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Interview : June 27, 2011 @ 22:14

『DENHAM』デザイナー “ジェーソン・デンハム”インタビュー



オランダのデニムブランド『DENHAM(デンハム)』の日本第一号店、デンハム代官山店が2011年6月でオープン1周年を迎えた。


“DENHAM”が発信するさまざまなコレクションは、素材やディテール、カットにかなりのこだわりをみせ、いま人気上昇中のブランドだ。


デザイナーは、イギリス人の”ジェーソン・デンハム(Jason Denham)”。

オランダのブランドで、イギリス人がデザインし、アムステルダムと日本にお店があるという、とても不思議なブランドなのである。

今回は、デザイナーの”ジェーソン・デンハム”氏に、デンハム代官山店のオープン1周年を迎えてのいまの気持ちなどをお聞きしてみた。





─代官山のお店がオープンして1周年が経ちました。いまのお気持ちを教えてください。


とてもハッピーだよ。
もう一年経ったのか!?って感じで、、、ホント早かったね。短いながらも、日本で事業をつづけられたことはとても嬉しいかな。
でも、とりあえず10年はやっていきたいので、今後もいろいろと企画を考えているよ。
それが、いまからすごく楽しみ。


─2011年の秋冬コレクションがすでにあがっていますが、テーマを教えてください。


今シーズン、一番大事にした部分は”リカット”というシリーズ。
このブランドが立ち上げからやっているラインなんだけれど、古い生地からあたらしい服を作るというモノで、デザインがけっこうモダンなんだ。それにデザインだけじゃなく、機能性を重視しているので、ほんとに使いやすいと思う。
ディテールにもかなりこだわっていて、、、そのすべてに意味があるんだよ。


─コレクションのジーンズを制作するにあたって、いろいろと旅に出られていると思いますが、いままででどこのデニムが面白かったですか?


“DENHAM”は、コスモポリタンなブランドなんだ。ボクはイギリス人で、事務所はオランダのアムステルダム。だから、地球の中で、一番うまくできるところをいつも探しているよ。
最近だとインディゴのライセンス会社の”WOAD inc.”とコラボレーションしたのと、イタリアでもやっているし。。。
でも、ココロは日本。ブランドを始めた3年前から、岡山の生デニムが、デンハムのベースになっているよ。日本製のシリーズはこれからもやりたいね。
もちろん、新しいテクニックと、あたらしい作り方も探している。”ワット”という、水一杯だけでウォッシングできる、ウォッシング プロセスがあって、その手法を使用したりして、エコのこともキチンと考えているよ。


─いままでにコレクションしたヴィンテージ デニムの中で、どのジーンズが印象的でしたか?


いまは5階建てのビルをかりて、そのうちの1フロアーが自分のヴィンテージのコレクションルームになっているんだけれど、そこには、いろいろな形のデニムを保管してあるよ。
例えば、1939年の日本の火消しの人が履いていた、、、いわゆる消防士用のデニムのパンツかな。これはホントに美しいよ。
それと同時代のアメリカで履かれていた、リーバイスのジーンズ。
もっとたくさんの、いろいろな種類のデニムを持っているけれどね。


─それらのヴィンテージのデニムはどこで見つけたのですか?


それも、いろいろな国なんだけれど。。。1940年代のリーバイスのジーンズは、日本で見つけたよ。あと、日本の火消しデニムはロンドンで。
いいマーケットがロンドンとかロサンゼルスとか、パリにあって、そこからいろんなモノを探すよ。アムステルダムでも買うし。マーケット、ディーラー、、、とにかくあらゆるところから買っているよ。それは、昔からの趣味なんだ。
で、これらのディテールが、ボクのアイディアに生かされているというワケさ。


─デンハムと言えば”ハサミ”のアイコンですよね、これは何のハサミなんですか?


これは、ボクが大学で初めて使ったハサミなんだ。そして、仕事をはじめてからも、このハサミで最初のパターンもカットしたし。これを使ってジーンズをつくって、”U2″の”ボノ”とLVMHのプロジェクトに参加したり、他のプロジェクトもやったり。。。
このハサミで、すべてのジーンズを作った、まさにボクの人生だよ。
ブランド名の”DENHAM”はボクの名字なんだけれど、実は”DENIM(デニム)”の代名詞と一緒のコトバなんだ。だから、ブランドだけじゃなくて、ボク自身のアイコンでもあるね。


─デニムにこだわる理由はなんなんでしょうか?


デニムジーンズは、ボクが学生のときから、どんなときも履いていたんだ。それに、他の素材だといろいろと制限がでるんだけれど、デニムは色とか、形とか、何でもできる。
趣味だし、、、情熱だよ。


─それでは、日本の人にメッセージをお願いします。


今回の大震災で、日本人は”タフ”だと再確認したよ。
ボクは震災当時、香港にいたんだけれど、空港が閉鎖されてすぐに日本に来られなかったんだ。最初は、連絡も取れなかったから、ずっと心配していたよ。
無くなりそうになった時こそ、大事なモノが分かるというけれど、今回の件で、自分がどれだけ日本が好きなのかがわかったね。
それに、一番ビックリしたのは、日本人の強さ。大変なコトがあっても、頑張るという『武士道』ね。キミたちが「あきらめない」ということを知っているから、とてもリスペクトしているんだ。
だからこそ、もっと日本のために頑張りたいと思って、東京だけじゃなくて、いろいろなところにお店を出す方向で動いたりしているし、あたらしい事業ができて、何かサポートができればいいよね。


(おわり)


※写真は、ジェーソン・デンハム(左)、右はDENHAM JAPAN CEOの根岸洋明氏。





デンハム代官山店
東京都渋谷区猿楽町25-8
TEL. 03-3463-2258



ジェーソン・デンハム(Jason Denham)
『DENHAM』デザイナー


イングランド生まれ。
1992年、U2のジーンズを製作している『Joe Casley-Hayford(ジョー ケイスリー ヘイフォード)』のワークショップから始まり、『Pepe Jeans(ペペジーンズ)』のプロダクトマネージャーとしてキャリアを積んだ後、Clinic+を設立。
LVMH “Swift denim & Kuyichi”のデニム市場に於ける明確な位置付けを確立させた。
2001年、Blue Bloodを設立。
2009年春、The DENHAMレーベルを始動。
クリエイティブ信念は「実用的なガーメントを作ること」。


DENHAM
http://www.denhamthejeanmaker.com


Denham Garment Library
http://denhamgarmentlibrary.blogspot.com/


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