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ブラインドからのぞき見た世の中 : April 11, 2014 @ 20:15

ブラインドからのぞき見た世の中 VOL.110『正義の時間』



先日、ついに釈放となりましたね、
『袴田事件』の犯人とされた元プロボクサーの”袴田 巌”さん。

1966年に、静岡県で起きた強盗殺人放火事件の犯人とされ逮捕。

しかし、犯行時に着ていたとされる衣類のDNA鑑定がキメ手となり、
2014年3月27日やっとのことで再審が決定。


ただ、まだ再審決定というだけで、無罪判決というワケではありませんが、
ほぼほぼ無罪と考えてもいいの、、、かな。

まあ、いわゆる”えん罪”の疑いアリ、というヤツですよ。


しかし、逮捕以来、じつに48年もの間、拘置されていたとのコト。

これは、ちょっとヒドすぎですよね。

80年に死刑判決までもが確定していたコトもあり、
本人的にはかなり絶望的な状況だったと思います。


“えん罪”事件として、記憶にあたらしいのは『足利事件』。

1990年に事件が発覚し、
93年に犯人とされた菅家利和さんに無期懲役の判決がくだりましたが、
2010年に無罪判決。

これも17年半もの彼の月日がムダにされています。


17年半と48年、、、ドチラもヒドい話なので、
ドッチがドッチというワケではありませんが、
48年はナイな。


それにしても、今回の『袴田事件』において、

いちばん気になったのは、捜査機関による証拠の”ねつ造”問題。

これがホントなら、裁く側の罪は重いですよ。


しかしながら、当時の事件担当者などは、
すでに他界している方もおおいらしく、
いったいダレが、どのように責任をとるのでしょうか。

結局、泣き寝入りってコトですかね。


ちなみに、裁判当時は、
弁護側から検察側に証拠開示を求められても、開示する強制力はなく、
検察側に不利な、
つまり、被疑者が無罪になりそうな証拠は開示されなかったのです。


この事件がおおきく進展したのは、
2005年に刑事訴訟法が改正され、「公判前整理手続」によって、

弁護側から検察側に証拠開示を求める権利が認められたコトと、
2009年にスタートした裁判員制度。


この「公判前整理手続」により、
600点にもおよぶ証拠の「初開示」があったとのこと。

そのなかには袴田さんのアリバイを補強する証言などもふくまれていたとか。

もう意図的に有罪にしたとしかおもえないですね。


“えん罪”といえば、痴漢の”えん罪”もよくありますよね。

それを題材にした映画なんかもあります。

最近だと、実際に起こった痴漢えん罪を題材にした、
“周防正行”監督の『それでもボクはやってない』なんかもそうです。


しかし、ねつ造された証拠品だけで、死刑判決までくだされてしまう裁判って、
いったいどこに正義があるのでしょうかね。

法律の専門家からは、
「日本の司法のシステム自体に問題がある」という意見もおおいようです。

司法制度に関していえば、いろいろ改善されてきてはいるものの、
まだまだ”公正性はない”というのが現状のよう。

結局、なんらかの事件が起きたときに、
捜査や証拠品の押収などをおこなうのは捜査機関のみですから。

ソコの証拠品の開示責任がキチンとなされていなければ、
裁判の公正性はありませんよね。


今回のような”えん罪”事件は、
残念ながらコレからもあり得るというコトです。


自分が、どれだけ事件を起こさないように気をつけていたとしても、
巻き込まれたらそれまでですから。

一刻もはやく、公正な裁判がされるよう
どうにかしてほしいものです。


もしかしたら、
次に”えん罪”に巻き込まれるのはアナタかもしれませんよ。




高中正義「SAUDADE」



旅路 良



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