ブラインドからのぞき見た世の中 : December 16, 2015 @ 18:17
ブラインドからのぞき見た世の中 VOL.150『”もんじゅ”より”もんじゃ”』
えー、さてー、先日の原子力規制委員会による、福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」への運営主体の変更を求める勧告の件、もーダメだねーって感じですな。
この高速増殖炉というのは、ウランをつかってほかの原発の発電から出た核のゴミから、
プルトニウムだけを取り出して、増殖させて、
またエネルギーに再利用するというシステム。
“高速”の中性子で核分裂反応を起こし、
プルトニウムを”増殖”させるので、高速増殖炉。
「もんじゅ」は、1995年8月に国家プロジェクトととして「核燃料サイクル計画」、
つまり”夢のエネルギー”政策の一環で、約1兆円をかけて建設。
1996年をむかえる前の1995年12月に冷却材ナトリウム漏れ事故を起こし、
約20年間運転を停止。
2010年5月に運転再開し、
8月に炉心に装置を落とすというトラブルで再度運転停止。
いまに至るというワケです。
つまり、1兆円もかけてつくってから約20年間、
1ワットの電力も発生させていない。
むしろ、逆に電気ばっか喰ってるシロモノなワケです。
そんなモノに、国家プロジェクトだの、未来のエネルギーだの、
ナンだのカンだの大義名分をつかって、
湯水のように税金をつぎ込まれてきたワケですよ。
ちなみに1日の維持費は、約5500万円だそう。
なんでそんなにお金がかかるの?ってところになるとおもうのですが、
原子炉を冷却するための冷却材として水がつかえず、
「もんじゅ」には”ナトリウム”が採用。
この”ナトリウム”というのが、
あつかいがとてもむずかしい物質なのですよ。
“ナトリウム”は、摂氏70度をより冷えると固体化してしまうので、
液体状態で使用するには四六時中あたためつづけなければいけないワケで、
まずはコレの電気代がハンパない。
ちなみに、固体化して空気に触れると発火するという、
まさに悪魔を凝縮させたような物質ですがな。
「もんじゅ」は、開業してから20年間、
ただただナトリウムをあたためるという仕事をずっとしてきた、
というワケです。
1日、約5500万円。。。
が、約20年間。。。
ウーム。。。
そんな電気代を喰う家電があったとして、
フツーのヒトのアタマでかんがえるなら、
いやフツーに考えなくとも、
ヨウズミ家電として”ポイ”ですよ。
そもそも、この高速増殖炉というシステム自体、
じつはまだドコの国もいまだ研究レベルだったりします。
原子力系をあつかうアメリカやイギリス、フランス、ドイツなどの経済大国ですら、
研究に手づまり感が出て、中止している状況というのに、
日本だけが”夢の”という国家プロジェクトの大義名分というコトで、
いまだ手放せず。。。
いや、もう手放してはいけないものをつくってしまったワケです。
最近のニュースで、「ロシアで同原理の新型高速増殖炉が送電開始した」との、
未確認情報などもありますけれどね。
未確認なので、ニンともカンともですが。。。
「もんじゅ」を運営しているのは、
「日本原子力研究開発機構(JAEA)」という独立行政法人なワケですが、
電力会社と国と原子力系メーカーによる機関。
先日、某テレビ番組でも「もんじゅ」の内部体制について取材してましたが、
みんなそれぞれが責任のなすりつけあいでしたねー。
みんなで責任を取ろうは、
つまりダレも責任を取らないという意なんですよ。
もう、ズサンな経営で末期をむかえた会社のみたいな感じでした。
まあ、規制委員会的には”廃炉”を前提というワケではないそうですが、
“廃炉”にするにも莫大なお金がかかりますし、
作業するヒトにも命のキケンがともないます。
それに、廃炉で発生した汚染ゴミもドコに置くのよ!って感じですわ。
現状、フクシマ原発事故の影響ででた、放射性物質の除染のゴミですら、
置く場所もないのにですよ。
そして、廃炉にするにも、
この「もんじゅ」ってヤツは「核燃料サイクル計画」の一部。
つまり、原発を稼動させた際に発生するゴミ。
そのゴミを再利用させるために「もんじゅ」があるのですが、
「もんじゅ」が動かないので、ゴミは出つづける。
つまり、原発も再稼動させたはいいけれど、
じゃあゴミをドコにやるの?っていう、
もう完全に破綻してます。
「王手飛車トリ」なんていううつくしい戦法もないまま、
「歩」に「王」がツメよられたツメ将棋状態ですわ。
「あーあー夢が夢なら、それでもかまわない~」とはオザケンの歌ですが、
コレに関してはちょっとどーなの?ってなってしまいます。
実験なのだと言われればそれまでですが、
実験にしてはちょっとお金をかけすぎですし、お粗末すぎ。
簡単に捨てられるモノじゃないんですから、
つくってからかんがえるなんてのも、
もうヤメにしてほしいものです。
夢のエネルギーかー。。。
今回の件、「もんじゃ」の方がまだ夢がある、、、
なーんて、ワタクシは思いましたが、
みなさんは、どのように考えましたか?
小沢健二「夢が夢なら」
旅路 良
This entry was posted on Wednesday, December 16th, 2015 at 18:17 and is filed under ブラインドからのぞき見た世の中. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. Responses are currently closed, but you can trackback from your own site.