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ブラインドからのぞき見た世の中 : November 14, 2013 @ 16:01

ブラインドからのぞき見た世の中 VOL.100『ひみつ大国、ニッポン』



この”特定秘密保護法案”、ホントに必要な法律なのでしょうか。

世間的にも、やっと話題になりはじめましたね。


表向きの発端は、
例の「尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件」による国家公務員による情報漏洩ですが、
ホンネは、同盟国、それもアメリカとの秘密共有するため。

トモダチになりたいから、トモダチとおなじ状況を共有する。

ソレって、、、いじめられっ子がいじめられないために、
いじめっ子グループに入って別の人をいじめるのと一緒のような。。。

ランクの下のヤツが、上に取り入るためのまちがった方法というか、そんな感じ。
ナニか、ちがう気がしますよね。


とはいえ、機密事項の国内のあつかいに関していえば、
日本とアメリカは根本的にはちがいます。

アメリカは、秘密指定による公文書の機密解除をおこなっていますが、
日本はいまだ機密解除においては、かなり曖昧。

仮にも、アメリカは国民が主権。
では、日本の主権はダレなのでしょうか。。。


それにしても日本は、秘密好きですよね。

戦後でいえば、沖縄返還の機密条約なんかもそうですよね。
山崎豊子の『運命の人』でお馴染みの「 外務省機密漏洩事件」、いわゆる「西山事件」です。

事件は、公式発表ではアメリカが支払うことになっていた沖縄の地権者に対する
土地原状回復費400万ドル(約27億円)を、
実際には日本政府が肩代わりしてアメリカに支払うという「密約」を、
毎日新聞の”西山太吉”記者があばいたというもの。

しかし、政府は「密約」の存在を否定。

情報源の事務官を国家公務員法(機密漏洩の罪)、
西山記者を国家公務員法(教唆の罪)で逮捕した、という有名な事件です。


「密約」があったのか、なかったのか。。。

アメリカ側では、この「密約」の存在をしめす公文書は、すでに機密解除され、
アメリカ国立公文書記録管理局にて普通に閲覧可能。

つまり、「密約」はあったということです。

日本政府は2010年まで文書の存在を否定。

ちなみに、日本はアメリカに400万ドルのほかに、
1億8700万ドルを提供する「密約」までしていたとか。


「密約」があったにもかかわらず、
検察の巧妙な情報操作で西山記者は懲役4月執行猶予1年の有罪判決。

ときの佐藤内閣は、おとがめなし。


結局、沖縄は、大枚をはたいたにもかかわらず、アメリカに基地を貸しているという状態。
不動産だったら、最低の不動産ですよね。


とにかく、この裁判ではウソをついた国が勝って、
国民に正しい情報を教えようとした人間が負けて、投獄されるという、
ひとつの前例をつくってしまったワケです。

日本のジャーナリズム カルチャーが、腰抜けとなってしまった、
そして、国会、内閣、裁判所の『三権分立』機能がしなくなりはじめた、
まさに”おわりのはじまり”の事件。


最近だと、「防衛秘密、省判断で廃棄3万4000件超え」という、ニュースもヒドいですよね。

自衛隊に関する「防衛秘密」のうち、
秘密指定の解除後に国立公文書館に移され保管されている文書が一件もない。

つまり、孫の孫の代まで、いや永遠にまったくの公開ゼロってコトですよ、ゼロ。

そんなことやっている国って、どこか北の方の国だったり、大陸の国だったり、
あとはアフリカとか中東の独裁国家だけです。


コレらの”事件”の、さらに”ワ”をかけてヒドいコトの引き金となりそうなのが、
この”特定秘密保護法案”。


最終案を見ても、「その他」とか、「配慮」とか、曖昧なコトバがおおく、
結局のところ、「ナニがドコまで秘密なのか?」というハッキリしたことが書かれていません。

先日の政府の会見では、原発関連もこの案件にひっかかるとか。
ということは、今後は事故が起きても発表なし、、、なんてコトにもなりかねないワケです。


もちろん、最終的には『国家安全保障会議」、
いわゆる日本版NSCの設立までつながっているのでしょうけれどね。

しかし、ホントにこの法案と日本版NSCをつくる必要があるのでしょうか?
まずは、「本当に必要なのか?」という議論が必要だと思います。

それに、このふたつが成立&設立されれば、
日本国憲法が定めている『三権分立の原則』が、ただでさえ機能していないのに、
さらに機能しなくなりますよね。

権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障するための『三権分立』のハズなんですけれど、
コレでは”権力の濫用”しかなくなってしまう可能性があります。


ドイツでは、2006年くらいからメルケル首相のケータイの通話が、
アメリカの情報機関に盗聴されていて問題になっていましたよね。

日本版NSCができたら、日本国民の電話はおろか、
メール、ライン、スカイプなどやり取りが、
国家安全の名のモトに、堂々と盗聴、閲覧が可能になります。


そんな社会がホントにいいのでしょうか?

ひらかれた政治をうたって当選した国会議員たちは、いったいドコへクモガクレしたのでしょう。


第二、第三のスノーデンを、日本から生みだすコトになりそうな、
“特定秘密保護法案”と”日本版NSC”。

みなさんは、どのように考えますか?



東京事変「秘密」



旅路 良



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