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Interview : January 20, 2011 @ 03:39

小林博憲(copa salvo)インタビュー──マンボの狼(前編)



ラテンロッカーズ バンド”copa salvo(コパ・サルーヴォ)”が、活動10周年をむかえ、20人編成のマンボ・オルケスタを結成し、アルバムリリースに加え、ビルボードライブ東京でのライブをするなど、ちょっと激しい動きをみせている。


今回は、”copa salvo”のリーダーの小林博憲さんをお迎えし、10年間の活動についてやマンボ・オルケスタの結成、そして2011年1月23日に行われるなどビルボードライブ東京でのライブについてなど、2回にわたってお話を伺った。





──活動10年間の軌跡


カネコヒデシ(以下 カネコ):さてさて、今回は、なんでまた”マンボ オルケスタ”を編成させたの?
総勢20名って、これはもともと付き合いのあるひとたち?

小林博憲(以下 小林):
基本的にはそう。
みんな”ルイス(・バジェ)”というキューバのおっさんがいて、その人に紹介してもらった人たち。
ルイス(・バジェ)との出会いは、もうひとりの”ルイス(・サルトール)というチャランゴの名手がいて、彼のレコーディングにオレらが参加したときにルイス(・バジェ)の兄のペドロが来ていて、、、ペットのルイスの兄のペドロが、チャランゴのルイスのレコーディングに来ていて──って、ルイスばっかだね(笑)。

カネコ:ハハハ(笑)。
ルイス(・バジェ)は以前から知っていた?

小林:
いや、最近。サルトールの方は、プランツの流れで前から知っていたけれど。
でも、ペドロの弟なら同じ感じで話せるから話が早いってなって、彼に連絡を取ってメンバーを集めてもらったんだよ。まあ10周年なので、そういうマンボのオルケスタもやりたくて。。。ラテンとかいろいろやった中で、マンボがカッコイイからやっちゃえみたいな(笑)。

カネコ:
それは昔からやりたいと思っていたの?

小林:
いや、2年くらいかな、、、温めていたのは。
でも、みんなにも生活があるから、なかなか難しいよね。

カネコ:
人数が多いと動かすのも大変だし、労力もかかるから。

小林:
オレがキチンとバンドをやろうと思ったのが、2年くらい前で。

カネコ:
えっ!?10年経つのに(笑)?

小林:
そう!これはキチンとやろうかなって思って。
そのときくらいかな、、、10周年っていうことで、コレってお金つかいますか!みたいな(笑)。

カネコ:
みんなやっぱりバンド貯金みたいなコトはやっているんだね。

小林:
オレらはギャラを一切取らないで、オレらの中だけでは社会主義ね(笑)。
そういう感じで全部貯めているよ。
ニューヨークのラティーナも地位が低くて、みんな仕事をしながら夜中に歌いに行ったりとかしているから、オレらもそういうスタイルで、、、地位が低い感じでね(笑)。

カネコ:
地位が低い感じって(笑)。

小林:
でも、”ハレとケ”だけしっかりしようと思っていて。。。ずっと”ハレ”のままでミュージシャンばかりやっていると、ぜったいバカになるんだよ。考えも人離れしてくるし。

カネコ:
たしかに!
ちなみに、今回の音源はわりと土臭さを感じなくて、もちろんカヴァー曲というのもあると思うんだけれど、、、そういうコンセプトだったり、音的な部分の話し合いみたいなことはバンド内でしたの?

小林:
いや、オレらは音のコンセプトがないんだよ、毎回。
だから、出来上がったモノがそういう風になったり、ならなかったりという感じ。
今回は、こういうのをやりたい!ってなって、一応自分らなりにアレンジも考えたけど、原曲の方がすばらし過ぎて、変えようがなかったというか。。。このままやった方がカッコイイし、これを自分で編集するのもカッコ悪いと思って、というところかな。そのアレンジでやっても、こういう感じにならなかったよ。
でも、原曲よりかはオレらのニュアンスが出ているからいいかな。やる人が違うと変わるんだなって。





カネコ:
なるほど。
すごく洗練されたラテンというか、サルサの感じを受けたのね。

小林:
これらの曲ができた時代って、いちばん洗練されている時期なんだよ、マンボの時代!
土着の人が始めたリズムがニューヨークに行って、ジャズとかと合体してマンボになる。そのあと2世たちがストリートで、それを見よう見まねでサルサを始める。”野から上がって、洗練されて野に下る”という流れだけれど、いちばん洗練された時期だと思うよ。で、サルサが洗練されすぎて歌謡曲みたいな感じになったんだと思う、、、オレの印象だけどね。
50年代って、どのジャンルもすばらしい音楽ばかりじゃない?まさに黄金期だと思う。いろいろなものが勃興して、いろんな世界からニューヨークに集まって、そこから派生して、まとまりはじめた時期の音楽。ジャズの人は、もっと洗練されて、クールになったり、ハードバップにいったり。
サルサは、移民の第2、第3世代とかがファンクと混ぜてブーガルーになって、それがさらにサルサになってって、純粋に混ざりあっていると思うね。
それを何年後か──、オレらみたいなのが、さらにいろいろな音楽を混ぜてやる。ラテンって難しい音楽なので、ウマいヤツがいっぱいいるんだけれど、それを下手なオレらが曲がりなりにもやっていて、、、オレらでもできるんだから、若い人は「すぐコンガ買え!」ってね。そう思ってやっているよ。
やっぱりオレらみたいなポンコツがマンボをやるというのは、自分の中ではけっこう大トピック!
自分でも「マンボになるのか!?」と思いながら作ったけど、コレがけっこうマンボになっていて(笑)。
だから、はやくライブをやりたくて仕方がないよ。

カネコ:
デビュー10周年というところで、いままではどうだったの?
例えば、つらい思い出的なものは?

小林:
あり過ぎだよ(笑)!
ツアー中に、車が高速(道路)で故障で5回くらい止まったことがあって。。。クリスマスのときに厚木で泊まったことがあるよ、ライブの帰りに。
みんな家庭とか予定があるからクリスマスに間に合うように帰ってきて、あと1時間で帰れるってところで故障(笑)。
みんなを帰らして、オレともうひとりで、厚木の日産かどこかで「朝に人が来るまで、ココにいてください!」みたいな感じで、待たされて(笑)。

カネコ:
えー!!?

小林:
クリスマスにメンバーとふたりで「寒い!」って(笑)。
当時は、9人と機材をバンに乗せて行っていたんすよ。ウッドベースとかは、吊るしていたし(笑)。
アレ、楽しかったなー。でも、もうできないよね。もうみんな歳くってやりたがらない。

カネコ:
すごいな、ソレ(笑)。
ちなみにいちばんいい思い出のライブは?

小林:
オレらすごく沢山ライブしていて、まあロックバンドには負けるけど。
だから、、、どれも楽しかったな。
ライブではないけれど、レコーディングで行ったキューバはもう一回行きたいね。
自分の中の変革期の話で”ブエナビスタ前”、”ブエナビスタ後”というのがあって、当時は”ブエナビスタ前”で、オレらみたいなラテンとかサルサとかに興味のない人間が、そういう音楽をやることにステイタスを感じていて、その考えのままキューバに行ったんだけど、で、「ウワー、スゲー!」って(笑)。
行ったら変わったね、むちゃくちゃよかった。そこからブエナビスタが好きになったり、ラテンがすごく好きになったり、サルサとか、マンボに行きつく。
だから、金があるんだったら、1ヶ月くらいコッチのスタジオをロックアウトして、、、って、その方が良いモノができるんじゃないかな。いまの状態で当時のキューバにいきたいね。
レコーディングはエグレムというスタジオだったんだけど、当時は古い方のスタジオも残っていて、スタジオの中が体育館くらいあって、、、で、寒い(笑)!外がハンパなく暑くて、オレら外国人でゲストだから、キンキンに冷やしてくれていて、、、でも寒い!みんな上着を着てやっていたもん(笑)。

カネコ:
常夏の国なのに(笑)。

小林:
それでなのか、みんな腹をこわしちゃって。

カネコ:
水のせい?

小林:
水もあったのかも。でも、絶対寒いからだよ。”寒い”と”暑い”の繰り返しで、スイッチもONとOFFしかないから、空調の調節もきかない(笑)。
ピアノの調律が狂うくらいの温度差だよ。だから毎日調律入れてやっていたなー。ホテルの部屋もそう。
まあ、いまの感覚で”当時の”キューバに行きたい。そうしたら全然違うものができると思うね。
キューバに行って、キューバじゃない音楽をやるっていうのが、あのときのアルバムのコンセプトだったから、、、いまは違うけれどね。”何もしらないヤツがキューバに行って録音することに意義がある”って思っていて、でも行ったら「シクったな」って。オレ何意地はっていたんだろうって(笑)、若気のいたりっす。
ほんとショックで、それだけが悔しい。
だから、もう一回行きたい。




(後編へつづく)





□アルバム
Orquesta copa salvo
『Los lobos del mambo』



レーベル:plants / P-VINE Records(PECF-3011)
価格:¥2,625(税込)

>>>レビューはコチラ



□ライブ情報
2011年01月23日(日)
Orquesta copa salvo
Los lobos del mambo
@ビルボードライブ東京

>>>詳細はコチラ



□Orquesta copa salvo プロフィール



祝!10周年
ラテン・ロッカーズ copa salvoが超豪華マンボ・オルケスタ編成に!
その名もOrquesta copa salvo!
待望のフル・アルバム「ロス・ロボス・デル・マンボ」”マンボの狼たち”2010年11月17日にリリース。

http://www.copasalvo.com/
http://twitter.com/copasalvo



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