セレクトショップとしては、いまのところオリジナリティに富んでいると思えるワケですよ。そういう部分がもうすこし元気よくなっていかないと、日本のファッションは画一化だけで終わってしまうんじゃないかと、勝手に危惧しちゃっているんだけれど(笑)。
ファストファッションももちろんそれ自体は悪くないですよ。あの値段でクオリティの高いものもたくさんある。でも、それプラス アルファな部分を作っていかないといけないと思うんだよね。
最近、日本のファッションカルチャーを象徴する事件かなと思ったのが、先日行われたバンクーバーオリンピックのスノーボードの国母和宏選手の服装問題。テリー伊藤がとあるテレビ番組で「そんなこと言っているのは日本のメディアだけでしょ?」って言っていたけれど、じつはボクもそう思ったんだよね。スポーツマンはこうじゃないといけないっていう、日本人の完全なるイメージからなんだろうけれどね。
檀上:海外に行くと感じるんですけれど、日本人って誰かが作った土俵に乗って、そこに日本人独特のエッセンスを加えて、そこから派生させるのがすごく上手な人種なんだと思います。でも、それって先もいかないし、下にもいかないから、みんな均一のレベルにとどまってしまっているように感じます。
さらに、そこに勝手なルールを作るから、キャパシティがすごく狭くなって、そういう問題が起きるんじゃないのかなと。
カネコ:たしかに、狭いよね。
オリンピックの入場のシーンとか観ると、軍隊の行進みたいな感覚なんだけれど、自由な国は自由じゃない?バラバラ歩いているけれど、やるときはやるみたいな。
檀上:本当は、それでいいと思うんですよね。
カネコ:なかなか風土的というか、ヨーロッパ的な”ヒトの庭の手入れに口出す隣人”の文化なんだろうね。それがいい部分でもあり、悪い部分でもあるわけだけれど。
檀上:知らないうちに「こうしないといけない!」というモノが出来上がってしまっているんでしょうね。
馬場:あの対応が日本っぽいかどうかは、ボクには分からないですけれど、あの髪型とかスタイルだけをみると、批判する人もいると思います。
ただ今回の件、ボクは彼の格好はどうでもよくて、態度の方が気になりましたね。ギャップじゃないけれど、ああいうナリだけれど記者会見ではキッチリしているとか、礼儀も分かっているという方が好きなんです。
格好で文句を言うなら、最初からオリンピック選手に選考するなよ!って、思いましたけれどね。メダルどうのとかいう話しじゃなくて。

カネコ:例えば、忌野清志郎さんがいちばん最初にあの格好で出てきたときは、「何あれ!?」みたいな感じだったと思うよ。ファッションって、いちばん最初に叩かれるじゃない?「あのファッションってどうなの?」とか「ロックの格式が!」とか。ロックに格式なんかないのに格式をつくってしまうトコロがやはり日本人なんだろうね。いまはなんとか認められているけれど。
どうもね、日本におけるファッションは、むずかしい立ち位置なのかなって思ったんだよね。自分がこういう格好しているだけでも、いまだに親には「そんな格好して!」って言われるワケですよ。
檀上:そこから入りますもんね。
馬場:何なんでしょうね、その感覚って。
カネコ:親の時代(60歳〜70歳くらい)にもトガった人はいたんだよね。当時の石原裕次郎は、かなりトガったファッションだったし。
馬場:みんなが意識的に作った常識の枠から外れるヒトに対して、”何か”を言いたいんでしょうね。
カネコ:今回の国母の件も、たぶん朝青龍の件も、結局は勝手なイメージから始まっていると思うよ。
檀上:大半の日本人って、新しいことをする人間に対して、とりあえず批判から入るじゃないですか?でも、海外だと「面白い!」とか「新しい!」みたいな、どこかの部分で受け入れられる気がします。
カネコ:そういった”自由”を感じる部分は、やはり海外への憧れ的なものへとつながるよね。
(第二章へつづく)

・檀上佑一(だんじょう・ゆういち)

“DUPE”,”ADELAIDE”などのセレクトショップを経験。
2008年、ショップ”penderie”を立ち上げる。現在は”penderie”のDirectorとして、ショップの構成などのすべてに携わる。
・馬場隆臣(ばば・たかおみ)

大阪文化服装学院卒業。
セレクトショップ”nai-chi-chi”にてバイヤー、ショップマネージャーを経験。退社後、飲食店の立ち上げなどに参加し、2007年ブランド設立。
2008 S/Sシーズンよりブランドスタート。現在は都内セレクトショップを中心に展開している。
・penderie(ペンデリー)

フランス語でワードローブを示す”penderie”。
ワードローブとラ イフス タイルの関係性をクローズアップし、そこに独自のエッセンスを加えたオンリーワンなコンセプトショップ。国内外問わずアンダーグラウンドな物からちょっぴ りメジャーな物まで、penderieというフィルターを通してセレクトされたアイテムは他ではあまり見る事の出来ない物が多く、「誰か」のセンスを楽し める空間。
〒150-0021
東京都渋谷区恵比寿西2-9-9-1F
TEL. 03-5428-6638
http://www.penderie.jp/
・”va-va”

コミュニケーションのツールとしての一つのカタチ。
人と人を繋ぐ、人とモノを繋ぐ、新しい価値観を持った洋服。ベーシックでありながら、着る人の個性を重視したシンプルなアイテム。
長年着続けることによって、愛着のある自分だけのとっておきの一着へ。一つの切り口として、va-vaというコミュニケーションツールが「繋ぐ」架け橋になる事を強く願う。
http://www.va-va.jp
This entry was posted on Wednesday, March 10th, 2010 at 17:05 and is filed under Interview. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. Responses are currently closed, but you can trackback from your own site.












