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ブラインドからのぞき見た世の中 : April 12, 2012 @ 15:55

ブラインドからのぞき見た世の中 VOL.62『おいしいから、安全で安心か』



福井県の大飯原発の再稼働に向けて、ついに政府が動き始めましたね。


この再稼働へ安全基準が妥当だと判断したのが、野田首相と藤村修官房長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相首相の関係3大臣、4人による協議。
しかも、原子力安全委員会はおろか、閣議にもはからず、首相と関係3大臣だけで決めたとのこと。

この国はいつから民主主義じゃなくなったのでしょうか。
さまざまな意見の中、多数決で決めるのが民主主義。
これではナチス的ファシズムですよ。


しかも、再稼動の判断材料となったのが、関電がつくった急ごしらえの新「安全基準」。

その新基準は以下の3本柱。
・福島原発事故のように全ての電源を喪失しても事態が悪化しないよう電源、注水設備の増強や格納容器などの破損を防ぐ対策を要請する。
・地震、津波が来ても炉心と使用済み燃料プールの冷却を継続できる対応を電力会社が取っているかも保安院が確認する。
・免震事務棟の設置など中長期的な対策。

そして電力会社には、保安院がまとめた30項目の実施時期などを工程表に明示させる。。。。


って、いままでとどう違うのか、違いが分からないのはワタクシだけ?

コレをキチンとやっていれば、アレだけの未曾有の事故には至らなかったのでは?

そして、これらを怠ってきたから、今の福島第一原発の事故に至ったワケで、結局、すべて人任せな安全基準なんですよ。


そりゃ、計算上は安全かもしれないですけれどね。
本当の安全とは、ほど遠い。

ちなみに新潟の柏崎刈羽原発は、中越沖地震のときに、地震だけで放射能漏れ事故を起こしているワケですから、そんな計算、何の確証も保証もないです。


刑事コロンボなみに「ちょっと待ってくださいよー」ですよ。


まったくもって今回の福島の事故からの教訓が汲み取れてなさすぎの基準にガッカリです。

しかも、枝野さん、この新基準をもって原発のある地域まで説明しにまで”行かせる”っていうんですから。。。
自分では行かないのか!?ってツッコミもできますけれどね。
ココではそのツッコミは割愛します。


収束をみせていない福島第一の原発事故の実情もあるにも関わらず、なぜそこまでして再稼働させたいのでしょうか。
関電によると、いまの原発がないままで、昨年夏並みの電力需要があるとしたら不足するとの見解があるらしいです。
つまり、電力不足になるから、原発を動かしたい。。。

って、横暴というか、ジャイアンというか、ガキの使いじゃないんだから。
これでは「ウチの野菜は、おいしいから安全!」と放射線量も測らずに出荷してる県と変わりないではないか。

フクシマは、電源喪失から、たった15時間後には炉心溶融してしまっていたワケで、
さまざまな地域で起こった津波などで混乱した状況で何も出来なかったのがフクシマですよ。
ソコだけで何か問題が起こったら対応できるのかもですが、同時多発的に何かが起こったら、どこの原発もムリでしょうな。

それに、いまだ汚染水漏れだの、炉心や使用済み燃料保存プールの温度上昇だの、なんやかんやと話題の絶えない状態がつづいていて、
すべてが急ごしらえすぎな対応にもかかわらず、これで「安全です!」宣言を世界に向けて行った神経が理解に苦しみます。


もし再稼動したいならば、炉内の状況も掌握し、放射性物質の拡散を防ぎ、全国に拡散した放射性物質を除去し、福島での事故をすべて収束させた後に、「我々には、すべてをすぐに収束させるだけの”技術”がある」くらいの自信をみせて、それから再稼動の検討に入るっていうのがスジってもんなんじゃないでしょうか?


一年以上経っているにも関わらず、いまだ近隣の県の野菜や米、果物などが基準値越えで出荷できないような状況にまで追いやられる、そんなシロモノですよ。
一旦、事故を起こしたら、人の手にはおさまらないことが分かっている状況なのに、「大丈夫だ!」って言われてもね。
何の説得力もないです。

結局、政府も原子力ムラの体質も、なにも変わっちゃいないんですよ。

経済がとか、電力がとかではなく、もちろんそれも必要ですが、
原発稼動ありきの考えではなく、もっと別の考えもキチンと出すべきだとワタクシは思いますが、
みなさんはどう思われますか?


フォーリーブス「ちょっと待って下さい」


旅路 良



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