TYO magazineトーキョーマガジン

Archive

 

rss 2.0

Interview : October 7, 2010 @ 15:48

ACOインタビュー 『ACOの現在進行形(前編)』




4年半ぶりとなるアルバム『devil’s hands』をリリースしたシンガーソングライターのACO。


90年代にR&Bの歌姫として活躍していた彼女だが、今作はそのイメージをまったくもってくつがえした、ブラックミュージックでもなく、ロックでもなく、フォークでもない、、、ACO自身が歌いたい、彼女流のポップだった。


しかも、活動15年目をむかえた現在も、そのすばらしい歌唱力はかわっていない。

まさに、彼女の”いま”を表しているいちまいである。


今回は、アルバムをリリースしたばかりの彼女に、今作についてのお話を中心に、いま思っていることや考えていることなどについて、いろいろとお訊きした。





─今回のアルバム『devil’s hands』は、どういったコンセプトでつくられたのでしょうか?


(制作に)約2年くらいかかったんですけれど、コンセプトというものはあまり無く、以前からつくりためておいた曲が数十曲くらいあったので、その中から抜粋したアルバムなんです。
その中に「devil’s hands」という曲があって、それをアルバムタイトルにしました。


─なるほど。
タイトル曲の「devil’s hands」ですが、歌詞のとある部分がストーカーの気持ちっぽいイメージがあったり、ちょっとすごい世界だなと思いまして、、、詞がけっこう重い印象を受けました。


え!ストーカーの歌じゃないですよ(笑)。


─いや!もちろん、そうだとは思うんですけれどね(笑)。


あまり重いつもりでつくったハズではなかったんですけれど。
でも、聴く人によって、、、ズバリ”その中”にいる人にとっては重い感じにとらえられるのかも。
いま、病んでますか(笑)?


─ボクですか!?ボクは病んでいるっちゃ病んでいるかもしれないです(笑)。


そういう気分の時に聴くと、落とされるのかもしれないですね。


─音的にはロックというか、ポップスというか、、、そういう感じでつくられていますよね。
しかも、ちょっと音もおさえた感じで、それに乗る詞も、、、例えば「のらねここ」という曲は「わたしはヒステリック」からはじまったり(笑)。


「のらねここ」は、アルバムの中では明るめの曲なんですけれどね。
音のことを言うのであれば、生で録っていると、明るい感じにならない傾向はあるかもです。
トラック──打ち込みでつくった音の方が、逆に明るいかもしれない。


─なるほど。
ボクがいちばん最初にACOさんを意識したのは、「揺れる体温」のときなんです。
当時は、R&B的な曲調に、歌い方もちょっとソウルな感じでしたが、いまと比べて何か変化はありましたか?


あまり無いんです。
今日もR&Bを聞きながら来たし。。。
ホントに何でも聴くので、ジャンルとか、そういうくくり方を自分自身もしていないんですよ。
曲のつくり方は変わりましたけれどね。
むかしは、MTRとかでサンプリングをしながら曲をつくっていたんです。
でも、いまは楽器を弾きながらやっているので、そういう部分も影響しているのかも知れないですね。
でも、わりとライトめにと思ってつくっていたんですけれど、暗いですかね(笑)?


─そうですね、
最初に音源をいただいてお聴きしたときに、「今回はけっこう重いのかなー」なんて。。。
第一印象ですけれどね。
やっぱり日本語の歌詞だとダイレクトに感じてしまう部分がありますから。


音的に、ブラックミュージックのテイストよりも、ロックテイストのモノの方が個人的にライトなイメージなんですけれど。
まあ、歌詞が暗いっちゃ暗いのかな(笑)。


─タイトル曲「devil’s hands」の歌詞は、どういった感じから歌詞が生まれたのですか?


いっぱい曲をつくっていた中のひとつなので、その時の状況はじつはあまり覚えていないんです。
でも、80年代ブームがつづいていたことにちょっと嫌気がさしていて、、、自分の青春が90年代だから、もう一回90年代が戻ってこないかなーなんて思ってつくった曲なんですよ。
でも、90年代っぽいのか分からないな(笑)。


─ACOさんにとって90年代とは、どんな時代でしたか?


MTVみたいな感じです。
ちょうど高校生だったので、家に帰って、深夜テレビのなんとかヒットUKみたいな番組を見て、そこでニルヴァーナがかかっているし、黒人音楽も全盛期になっていった、みたいな、、、そういう時代だったかな。


─いまのR&Bと90年代のR&Bとはだいぶ要素が違っていて、、、90年代の方はジャズの要素が強かったイメージなんですけれど。


そうですね、スタンダードなものが多かったですよね。


─個人的には90年代のジャジーなR&Bの方が好きなんです。
ACOさんもそういう感じだったと思うのですが、その”流れ”みたいな部分は、今作にもなんとなく通ずるものを感じました。
だから、ずっとブレていないんだと思ったんですけれどね。
4年半ぶりということで、自分のなかから生み出してみて、どんな感じなんでしょうか?


自分の作業は、むかしからあまり変わっていないんです。
曲を書く段階では自分のなかで完結していることなので、以前とまったく変わらない作業なんですよ。
そこからレコーディングに行く部分に変化はありましたけれど。


─なるほど。
デビューしてちょうど15周年ということなんですけれど、この15年はどんな時代でした?


時代がスゴく変わったということは、実感しています。
18歳でデビューして、いま33歳なんですけれど、(たった15年で)いろんな時代を見てきたなって思いますね。
あと、みんな、浮気性だななんてことも思いながら、、、まあ自分もそうなんですけれど。
どれも好きだし、「もういいや!」って、最近はもう悟りを開いた感じです(笑)。


─90年代後半から、目まぐるしくいろいろなカルチャーが変わりましたからね。
クラブカルチャーもアレだけ盛り上がっていたのに、いまはちょっと元気がなかったり。
以前は新しい音を求めてとか、そこで何か新しいことが起きているのかも?とかいう期待感があって、外に出ていたんですけれど。
いまの若い人たちは、どういう感じで遊んでいるんでしょうかね?


彼らってお酒も呑まないし、お金をためているらしいですよ。
何して遊んでいるんだろう?


─クラブよりはカラオケみたいな動きなのかもしれないですよね。





( 『ACOの現在進行形(中編)』へつづく)







ACO
『devil’s hands』





レーベル:AWDR/LR2(DDCB-12030)
価格:¥2,200(税込)
発売日:2010年10月6日


>>>レビューはコチラ



□ACOライブ情報

2010年10月14日 @代官山UNIT
2010年11月14日 @渋谷O-east

・ワンマンライブ公演概要
2010年12月23日
ACO devil’s hands release live “our hair style”
@Shibuya WWW

OPEN/START:18:00/18:30
ENTRANCE(avd/ door):¥4,500/¥5,000

Information:Shibuya WWW
URL:http://www-shibuya.jp/index.html
MAIL:info@www-shibuya.jp




ACO プロフィール


(Photo by Sebastian Mayer)


1995年、シングル「不安なの」でデビュー。
1996年、ファースト・アルバム『Kittenish Love』を発表。
1999年、ドラマ主題歌にもなった「悦びに咲く花」(砂原良徳と共作)を収録した4thアルバム『absolute ego』を発表、このアルバムはDragon Ashの「Grateful Days」にACOが参加したタイミングとも重なり、大ヒットを記録、一躍トップアーティストとしての地位を確立した。その後、mum、Adrian Sherwood、岸田繁(くるり)をはじめとする国内外の様々な才能とのコラボレーションを行い、バンド「golden pink arrow」も始動。ポップさと先進性を兼ね備えた個性的なアーティストとして大きな存在感を示した。また、女性からファッション・アイコンとしても人気が高く、そのオリジナルな存在は音楽以外でも注目を集めている。
2007年末、数年のソロ活動休止を経て、再び活動をスタート。
2009年、ソロ楽曲の制作に取りかかり、デジタルオンリーで数曲を発表。
2010年、4月に久々のワンマン・ライヴを渋谷クアトロで行い、会場に入りきれない程のファンがかけつける。
2010年、10月には4年半振のニューアルバム『devil’s hands』を発表。
特に、生まれ持った存在感抜群の歌声は、圧倒的に個性として大きな可能性を秘めている。




Comments are closed.

Trackback URL