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Interview : September 28, 2010 @ 03:11

Japanese Soul!!インタビュー 田中知之(FPM) VS Japanese Soul!! Crew 前編



FPMの田中知之が、テーマに沿ってジャンルレスな選曲によるミックスCD『Sound Councierge』シリーズにつづき、今度はジャンルに徳化したミックスCD『VERSUS(ヴァーサス)』シリーズをリリース!


その名の通り、”FPM”があらゆるジャンルの音楽と真っ向からぶつかり合うというのがコンセプト。


第一弾は、日本のロックシーンにガチ勝負!ということで、日本を代表するミュージシャンたちの音源を選曲。しかも、ハウスマナーでミックスした『VERSUS -JAPANESE ROCK VS FPM- selected and non-stop mixed by FPM』だ。


下降気味の日本の音楽業界に真っ向対決を挑んだFPM 田中知之に、今回のミックスシリーズについてのお話を中心に、影響を受けた日本の音楽についてなど、いろいろとお話を訊いてみた。






カネコヒデシ:本日は、よろしくお願いします!


田中知之(以下FPM):よろしくお願いします。
今日は渋谷の『古本市』に行ってきて、かなり昭和な感じで来ましたから、この番組がすごくいい感じですよ(笑)!


カネコ:ありがとうございます!
まずは、8月4日に『VERSUS』というミックスCDを──。


FPM:
そうです!ミックスCDを出しました。
今回は、日本語ロックでミックスCDを出そうと思いつきまして。。。
いつもは『Sound Councierge』という、いろいろなジャンルからひとつのテーマで選曲するというミックスCDをつくっていたのですが、今回はジャンル限定で、しかも自分が本来得意ではないジャンルに挑むという、そういう意味で『VERSUS』というシリーズを立ち上げたんです。
もともと真摯に日本のロックを聴いていたワケではないのですが、今回はこの選曲にあたりいろいろと日本のロックを聴きまして、自分の知っていた曲も知らなかった曲も入れて、22曲、ノンストップのミックスCDをリリースしました。


カネコ:
では、まずは何曲かつづけて、ミックスされている部分を──、どんなミックスのやり方をされているのかという部分も含めて、ぜひ聴いていただきたいですよね。


FPM:
とりあえず、行き当たりバッタリだったんですけれどね(笑)。
なんとかなったらいいなーという感じでミックスをしていますが、その中盤部分のなんとなくオシャレなゾーンを聴いていただきたいと思います。


カネコ:
では、『VERSUS』からオシャレな部分です(笑)。どうぞ!



12. ほし / 曽我部恵一BAND
13. sonar / sleepy.ab
14. Pretty Little Darling / 大橋トリオ
15. YES ~free flower~ / MY LITTLE LOVER
(『VERSUS -JAPANESE ROCK VS FPM- selected and non-stop mixed by FPM』より)



カネコ:
ミックスアルバム『VERSUS -JAPANESE ROCK VS FPM- selected and non-stop mixed by FPM』の中から、オシャレな部分4曲を聞いていただきましたが(笑)。。。


FPM:
“sleepy.ab”というのは札幌のバンドでして、ちょうどアルバムの中盤の部分なんですけれどね。


カネコ:
今回、日本のロックに注目したのはどういった点なのですか?


FPM:
じつは以前も日本の曲ばかりのミックスCDをつくったんです。
ただ、前作はいわゆるDJリミックス的な部分も選曲に含めていたので、今回はアーティストがオリジナルバージョンとしてリリースしたものに限定して選曲をしようと、そういう感じで選んだんですよ。
もともと洋楽思考の人間なので、ホントはこの番組とは逆行しているんですけれどね(笑)。日本語の歌詞の音楽をテレくさいという風に思ってしまうタイプの人間なんです、本来は。
でも、今回このミックスCDを作るためにいろいろな日本のロックを聴いてですね、歌詞がいいなと。なので、ミックスCDなんですけれど、全曲歌詞を読んで欲しくて、”歌詞カード”をつけてみました(笑)。


一同:
おー!


ラテン・ラス・カズ:
いいですね、ソレ!


FPM:“MY LITTLE LOVER”の「YES ~free flower~」ももちろん知っていたんですけれど、あらためて、なんていい曲なんだ!って思いましたね。今度、小林武さんにお会いする機会があれば「超カンゲキしました!」って、いまさらながらに言おうと思っています(笑)。


カネコ:
曲のテンポがだいたい一緒ですが、選曲はどういう感じで考えられたのでしょうか?


FPM:
最初は、デジタルで選曲したんです。
だから、曲をかけながら全部BPM(テンポの早さ)を計ってですね。。。


カネコ:
やっぱり、そうなんですね。


FPM:
BPMが120から130くらいの曲を選んで、その後に自分が好きかとか、歌詞の内容が恥ずかしくないかとか。いろいろなコトを考えながら、あとはやっぱりレコード会社的なオトナの事情がありまして(笑)。


カネコ:
やっぱり、そうですよね(笑)。


FPM:
そういう問題をいろいろ調整しつつ、選んでいったという感じです。


カネコ:
一応、レーベルは”avex”から出されていますけれど、そこ以外の音源も何曲か入っていますね。


FPM:
そうなんです!最終的にもろもろの事情をクリアしたので、ソニー音源もあれば、(東芝)EMI音源とか。いろいろな音源が収録できたのでよかったです。


カネコ:
最初にトラックリストをみたときに、それがスゴいなと思ったんです。


ラテン・ラス・カズ:
あ!プロの目線ね(笑)


FPM:いろいろとルールがあるから。


カネコ:
なかなか難しいんですよね。


FPM:
あとは、友達のバンドも何組かいて、「田中なら音源を貸してやろう!」って。そういうこともあってヨカッタと思っています。


カネコ:
ミックスに関してですが、今回はハウスマナーでミックスを行うというカタチを取られていますけれど。。。


FPM:
一応BPMを取りつつ、ミックスの”のりしろ”を作りながらですね、いわゆるラテン・ラス・カズさんがやってらしゃる”モーフィング”をやろうかなと(笑)。
“ソナー”と”スリピー”と”大橋トリオ”の部分なんですけれど、あたまと後ろからと選曲したら、最後にスリピーと大橋トリオが残ってですね、でも、それを合わせてみたらキーがまったく一緒だったんですよ。だから、あえてマッシュアップみたいなカタチで、ふたつとも歌を残してかけているんです。
最終的に自分の陣地の及ばないチカラが、左右したりして。。。そういう部分が、こういうミックスモノの醍醐味なのかなと。


カネコ:
なるほど!


ラテン・ラス・カズ:
歌詞にハマってしまうと、順番とかに制限が出てきますよね。
難しくないですか?


FPM:難しいです。
だから、歌詞を聞いているようであまり聞かないようにしたんですね。まあ、今回は、基本的には夏の歌で集めようと思ったんです。でも、一曲だけ、、、サカナクションの「ネイティブダンサー」って冬の曲なんです。それ以外は夏の曲ですけれど、そういうことを厳密にやりだしたら、”ノリ”のものでは無くなっていくのでね、あまり考えないようにはしました。
最終的には、自分の好きな曲がまとまっているようにしていて、コンセプシャルになりすぎるのも、どうなのかなって思ったので。


ラテン・ラス・カズ:
ディティールにこだわりはじめると、際限なくこだわっちゃいますからね。


FPM:そうなんですよ!DJって”ノリ”でやるでしょ?みなさん。
その”ノリ”感をすごく大切にしたんです。
ライブミックスを基本にしたので、”ノリ”はスゴく残せたかななんて思っています。


カネコ:
全体的な選曲の流れがすばらしいですよ。
歌詞の残し方といい、スゴく衝撃を受けました。


FPM:
字面で収録アーティストをみると、「何じゃこりゃ!」って思うんでしょうけれどね。後で自分でも思いましたから。だって、”ASIAN KUNG-FU GENERATION”からはじまって、”サンボマスター”で終わるって(笑)。
“サンボ”の前は”オザケン”だったり、”ソウルセット”がいて、”チャットモンチー”がいるとか。さらに”My Little Lover”がいて、”レミオロメン”と”スピッツ”がつながっていますからね。
もう、デタラメなんですよ(笑)。


カネコ:
それらが、すべてつながっているところがスゴいんですよ!


FPM:
愛があるのか、愛がないのか分からない状況で、一刀両断で選曲しているっていうね。
そこが逆に良いのかな。


ラテン・ラス・カズ:
まさに”ミックスの妙”ってヤツですね。


FPM:ありがとうございます。


カネコ:
この『VERSUS』シリーズですが、今後はどんな感じで進めていく予定なのでしょうか?


FPM:
とりあえず、一発作ったのでね。
たとえば、”K-POP”とか、”ジャパニーズヒップホップ”とか、”ラテン歌謡”とか、”ジャマイカンスカ”でもいいですけれど、そういういろいろなジャンルに挑んでもいいのかな。
『Sound Councierge』でジャンルの壁を取っ払ったので、今回は極限までジャンルに限定して選曲するという意味で、狭い部分を突くにはアリだと思っています。


服部:
それは、たのしみですね。


ラテン・ラス・カズ:
国をまたぐという感覚もいいですよね。


FPM:国をまたぐのもアリですね!
例えば”スカ”というジャンルで、国をまたぐ方法もありだし、エキゾチックでくくるのも面白いかも。
とりあえず、自分が普段あまりDJでプレイしないものをつないでいくというシリーズにしていけたら、いいなと思っています。


カネコ:
いや、それが実現できたら、すばらしいですよね。


FPM:
ありがとうございます。



(田中知之(FPM)VS Japanese Soul!! Crew 後編へつづく)






『VERSUS -JAPANESE ROCK VS FPM- selected and non-stop mixed by FPM』






レーベル:avex trax(AVCD-38079)
価格:¥2,100(税込)


>>>レビューはコチラ



FPM
http://www.fpmnet.com/




Japanese Soul!! Crew
日本に存在する多くの名曲をオシャレに、且つアカデミックに紹介するプロジェクト。
ラジオ番組『Japanese Soul!!(ニッポンの魂)』やイベント『Japanese Soul!! ナイト』、DJなどによる空間プロデュースなど、幅広い分野で活動中。
メンバーはプロジェクトによって流動的だが、本インタビューではカネコヒデシ、服部全宏(GO PUBLIC)、LATIN RAS KAZ、DAISK8(SwingBoys)、Kaoru(Kaoru with Lovemarmalade)の5人。
ラジオ番組の放送は、SHIBUYA-FM 78.4MHz、毎月第二、第四木曜日の19:00から。
http://japanesesoul.jp/




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