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Movie Life : December 10, 2013 @ 13:42

MOVIE LIFE 120『ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして』


ダレかが言った、『いや~、映画ってホントいいものですね!』と──。

いまも世界中のヒトたちを魅了しつづけ、そして夢の世界へと誘う”銀幕の世界”。 この”MOVIE LIFE”では、無駄に映画好きであるワタクシが、コレから公開予定の映画を中心に、コメントと評価を交えながらご紹介していきます。

(評価は5段階、☆の数で示されます)





MOVIE LIFE 120『ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして』




イラク戦争から10年



□ストーリー

当時、日本国内でバッシングが吹き荒れた「日本人人質事件」のことを覚えているだろうか?

イラク支援のために行った日本人3人。

しかし、ファルージャの街で地元の武装グループによって日本政府へ自衛隊撤退を要求するための人質として拘束された。


当時、日本政府はアメリカが始めたイラク戦争を支持。「人道復興支援」のためとして、イラクに自衛隊を派遣していた。

日本では3人の行為が国に迷惑をかけたとして「自己責任」を問う声が広がった。


この映画は、はからずも人質となった、”高遠菜穂子”さん、”今井紀明”さんの現在の姿を追い、そしていまだ戦火の止むことのないイラク、ファルージャの生々しい現実をとらえる。


“高遠菜穂子”さんは、ふたたびイラク支援をつづけていた。

NGOなどの団体に加わるのではなく、ひとりでイラクに通い支援と調査をおこなっている。

イラクでの先天異常児は戦争以後、いまも増えつづけているのが実態だ。

またファルージャで撮影中にも現政府と、対立する宗派の抗争も発生していた。





一方、人質事件のもうひとり、”今井紀明”さんは、現在は大阪で不登校や、ひきこもり経験のある通信制高校に通う若者を支援するNPOの代表をしている。

社会から拒否された存在に、昔の自分をみて何かできないかと思ったという。






□オレ意見
評価:☆☆☆☆☆(満点は5個)

約10年前の2004年に起きたあの事件、、、
みなさんは、おぼえているだろうか?

おそらく、大半のヒトはわすれてしまっているのでは。


事件のくわしい内容は、ネットサーフィンしてしらべていただくとして、
いまはやりの「自己責任」というコトバを生みだした発端の事件だ。


当時、メディアを通じて、小泉政権の日本政府はじめ、
世の中のほぼほぼのヒトたちが彼らのコトを否定し、ココロないコトバをアビせ、
最終的には、反政府主義者による「自作自演だ!」などと、
ワケのわからない憶測(デマ?)までもがとびかっていたことをおぼえている。


自分もテレビや新聞からはいってくる情報だけで判断し、
「”ナンデ”あんなアブナい場所に行ったんだろ?」とおもってしまった、
非判側のひとりだった”と思う”。

「ナンデ?」の部分について、
10年前の若い自分にはそれ以上掘りさげるコトはしなかった。

いま考えると、とてもあさはかな意見だったと、反省している。


しかし、彼らが「なぜイラクにいたのか?」、そして「ソコで何をしていたのか?」、
当時のメディアはハッキリとしたコトをつたえていなかった。

いや、つたえていたのかもしれないが、
「自己責任」というコトバの方が大々的にフィーチャーされていたために、
残念ながら、いちばん重要な部分が影に隠されてしまっていたのはたしか。


彼らが解放された際、
犯人グループから地元のメディアにむけて送られたふたつめ声明文があったコトも、
恥ずかしながら、この映画ではじめて知った。
(もしかしたら、メディアで発表されていたかもだが、見逃していたのだとおもう。)

その内容たるや、おそろしく人間的で、
犯人とされるグループの彼らがとても高等な教育を受けていた人間だとわかるほど、
すばらしい内容。
今回、それが自分にとってはかなり衝撃的だったコトのひとつ。

声明文の内容は、ぜひこの映画で確認してほしい。

残念ながら、いまだ犯人はつかまっていないし、
彼らがいまも生きているのかもわかっていない。


監督の”伊藤めぐみ”は、コレが初監督作品だそう。

徹底した現場主義的の彼女。

とてもジャーナリズムのセンスがあるとおもう。


特に、この作品がすばらしいとおもったのは、人質当事者の意見だけではなく、
当時の首相、”小泉純一郎”氏、それに官房長官をつとめていた”福田康夫”氏など、
彼らを国会ではげしく非判した政治家や官僚たちにも意見を聞こうとしたトコロ。

しかしながら、ほとんどの政治家は彼女のインタビューに応じなかったのは、
とても残念なコトだ。

人質となった自国の人間をたすける努力することなく、
ガキ大将のような同盟国のまちがった大義名分のためだけに、
彼らを斬った発言の責任をとろうとはしなかった、、、
いやとるつもりもないのかもしれないな。


唯一、彼女のオファーに応じたのは、
当時、内閣官房副長官補として、
イラク戦争への自衛隊派遣を統括した”柳澤協二”氏のみ。

氏の意見については、この映画を観て確認してほしいが、
彼は現在作家として、当時の自衛隊派遣が正しかったのか、どうか、
自分を総括?自問自答?した『検証 官邸のイラク戦争』なる本を出している。


それにしても結局のところ、税金を無駄につかったのは、
彼らをイラクから日本へとおくった自衛隊機の燃料費か、
それとも、(実際はなかった)大量破壊兵器があるという大義名分のもと、
戦争をおっぱじめたアメリカに追従し、
人道支援/平和活動という名のもとに自衛隊をイラクまで派遣した日本政府か。。。

そして、我々が取り憑かれたように発していた「自己責任」とは、
いったいナンだったのか。。。

この映画には、当時だけではなく、
現在の社会問題、人権問題はじめ、原発問題や防衛問題など、
さまざまな問題提議にもつながっている。


ナニが真実で、ナニがウソなのか。

アレから10年経ったいまも、あいかわらずメディアに振り回されている我々。

当時、そしていまも彼らを非判しているヒトには、
ぜひコレを見て、あらためていろいろと判断してほしい。


この映画のおかげで、自分のなかでこの事件もふくめ、
ココ10年、、、失われていた10年の出来事を、
いろいろと総括できたような気がする、、、いや、できた。


2013年もかなり暮れてきてはいるが、
個人的には2013年でナンバーワンのドキュメンタリー映画だ。


ちなみに新宿バルド9での公開は、2013年12月13日までの1週間限定上映。

その後は、全国順次公開予定とのコトなので、
劇場は、オフィシャルサイトで、ぜひチェックを。


最後に、いまもまた、集団的自衛権などという名目で同盟国支援という名のもとに、
海外での自衛隊の活動がはじまろうとしており、
10年前のあのときと一緒の状況になりつつある世の中。

個人的には、彼らのような人道的行動をおこなっているヒトたちを支援した方が、
それこそ平和的活動支援だとおもうけどね。









2013年12月7日より、新宿バルト9ほかにてロードショウ!


ATP若手映画プロジェクト 第一回支援作品
『ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして』






監督:伊藤めぐみ

出演:高遠菜穂子/今井紀明

プロデュース:広瀬凉二

撮影 伊藤寛 大月啓介 大原勢司/編集 伊藤誠/音楽 吉田ゐさお
制作プロダクション 有限会社ホームルーム


オフィシャルサイト:http://www.fallujah-movie.com/


© 2013 有限会社ホームルーム 一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟


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