Interview : November 13, 2012 @ 15:11
新世代のエディットミュージック──”Ryoma Takemasa”インタビュー(前編)
2012年10月17日にファーストアルバム『Catalyst(カタリスト)』を、音楽レーベル「UNKNOWN season」からリリースした”Takemasa Ryoma”。
音的に、ストイックすぎるともおもえる内容ながら、音源はすべてサンプリングしたアナログ感のある音源から、巧妙にエディットを繰りかえし、しっかりと自分のものにしてしまっている。
まさに新世代のエディットミュージックなのだ。
幼少時代をアメリカですごし、さまざまな音楽から洗礼をうけた彼は、いったいどのような人物なのだろうか。
今回は2回にわたって、アルバム『Catalyst』についてのお話を中心に、影響をうけた音楽や、音楽に対する考えなど、彼にいろいろと訊いてみたインタビューの前編。
─今回のアルバム『Catalyst』のコンセプトを教えてください。
まずは自分がこの一枚をまるまる聴いてみて、全体的な流れに違和感がないようにつくりました。既存の曲もあるのですが、アルバムの色に合うように再度手直しをした曲もあります。
ちなみにアルバムタイトルの『Catalyst』というのは、「起爆剤」という意味で、いわゆる”何かと混ざり合って促進させる”という意味なんですけれど、リスナーがこのアルバムを機にいろいろなことに対してヤル気が出たり、積極的になってもらえたらなって。
そんな思いもこめて、このタイトルにしました。
─今作は、ボイスネタの曲がおおかったですね。
今回は、ボイスにもかぎらず、あらゆるこまかい音、だいたい八割くらいはコラージュでつくっているんです。
─ヒップホップみたいな音のつくり方ですよね。
もともとは、ヒップホップが好きで、ヒップホップのDJをしていました。
プロダクション面においても影響をうけてますね。
─アルバムは、あまり派手じゃない、、、とてもストイックな感じでした。
デトロイト・テクノっぽさを感じましたね。
もしかしたらモータウンやPファンクといったブラック・ミュージックをルーツに持つデトロイト・テクノは、ヒップホップを聴いていたボクにとっては入りやすかったのかもしれません。
音楽に対するアティチュードがヒップホップと似ているし、なにか共通する部分を感じましたから。
─ハウスとかの4ツ打ちトラックを聴くようになったのは、いつぐらいから?
ボクは、幼少の10年間をカルフォルニアに住んでいて、日本に帰国後、アメリカに一時もどったのですが、そのときに現地に住んでいる日本人の友達にとあるホームパーティに連れて行ってもらったんです。それがとても衝撃的なパーティだったんですよ。
“スヴェン・バス”とかのいわゆるジャーマン・テクノ系が流れるパーティで、設備とか、音とか、そういうのが別に良いという印象はあまり感じなかったのですが、遊びに来ているヒトが、みんな自由に遊んでいて雰囲気がとてもよかったんです。
─どんな感じだったんですか?
会場は、ダレも住んでいない空家を使っていて、バーとか、ブースとか、すべて自分たちでつくっているんです。本当のDIYパーティですよね。そうやって自分たちで自由に遊んでいる感じがとてもよかったんです。
告知も友達同士だけで、連れて行ってくれた友人も、たまたまネットでそのウワサを聞きつけて遊びに行ったんですけれど、ルールもセオリーもない、なんでもOKな感じで、超アンダーグランドですよ。でも、そこからですね、こういう遊びもあるんだって。
だから、日本に帰ってからは、さまざまなジャンルのパーティに遊びに出るようになって、そうやっているうちに、テクノとかハウスとかにも興味が出てきたんです。
─日本では、どんなパーティに行っていたんですか?
その時は”ジェフ・ミルズ”のパーティに行きました。
“ジェフ・ミルズ”が、渋谷のWOMBで毎週レジデントでDJするというパーティーでしたね。
─ちなみにヒップホップ・ミュージックにハマりはじめたのはなぜ?
もともとは、ハードコアが好きだったんですよ。”Korn”とか”Coal Chamber”、”Mudvayne”とか。
95年くらいのニューメタルを中心にはげしいロックを聴いてました。
─ハードコアはどうやって聴くようになったの?
アメリカにいたときに、授業中に当時日本で流行っていた”TRF”をヘッドホンで大音量で聴いていたら、となりにすわっていた、マジックでツメを真っ黒にぬっている、いかにもハードコアを聴いてそうなヤツに「こんなワック(偽物)な音楽を聴いているんじゃねーよ!」って(笑)。で、「コレを聴け!」ってわたされたのが”Korn”のCDだったんです。
最初は、「何コレ!?」って。だって、ボーカルが泣き叫んでいるワケですよ。
ただそのときって、友達とうまくいってなかったり、反抗期だったり、個人的にもいろいろあった時期で、そういう音楽が身に沁みたというか。。。
─ガツンと来ちゃった(笑)?
ガツンと来ちゃったんですよー(笑)。
そこからハマって、ツメを黒く塗り出したり、ラバーソール履いたり。。。
─格好がどんどん黒くなっていったんですね。
そうなんです(笑)。彼が発端ですよ。
それまでは、音楽は、家にいて勉強するときにかるく聴く程度だったんです。
だけど、そこから音楽中心の生活に変わりましたね。
─それからどうやってヒップホップに?
当時のそういう音楽は少なからずヒップホップの要素などもあったりして、そこから”DJ Qbert”とか、”D-Styles”とかのスクラッチ系ブレイク・ビーツへいって、それで、”Jeru the Damaja”とか、”O.C.”とか、”A Tribe Called Quest”とかの90年代半ばのヒップホップを聴きはじめたんです。
ミドル・スクール中盤以降ですかね。
─音楽制作的にはどのアーティストに影響を受けているんですか?
作品でいうと、、、”マイルス・デイビス”の『ビッチェズ・ブリュー』というアルバムですね。
─モダンジャズなんですね。
そうです。あと彼の『ダーク・メイガス』というアルバムも好きです。
あとは超カットアップのぶつ切りクリックハウスの、”Akufen”『My Way』とか。
それに”Korn”のファースト。
いろいろあります。
─ひろく音楽を聴いていたんですね。
音楽はわりといろいろと好きなんです。
いまも週末に図書館へいってCDを借りたりして、むかしのポップスとかを借りて聴いてますよ。
(後編へつづく)
Ryoma Takemasa
『Catalyst』
価格:¥2,100(税込)
レーベル: UNKNOWN season(USCD-1002)
>>>レビューはコチラ
Ryoma Takemasa「Catalyst(Autumn Evening Mix)」 PV
□”Ryoma Takemasa”プロフィール
10年間アメリカで生活した後、2004年に日本に帰国。
A Tribe Called Quest、O.C.、Nas,Jeru The Damaja、Black Moonなどに影響を受け、ヒップホップDJとしてキャリアをスタートする。DJをつづけていく中で徐々にテクノやハウスにシフトしはじめ、2007年にPaul Macのレーベル「Stimulus Records」からデビューEP『Koroon』をリリース。
2008年末には自身のレーベル「Apostrophe」から『The Overhousen Manifesto』をアナログカットし、国内外のDJによってプレイされる。
2009年には西麻布のサウンドバー+にてKihira Naokiとともに「KAFKA」でレジデントをつとめる。
2011年に国内レーベル「UNKNOWN season」から積極的にリリースし始め、その中でも「Deepn`」の”Gonno Remix”と”The Backwoods Remix”は、Laurent Garnier、James Holdenなど、有名DJがプレイし国内外で好評を得ている。
2011年の年末にリリースされたオリジナル楽曲の「Dual House Groove 6」はWhatpeopleplay総合チャートで6位を獲得した。
2012年8月末に「ene Records」より「Deepn` Remixes」の12インチ、10月中旬に「UNKNOWN season」よりオリジナルアルバムをリリース。
http://soundcloud.com/ryoma-takemasa
「UNKNOWN season」オフィシャルサイト:http://unknown-season.com/
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