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Interview : February 1, 2010 @ 17:08

音楽家 西原健一郎 × FACTOTUM 有働幸司 映画対談(前編)



セカンドアルバム『LIFE』をリリースしたばかりの音楽家、西原健一郎。


じつはそのむかし、東映の脚本コンテストでグランプリを受賞し、那須博之監督の元で脚本修行をおこなっていたことがあるという生粋の映画人でもあった。

そんな彼と、彼がコレクションの選曲をつとめるファッションブランド”FACTOTUM”のデザイナー有働幸司との、初の対談が実現した。かなりの映画好きでもある有働幸司。


ファッションと音楽、まったく違う分野で活躍するふたりからは、いったいどんな映画話がきけるのか。


写真=西原和恵
構成・文=カネコヒデシ






西原健一郎(以下 西原):最近、自分の中でまた映画熱が沸騰しているんですよ。

─おふたりはどんな映画が好きなんですか?

西原:語るほど詳しくはないんですけれどね。そういえば、弟の名言で「つまらない映画は存在しない」というのがあって、僕もそうだと思っているんです。映画はおもしろいものだと思っていますよ。最近、なにか観られましたか?

有働幸司(以下 有働):最近だと、『アバター』を観ましたね。

西原:どうでした?

有働:なによりも映像がスゴかったです。そうそう!『ナウシカ』でしたね。かなりアニメが入っていたなという感想です。ああいう映画が、”いま”なのかな。未来なんですけれど、すごく過去というか、それがリンクしている。自分たちが思い描いていた”鉄腕アトム”とか”ドラえもん”的な未来ではなく、未来って意外と昔に戻るんですよね。

西原:むかし、立花ハジメさんが面白いことを言っていて──、廃墟とかボロボロになった家を見て、「未来的だ!」と言っていたんです。なぜなら、どんなキレイな家でも200年も経つとボロボロになる。つまりそのボロさが、すごく未来的なんですよ。でも、意外ですね!有働さんはロードムービーが好きだと思っていたのですが、『アバター』をご観になっていたんですね(笑)。

有働:個人的にはロードムービーが好きなんですけれど、最近観たものはそれだったもので(笑)。






いままで観た映画で、面白かったものはありますか?


有働:いろいろあります。でも、ロードムービーはキーワードとして好きなんですよ。監督のジャンル言うと、ちょうど時代的に(ヴィム・)ヴェンダースとか、(ジム・)ジャームッシュとか、そういうちょっと渇いているけれど、哀愁があって、ユーモアも入った──、そういう空気感の映画は好きです。
あと、スパイク・ジョーンズの『かいじゅうのいるところ』もシュールな感じで面白そうですよね。

西原:僕は映画をサントラから聞いていたりするんです。サントラが好きで、そのあとに映画を観るとか、それこそヴェンダースなんかは、ライクーダが入っていなかったらそんなに好きになることはなかったのかもしれないです。
それこそ『かいじゅうのいるところ』は、ちょうど”ヤー・ヤー・ヤーズ”のサントラがすごく良くて、それで期待を膨らませていますね。

有働:スパイク・ジョーンズも世代的に僕らと一緒くらいですもんね。

─東映の脚本の件ですが、簡単に”偶然にグランプリ”は取れないですよね(笑)?

西原:その当時、ハーモニー・コリンの『キッズ』という映画があったのですが、その脚本をハーモニーが高校生のときに書いたというので、それもあって東映がどうしても高校生にグランプリをとらせたかったらしく、そういう理由もあったと思うんですけれどね。で、16際とか17歳のときは、那須(博之)監督に毎日歌舞伎町に連れてかれてて──、朝の4時半くらいに監督に「じゃあ!」って別れられて、「どうしたらいいんだろう(困)」って(笑)。
あと、フィリピン人の女の子がいっぱいいるところで、監督が僕の携帯の番号をまくんですよ。すると、「次はいつお店にくるんだ?」って携帯にガンガン電話が掛かってきて(笑)。そうやっていろんな人の話しぶりとか、傾向をつかむ荒修行だったんですけれどね。

─荒修行というかヒドいですよね(笑)。

西原:ヤクザ映画も、昼の2時くらいに歌舞伎町に行くんですよ。そうすると本職の方がみなさんいらっしゃるんです。とにかく「映画を観ないで人を観ろ!」みたいな感じでした。

─それはすごい青春でしたね。

西原:スゴかったです(笑)。

有働:ははは(笑)。






(後編へつづく<2010年2月8日公開予定>)






LIFE





レーベル:UNPRIVATE ACOUSTICS
発売中
品番:UPRC-002
定価:2,625円

収録曲:
01. Prelude
02. Power of Self feat. Substantial
03. Livinʼ The Life -remix- feat. Steph Pockets
04. Weather Overtone
05. Beautiful Things feat. Amanda Diva
06. Now I Know feat. Pismo
07. Mind Tourism
08. Brazilian Daydream
09. Waltz For Jazz Things feat. Gregg Green
10. Moon Child feat. Nina Vidal
11. Dawn
12. Life feat. Kissey



西原健一郎



96年よりファッションショーの選曲を始め、以降東京コレクション パリコレクションなど国内外にて多岐にわたるショーやイベントで音楽ディレクションを担当し現在に至る。ウェブサイトやCMなどの音楽制作や、サウンドインスタレーション、公共の報知音や環境音等の制作・プロデュースなど様々な分野に音や音楽を提案提供している。オリジナル音源としてはKai Alceとのスプリット12インチシングルやEndless Moon名義の2枚のアルバム、ファッションブランドYAB-YUMからソロミニアルバムなどをリリース。
2007年アンプライベート株式会社を設立し、2008年自社レーベルよりリリースした7インチシングル「Nebulosa」に続き、初のソロフルアルバム「Humming Jazz」を発表した。

http://www.waxpoetics.jp/blogs/nishihara/


有働幸司




1971年生まれ。東京モード学園卒業後株式会社BEAMSに入社。
退社後ロンドンに留学。帰国後、国内ブランドの立上に参加。その後、独立し2004年よりFACTOTUM(ファクトタム)をスタートさせる。
FACTOTUMは、「デニムに対する深い思いと、モードとリアルクローズを融合すること。テーラード、ワーク、ミリタリーをベースにワードローブを展開。毎回、テーマとなる国をおとずれ、そこで出会った人や風景、空気からインスパイアされた服つくり」をコンセプトとしている。

http//:www.factotum.jp


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