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Interview : November 20, 2012 @ 13:57

新世代のエディットミュージック──”Ryoma Takemasa”インタビュー(後編)



2012年10月17日にファーストアルバム『Catalyst(カタリスト)』を、音楽レーベル「UNKNOWN season」からリリースした”Takemasa Ryoma”。


ひろく音楽に触れてきた彼から生まれたのは、ストイックなエディットミュージックだった。


ひきつづき、アルバム『Catalyst』についてのお話を中心に、音楽をつくりはじめた理由や、音楽に対する姿勢や考えなど、いろいろと訊いてみた。






─トラックをつくりはじめたのはいつぐらい?

20歳くらいの時ですね。
それまでは純粋なリスナーでした。

─その”純粋なリスナー”からつくり手になろうと思ったキッカケは?

興味本位です。まわりの友人がトラックをつくっていたりしたので。
DJもやっていたコトもあって、自分のつかいたいトラックをつくりたかったんですよね。

─既存の音楽に欲しいものが無かったというコト?

いえ、ただ「こういうのがあったら良いのに!」という音楽をつくっていました。
その後に、サンプラーの「MPC 3000」を買ったりして、ヒップホップとかハウスとかのトラックをつくりはじめました。

─本格的にオリジナルをつくりはじめたのは?

22歳のときですかね。「Logic」という音楽ソフトを手に入れてからです。

─「Catalyst」の件で、”セオ・パリッシュ”が曲の使用ををみとめてくれたという事がありましたが、彼とはもともとつながっていたの?

まったく繋がってなかったんです。
彼の「You Forgot」を大胆に使用していたので、レーベルオーナーの堀野さんが、本人より許諾をとれたらリリースしようと。その時に、日本の窓口であるAHB(A Hundred Birds Production)を通して彼に直接デモを送り聴いてもらい許諾を得ようとしたんです。
数日後、彼から直接「つかっていいよ!」ってメールがきたんですよ。

─リリースもとの音楽レーベル『UNKNOWN season』との接点は?

『UNKNOWN season』からもリリースしている”Teruyuki Kurihara aka Cherry”くんの紹介なんです。
僕は以前、”COLORS STUDIO”という西麻布にあったクラブではたらいていて、彼とはそこでのパーティで知り合ったんですよ。その後、彼は『UNKNOWN season』から作品をリリースしていて、その彼が堀野さんへボクをリコメンドしてくれたんですよ。
そして僕のマイスペースの曲を気に入ってくれて、それで直接連絡が来たんです。

─今回のアルバム制作に当たって『UNKNOWN season』レーベルオーナーの堀野さんとは、どのような話をされました?

「アルバムを買った人の聴き方を意識してつくってみては?」というアドバイスを受けました。

─その意識の部分は具体的にどう反映させたんですか?

曲の順番だったり、山があってという”流れ”とか。
全体のストーリー性を意識した、DJプレイとおなじ感覚でアルバムをつくりました。

─アルバム制作で、苦労した点は?

どうもDJ視点すぎるかなと、、、そこには葛藤がありましたね。でも、自分のアルバムなので、一番の自然体というか、”100%の自分”というという曲をつくりたかったんですよ。
無理してアーティスティック(実験的)な曲をつくったとしても、結局は自分のモノじゃないですからね。

─いまはどんな制作環境なんですか?

「Logic PRO7」をつかって、サンプリングには「MPC 3000」を使っています。

─サンプリングは、いわゆる元ネタがあるサンプリングですか?
例えば、そのために誰かに演奏してもらったものを録るという感じではない?

そうではないですね。
自分の声をつかった曲はありますけれど(笑)。

─ヒップホップみたいな曲のつくり方なんですね。

そうなんです。
自分が好きな音たちをあつめて、編集している感じですね。

─ココまでクオリティがあると、まさに”新世代のエディットミュージック”ですよ。

どうもありがとうございます。
自分なりにヒップホップとテクノの好きな部分をまぜた感じですよ。

─さて、現在の日本のクラブダンスシーンの事情に対してはどうみていますか?

ボクは、お酒も飲まないし、ワーって騒ぐタイプでもない。クラブに行くと友達とはなすか、じっくり音楽を聴いているか。ダンスに特化して言えばそれぞれいろいろなたのしみ方があって、クラブだけじゃなくても、さまざまな環境でたのしめる機会も増えればいいなとも思っていますし。
とはいえ、それぞれが表現できる社交の場ですから、それがすくなくなるのはさびしいですよね。

─状況としては、残念ながらすくなくなる方向にむかっていますよね。

でも、クラブというカテゴリーじゃなくても、あたらしいそういう社交場ができたらいいのかな。たとえば、昼でもお酒を飲んで、楽しめるようなスペース。
ダンスミュージックは、これからもっといろいろな状況で楽しむべきであって、クラブに固執しすぎる必要はないかな。
このような音楽がもつポテンシャルは、まだ出し切れてないと思っています。

─なるほど。

可能性として、そういうのもできればいいのかなという感じです。そうすれば、自分たちの活動の場も増えるし、こういうシーンが身近になるかなと。
それに昼ならば、入場の年齢規制もないし、もっとふれあえる機会があるんじゃないですかね。

─そういえば、関西方面はいまは夜12時までの営業のお店がおおいらしいですね。

関西かどうか分からないですが、『ダンス禁止!』って張り紙があるクラブがあるみたいですよね、クラブでダンス禁止って、、意味がわからないですよ(笑)。
ホント、「ナニすればいいですか?」って感じです。

─では、今後の音楽制作活動的にはどんなことを考えてます?

そうですね、、、つぎは、色んな場所に行ってフィールドレコーディングをしたいです。京都とか行って川のせせらぎとか、自然の音。そういう音を使ってダンスミュージックとか、面白い音をつくってみたいです。
それもサンプリング・ミュージックですよね。

─ご自身でもレーベルをやられているんですよね。

24歳のときに自主制作でアナログを出したんです。いまは、お休み中ですが、また再開したいと思っていますよ。
まあ、個人でやっているので、お金が貯まったらやりますって感じで(笑)。

─レーベルもぜひつづけて、今後の音楽業界を盛り上げてください。
ありがとうございました。

ありがとうございました!



(おわり)






Ryoma Takemasa
『Catalyst』






価格:¥2,100(税込)
レーベル: UNKNOWN season(USCD-1002)

>>>レビューはコチラ


Ryoma Takemasa「Catalyst(Autumn Evening Mix)」 PV



□”Ryoma Takemasa”プロフィール
10年間アメリカで生活した後、2004年に日本に帰国。
A Tribe Called Quest、O.C.、Nas,Jeru The Damaja、Black Moonなどに影響を受け、ヒップホップDJとしてキャリアをスタートする。DJをつづけていく中で徐々にテクノやハウスにシフトしはじめ、2007年に Paul Macのレーベル「Stimulus Records」からデビューEP『Koroon』をリリース。
2008年末には自身のレーベル「Apostrophe」から『The Overhousen Manifesto』をアナログカットし、国内外のDJによってプレイされる。
2009年には西麻布のサウンドバー+にてKihira Naokiとともに「KAFKA」でレジデントをつとめる。
2011 年に国内レーベル「UNKNOWN season」から積極的にリリースし始め、その中でも「Deepn`」の”Gonno Remix”と”The Backwoods Remix”は、Laurent Garnier、James Holdenなど、有名DJがプレイし国内外で好評を得ている。
2011年の年末にリリースされたオリジナル楽曲の「Dual House Groove 6」はWhatpeopleplay総合チャートで6位を獲得した。
2012年8月末に「ene Records」より「Deepn` Remixes」の12インチ、10月中旬に「UNKNOWN season」よりオリジナルアルバムをリリース。
http://soundcloud.com/ryoma-takemasa



「UNKNOWN season」オフィシャルサイト:http://unknown-season.com/


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