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Interview : September 14, 2011 @ 13:55

世界レべルのインプロビゼーションジャズ──”RF”インタビュー(後編)



ヒップホップネタをジャズでカヴァーするインプロビゼーションジャズバンド”RF”が、3rdアルバム『Feel』をリリース。


“RF”は、Farah(Pro/Arr)、成川正憲(Gt)、板谷直樹(B)、そして鈴木 郁(Dr)の4人からなる、いわば人力ターンテーブル?バンドだ。


新作では初のボーカリストをフィーチャーするなど、さらなる進化をとげている。


ひきつづき、”RF”のメンバーに最新アルバム『Feel』の話を中心に、メンバーにせまってみたインタビュー。






☆:今回は、初めてボーカリストをフィーチャーしたワケですけれど。。。


Farah:もともとは、ボーカルものもやりたかったんですよ。


成川:アルバムを2枚作って、ある程度この3人の軸が見えてきたんです。
で、その土台に何か乗せたくなって。。。
そのときに一番シンプルだったのが歌だったんです。


Farah:基本は3人。
考え方としては、ボーカルとセッションしたという感じですね。


成川:チャレンジとして、いま存在するいろいろなボーカルものの作り方とは、
違う方法で作りたかったんです、自分たち流のアレンジで。


☆:歌を入れたことに対して、どう思われましたか?


板谷:今回は、けっこう実験だったんですけれどね。
ボーカルのふたりは、ボクが紹介した人だったんですけれど、うまくハマって、よい化学反応が生まれたと思います。


Farah:郁さんはhayatoさんとブラジルに行く!って、、、大変でしたね(笑)。


郁:最初にhayatoさんを録ったんですけれど、彼女はポルトガル語がキチンとしている人なんです。それはものすごく重要で、コトバは耳で判断するワケだし、いい加減なものだとバレますよね。音楽といっしょですよ。
だから、それだけで舞い上がってしまったというか(笑)。


成川:そう!スゴくよかったんです。


郁:風景が見えるワケですよ。


成川:風が吹いたよね。


Farah:一応、最初に用意しておいたテイクとは、別ものになったんですけれど、それがホンモノのチカラなんでしょうね。


成川:最後に2テイク残って、バンド的によかったものと、彼女がよかった物があったんですけれど、彼女はバンド的な方を選んだんです。あのときに「このヒトすげーな!」って。


Farah:音楽として考えているんですよね。


板谷:ボクは、全体の音としてよかった方を言おうとしたら、彼女が自分から「このテイクですよね!」ってね。


成川:Chihiroちゃんも、よかったよねー。
彼女も自由に歌うのが好きなヒトだったので、すんなり入ってきましたよ。


郁:ちなみにChihiroちゃんも海外生活が長いから、やはり何かあるんでしょうねー。


☆:日本独特の雰囲気ではなくて、何かがあるんでしょうね。


郁:日本人は、コミュニケーションがヘタなんですよ。「分かってくれているよね?」という文化なんですけれど、じつは分かっていない。良くも悪くもですが、この辺が音楽を作っていく上で邪魔になる。
以前、サッカーの記事を読んでいて、オシム監督が「世界中でミーティングで選手がひと言もしゃべらない国は日本だけだ!」って言っていたんです。「ミーティングは話し合いの場なのに、日本は監督しか話さない。選手はひと言も言わない。こんな国はない」ってね。
言わないといけないときは、言う。
海外に行ってきたヒトは、その部分が分かっているんだと思うんです。


☆:キチンと主張しますもんね。社会全体がそういう感じですから。


Farah:うちらはボーカリストの意見を求めて、そのヒトの意向とこっちの意向をすりあわせていく方法で、曲をつくっていくんです。もちろんたたき台はあるんですけれど、良いモノを作るという意味で、やっていくうちにどんどん変化していってもいいんですよ。アイディアがあればそこで言ってもらえればいい。
そういうカタチで、hayatoさんにしてもChihiroちゃんにしても接していたので、ふたりともその辺を楽しんでくれたみたいでした。
とにかく、持っているものを100%なり120%なり出せればいい。
なので、どんどんみんなで意見を言うようにしています。


成川:日常のレコーディングもスゴいですよ。
「完成したね!」という曲が、郁くんのひと言でもう一回最初から全部やり直すとか(笑)。


板谷:ガラガラガッシャン!ってやつです(笑)。


Farah:「オレこのリフが好きじゃないんだけれど」って(笑)。


板谷:夜中なのに(笑)。


郁:ボクたちはそれを『蝉丸」って呼んでいるんです。
百人一首で『蝉丸』を出されると、全員元に戻されるというところからですけれど(笑)。


板谷:昼くらいにスタジオに入って、夜8時くらいには録り終わるんですけれど、そのときに「ちょっと待って!」って始まると大変です。もう一回最初から。
でも、そうやって作った方がいい結果につながるんですよね。


成川:それは間違いない。


板谷:それに、みんなが自分の意見をキチンと言うところは、すごい現場だと思いますね。


成川:ホントいい現場ですよ。


☆:なかなか意見をハッキリ言える現場ってないですよね。


郁:ホントは、どの現場でも言わないといけないんですけれどね。
いままで過去に言わなかったのがよくなかったという反省があるんです。
言わないで呼ばれなくなるより、自分を出して言いきって呼ばれない方が充実する。
だから、そこは徹底してやりたいですよ。


成川:スゴいですね。。。


郁:とか言って、超大御所の前では「ヤリマス!ヤリマス!!」とか言っていたりして(笑)。
でも、”RF”に呼ばれる前は、精神的な部分も含めて、いい加減にやってきちゃった部分があって、それでいいものを作れたことがなかったんです。タイミング的に、それはやめようと思ったときだったんですね。
ちなみに、影響された音楽の話なんですが、意外と自分のまわりにいたミュージシャンが多いです。一緒にやっていて尊敬できたヒトは、最初から自分を貫いているんですよ。有名だろうが、無名だろうが、そういうヒトの方が残っているし、伸びているんです。
バークリーで世界に羽ばたいていくようなそういうヒトたちと一緒にできたことが、自分の音楽的には大きかったかな。
あとは、よく他のヒトのライブを見に行って、音の出し方を見習ったりはしていますね。


Farah:よく誘われて一緒に行きますよ。


郁:ホント、ライブビンボーですよ(笑)。
でも、研究していかないと。


成川:貪欲だよね。
すばらしい。


☆:最後にひとことづつお願いします。


成川:乙女座のボクです(笑)。
ボクらはいま、すごく旬なので、ぜひアルバムを聴いていただきたい。
あとはライブをすごく大事にしているので、ライブに来て、その時間を共有できたらなと思うので、、、ヨロシクね♡


板谷:今回のアルバムは、音楽を詳しく知らないヒトでも楽しめる内容になっているので、ぜひ聴いていただきたいですね、、、とくに女性の方(笑)。


郁:何かをやるときには、その早さを求めないで欲しいと思います。
時間をかけて、納得いくまでやることをおススメしますね。
いま、便利すぎる世の中になってしまったので、その感覚を一回すてて、みなさんにもゆっくりと時間をかけて、
じっくり何かをやってみて欲しいです。


Farah:ボクのまわりでは、音楽に関わっているヒトがどんどんやめていってしまっていて、、、もちろん家庭の事情だったり、経済的な事情だったり、いろいろあって続けることって大変だと思うんです。
でも、どんなカタチでもいいから続けていってほしい。続けていくことで、その本質が見えてくると思うんです。
例えば、これだけパソコンが普及していても、データ化されていない音源って膨大に存在していて、おそらく、全アナログ音源の半分くらいはデータ化されていない。その中から、面白い音を探すのも音楽を楽しむひとつの方法だと思うんです。
とにかく、簡単にやめないでほしい。
何らかの形で音楽に関わり続けてもらえたらなと思います。


☆:ありがとうございました




(おわり)






RF
『Feel』






レーベル:Timeless(TML-3)
価格:¥2,000(税込)

発売日:2011年9月14日

>>>レビューはコチラ



“RF”





数多くのアーティストのライヴ・サポート&レコーディングで活躍してきたギタリスト成川正憲率いるRokugen Club (六弦倶楽部)と、元レコード・ショップのバイヤーでJazzanovaやThe Five Corners Quintet等国内外のDJ / Bandとの共演経験を持つDJ/コンポーザーFarahのユニット”RF”。
ミュージシャン、DJ として長年現場でキャリアを積んできた彼等の経験と感性がこれまでにない新たなサウンドを創出して話題となっている。
http://www.timelesssss.com/


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