TYO magazineトーキョーマガジン

Archive

 

rss 2.0

tokyo feature : September 1, 2011 @ 16:04

『プロジェクト FUKUSHIMA!』へ行く



大震災から早6ヶ月。

猛暑だった日々も忘れてしまいそうな、夏のおわりの今日このごろ。



地震や津波の影響をうけた被災各地は、やっと復興への一歩を踏み出しはじめているのですが、なかなかその一歩が踏み出せないでいるのが福島県の”中通り”と”浜通り”地方。


2011年3月11日に起こった東京電力福島第一原子力発電所の事故は、いまだ収束のメドすら経っておらず、放射性物質の影響によりさらに拡大する計画的避難区域、酪農や農作物など食品への影響など、暗いニュースばかり。


しかし、そんな福島を盛り上げ、福島から世界にむかってカルチャーを発信していこうと、音楽家の大友良英さんと、遠藤ミチロウさん、そして詩人の和合亮一さんの、3人の福島県出身者が立ち上がり、2011年8月15日に福島市で開催されたのが『プロジェクトFUKUSHIMA!』。

音楽ライブをはじめとした、さまざまな催しを企画し、あらためて福島を見つめ直すというフリーイベントなのです。

今回は、その『プロジェクトFUKUSHIMA!』に参加してきました。




昼過ぎに福島駅に到着。

若干、いや、かなりあやしい空模様を横目に、会場の「四季の里」と「あづま球場」のある『あづま総合運動公園』方面まで、寄付制のシャトルバスで移動しました。





『あづま総合運動公園』は、高校以来かな。
高校の部活系の大会か何かで行ったのが最後。
なので、約20年ぶり。

そんなワクワク感も持ち合わせつつ、バスに乗り込み、出発。


市内には「がんばろう、福島」の”のぼり”がチラホラ。





ガンバって欲しいのはヤマヤマなんですけれどね。。。

そして、こちらは『阿武隈川』。





東北では『北上川』に次ぐ長さの一級河川。

ちなみに『阿武隈川』の流域でも、二本松市方面では若干放射線量が高い場所もある模様。
やはり河川は風の通り道なんでしょうな。



さて、バスにゆられること約30分。
やっとのことで会場ちかく、あづま総合運動公園の駐車場に到着です。


そこから、まずはライブが中心の「あづま球場」会場へと移動。





球場の入り口付近には、自衛隊がキャンプをしていました。
恐らく復興支援部隊かと。。。
というのも、その近くにあった県営の体育館は、県内の被災者の方のための避難所となっており、いまだ多くの方がそこで避難生活を送っているとのことでした。


突然、ゴゴゴーンと、遠くの方で雷の音が聞こえたので、ふと空を見上げると、、、





雲行きがさらにあやしい感じに。


とりあえず、球場内に移動。

コチラのステージは、マウンドの上あたりに設置され、内野席が観客席になっていました。





席につこうと移動しはじめたとき、かなり強い雨が、ついにザザーと。


幸い内野席上方には屋根がついていたので、雨に濡れることはなかったのですが、ステージに立っていたアーティストの方はビショビショになって歌ってました。
可哀想に。


この雨にもやはり放射性物質がとけ込んでいるんだろうなとか、、、そんな余計なことを考えたくないですが、いろいろと考えてしまうのが福島の残念な現状。



とはいえ、雨のお陰でムシムシ、ムワっとして不快指数の高かった気候も、涼しくなり、かなり過ごしやすい感じになりました。


15分ほどして雨も弱まり、雲の切れ間からは太陽の光も。





山の天気は変わりやすいですからな。

雨の影響で15分ほどオシて、今回の目的のひとつでもある”グループ魂”のライブが開始。
べつに”グループ魂”の大ファンというワケでもないんですけれどね(笑)。
いちファンではありますけれど。。。


はじめに港カヲル氏による「本日は、通常営業でやらせていただきます!」宣言で、会場は大盛り上がり。

破壊 a.k.a 阿部サダヲさんによる得意のスリッパ投げも披露されていたのですが、ステージからの距離が遠かったのと、内野フェンスが高く、残念ながら客席まではとどかず。

そして、張り切り過ぎたバイトくんが全速力のベースラン最中にダウンするというハプニング(野球部か!?)もありつつも、ライブは無事?に終了。

いろいろと心配していた部分もあったのですが、思った以上に盛り上がっていたのでよかった。



とりあえず、目的のひとつであった”グループ魂”のライブも終わったので、「あづま球場」会場を後にし、「四季の里」会場へと移動することに。

「あづま球場」と「四季の里」では、じつは歩いて10分〜15分ほどの距離があって、意外と遠い感じでした。





写真は、「四季の里」会場へむかう途中にわたる橋の上。


下には川が流れ、道路わきではべつの小川が流れていたり、かえるの声が聞こえたりと、ここら辺はいわゆる自然が豊かな場所。

遠くの方に見える山の景色もたまりません。




天に突き刺さった大きな鉄塔。


福島市内に電気を運ぶための鉄塔です。
この辺りは電気を運ぶ通り道なのか、見渡せば大きな鉄塔がかなりの数。



さて、10分ほど歩いて、「四季の里」会場へ到着。




コチラが「四季の里」会場のステージ。


写真右手方面には飲食スペースや、特産品コーナーなどもあり、けっこうな人だかり。


『グループ魂』と若干時間がカブっていた、”坂本龍一+和合亮一”ライブは、雨による時間のズレのために残念ながら間に合わず、ステージ上ではすでに次のプログラムが始まっていました。





ちなみにコチラの会場では、膨大な布を全国から集めて縫い合わせた大きな大きな風呂敷で芝生を覆ってしまおうというプロジェクト『福島大風呂敷』を午前中に開催していたこともあって、ところどころに風呂敷が。。。





全国からはたくさんの布が贈られてきて、多くのボランティアの方がチカラを合わせて縫って、この大きさになったとのこと。




写真下方の色とりどりな部分はすべて風呂敷。
会場の芝生のほとんどを覆っていました。


福島第一原発から50キロ圏外にも関わらず、福島市は若干放射線量が高いということで、会場の放射線量を下げる目的もあったこのプロジェクト。


ただ、雨が降ってしまったので、残念ながらその上に座ることはできませんでしたが、とてもいい企画だと思いました。



この『福島大風呂敷』の発案者は、NHKのETV『ネットワークでつくる放射能汚染地図』でお馴染みの、”木村真三”さん。

ちなみに会場の放射線量についても、木村さんが測定アドヴァイザーとなり詳細に計測されていました。


当日の会場の平均放射線量は0.5マイクロシーベルト/時。

木村さん曰く「とくに問題のない値」だそうです。


ちなみに木村さんのトークプログラムでは、チェルノブイリの報告と、福島の現状についてお話されており、かなり興味深い内容でした。



雨は、その後も降ったり止んだりを繰り返し、20時過ぎには日も暮れ、会場には夜の帳が。。。


会場周辺には街灯が少なく、いやほとんどなく、日が落ちるとご覧のように真っ暗闇。




遠くに見える光は、「あづま球場」会場のライト。


ふたたび、「あづま球場」会場へと移動。


「原発なんかいらねー」のシャウトから始まった、遠藤ミチロウさん率いる”スターリン”によるライブが開始。
うねるギターに、会場は大興奮。


その他にも多くのアーティストが参加した、今回のイベント『プロジェクト FUKUSHIMA!』。

会場の放射線量の状態も日によって変わる状況で、開催自体もなかなか難しかったとは思いますが、初回にしては大成功だったし、いいイベントだったのかなと思います。



しかし、福島市在住の知り合いにイベントのことについて聞いても、開催の趣旨がうまく伝わっていなかったというか、そういう印象があって、その部分がちょっと残念だったかなと思いました。


次回やるのであれば、もっと福島の若者にも内容やコンセプトがしっかり伝わればいいのかなーなんて、、勝手な希望を述べつつ、今回のレポートはこれにて。



この美しい自然の風景とは裏腹に、空気中には放射能という見えない敵がひそんでいるのです。


プロジェクト FUKUSHIMA!
http://www.pj-fukushima.jp/


Comments are closed.

Trackback URL