TYO magazineトーキョーマガジン

Archive

 

rss 2.0

Interview : April 12, 2011 @ 19:23

“Agoria”インタビュー──恍惚の”諸行無常”サウンド(前編)



フランチェスコ・トリスターノ・シュリメなどが所属する音楽レーベル”アンフィニ”を主宰し、地元フランスではロラン・ガルニエとならぶほどの人気を誇るDJ/音楽プロデューサー”Agoria”。


そんな彼が、日本語でいうと”諸行無常”なるコンセプトのアルバム『インパーマネンス』をリリース。

デトロイト出身の世界的テクノDJの”カール・クレイグ”がリミックスではなくボーカルで参加し、ちまたで話題となった「Speechless」や、ボーカノイドの”初音ミク”をフィーチャーした「Heart Beating」などを収録し、いままでのダンスミュージックの概念を打ち崩した、ナイスなアルバムだ。

クールなイメージとは裏腹に、意外にもかなり”ひょうきん”な面を持つ彼に、今作『インパーマネンス』のコンセプトについて、カール・クレイグへのボーカルオファーについてなど、いろいろとお話を伺ったインタビューの前編。






─今作『インパーマネンス(Impermanence)』は、どんなコンセプトでつくられたんですか?またタイトルの意味を教えてください。


タイトルは、日本語でいうと『諸行無常』というのかな、次から次へと新しいものに変わっていくという意味。
最初は、もう少し面白いコトバがないか悩んだんだけれど、ドイツの『GrooveMagazine』編集長のヘイコ・ホフマンと話して、そのコトバを使うことにしたんだよ。その理由が3つあって。。。
ひとつめはトラックリスティング。
曲の流れが、ひとつの曲がおわったら次の新しい曲が流れるという、川みたいな感じで流れているという感覚。
ふたつめは、現在世界情勢の動きが早くて。。。
ツイッターとかフェイスブックとか、その瞬間のものがすぐタイムラインとして流れていくイメージ。この作品は、ボク自身のワンショット、瞬間のものであると見て、それが諸行無常ということ。
最後は、テクノミュージック。
とくにアーリーテクノのループものに関しては固定されたイメージがあって、それをすこしだけ変えて違うものに変化させていくという部分がタイトルの雰囲気を表していると思う。
“スティーブ・ライヒ”の音楽で「フォー・オルガン」という曲があって、4台のオルガンの同じ音が流れるんだけど、リズムが違うから重なり方によってはズレが生じるんだ。ループで流れているのにパターンが違うから、ズレでどんどん違うものに変化していくという、すごく面白い音楽なんだよ。そこからインスパイアされて、”インパーマネンス”というイントロを作ったんだ。一瞬、同じように聞こえるんだけれど、よく聞くと違うものに変化している。そいうものにコンセプトとして興味があったんだよ。
だからといって、すべてを科学的に考えているワケではないけどね。


─今作は、ダンスミュージックというよりは、ポップスアルバムに感じました。ロックとか、ポップス、クラシック、、、いろいろな要素を感じたのですが、ご自身ではどういうイメージで作られたのでしょうか?


それはふたつあって。。。
一点は、テクノミュージックはもともといまのダンスミュージックという、狭いジャンルのイメージではなかったということ。アンビエントなものがあったり、ビートのないものがあったり、、、初期はだいぶ自由に作っていたんだ。もとは幅広いエクスペリメンタルなところのモノで、今回のアルバムではそれを表現したかった。まったくのノープランではじめたんだけれど、だいぶナチュラルに出てきたよ。クラブ系の音は意識しなかったね。いろいろなジャンルが混ざったエクレクティックなモノでも、個人的には問題はなかったから。いまの若い人はインターネットでいろいろな音楽を聞けるから、いろいろな音楽を発見できる時代でもあると思う。それに音楽を買うというカルチャーが衰退しているので、このジャンルを作って何十万枚も売れないといけないというプレッシャーもない。好きなようにやって、それを気に入ってくれる人たちに買ってもらう。そっちにフォーカスする時代なんだと思うね。だから、今回はアーティストとして自由に音楽がつくれたよ。お客さんもロックとか、ポップになったとしてもそんなに気にしないと思うね。本当にボクの音楽が好きなヒトたちだと思うから。
あと、もう一点は、このアルバムはクラブ用、家用の両方に使えるアルバムだと思う。自分では家で聴く用と思って作った曲も、”DOMMUNE (ドミューン)”でDJしたときにフロアーの反応がよかったしね。だから、家でシャワー浴びているときも、メイキングラブのときも、クルマを運転しているときも、いろいろな状況で聞けるアルバムだと思うよ。





─今作では、カール・クレイグがヴォーカルで参加していますが、彼とのコラボレーションについて、曲の制作過程を教えてください。


彼をボクがレジデンスをやっているパリの”REX”というクラブのパーティに呼べる機会があって、ショウの前に一緒にディナーを食べたんだ。その時の彼の話す声に酔ったというか、聞き惚れたのさ(笑)。彼の声があまりにもディープでセクシーだったから、催眠術にかかったような感じになって、リミックスよりも「ボーカルをやってくれないか?」と頼んだんだ。
そうしたら快諾してくれて、、、、その後ベーストラックを書いて彼に送ったら数日後に歌詞が送られてきて、その歌詞がさ、またユーモアがあって。。。セクシーすぎてさ(笑)。ボクが想像していたものとは違うものが来たんだけれど、ソレが逆によかったんだよね。アルバムのタイトルが固かったから。だから、うれしかったよ。
このアルバムではいろいろなボーカリストに参加してもらっているけれど、みんな一緒に面白いことをやってみようというところでやってくれていて、ダレダレを使ったら売れるとか、そういう感じでやったワケではないんだ。
すごくナチュラルな感じで、やれるひととやったというのがこのアルバムさ。


─カール・クレイグにヴォーカルをオファーをしたときの彼の反応はどうだったの?


彼はすごくいい人でさ。
“ムーブメント・フェスティバル”にボクが出ることになってデトロイトに行ったんだけれど、彼はいろいろなところに連れていってくれたよ。デトロイト市長にも紹介してくれたし。。。そのときに行政とイベントを作っていく難しさについて話してくれたよ。あれだけすばらしいことをやっているにもかかわらず、行政からはまったくサポートがないという状況は残念だよね。
あとはフランチェスコ(・トリスターノ・シュリメ)とかと、デトロイト郊外にあるいちばんおいしいレバニーズレストランに連れて行ってくれたり。。。すごくイージー ゴーイングなヒトなんだ。だから、オファーしたときもいいよ!って(笑)。
ボクと彼とはすごく似ているポイントがあるんだ。彼はデトロイトで、ボクはリヨン、お互い自分の街のためにガンバっている。カールは”Detroit Electronic Music Festival”のオーガナイズをやって、イベントとして大きくしていこうとしている。ボクはリヨンで”NUITS SONORES(ヌイ・ソノール)”というフェスティバルを8年間やっていて、、、毎年5日間で8万人のお客さんがくるんだけれど、エレクトリックミュージックのフェスではフランスでは最大のイベントだよ。
それにお互い大きい街を回ってDJをするけど、自分のイメージだけを上げるのではなく、自分の育ったところで”何か”をやるというのが重要だと思っている点ね。





(後編へつづく)






Agoria
『Impermanence』



レーベル: U/M/A/A /(XECD-1130)
価格:¥2,200

トラックリスト
01. Kiss My Soul
02. Souless Dreamer
03. Panta Rei
04. Simon
05. Speechless
06. Grande Torino
07. Heart Beating
08. Little Shaman
09. Under the River
10. Libellules
11. Speechless (Whisper Dub) (日本盤ボーナス・トラック)
12. Heart Beating (sasakure.UK“Vocaloid”Mix feat.Miku Hatsune)(日本盤ボーナス・トラック)



□Agoria プロフィール



フランスはリヨン出身のDJ&プロデューサー、アゴリアはフランス国内では既にロラン・ガルニエと並ぶ程の人気を誇るビッグネームだ。
1997年に自身の作品を制作するようになった彼は、2000年にはDJとして初めてフランスの新たな芸術家を育成する為の基金、FAIRの助成対象者に選出された。
2005 年の『Cute & Cult』、2007年の『At The Controls』、2010年の『Balance 016』、そして2011年には『Fabriclive』もリリース予定と、DJとしての人気は世界的に高く、日本でもWOMBやageHaといったクラ ブでのプレイで大成功をおさめている。
2003年のデビュー作『Blossom』、そして2006年のセカンドアルバム『The Green Armchair』ではゲストにトリッキー、ネネ・チェリー、バウハウスのピーター・マフィー、プリンセス・スーパースターなど錚々たるスター達が迎えられた。
2008年にはリュック・ベッソン率いるヨーロッパ・コープの制作による衝撃作『ゴー・ファースト 潜入捜査官』の音楽を担当し、同名のアルバムを発表して日本でも人気を博した。
2011年の『インパーマネンス』は自身のレーベル、アンフィニから初のリリースとなった。

・オフィシャルサイト
http://www.umaa.net/artist/agoria/
hhttp://www.myspace.com/agoriagoria
http://www.infine-music.com/



衣装協力:
アニエスベー

協力:
PUBLIC HOUSE


Comments are closed.

Trackback URL