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Interview : March 16, 2010 @ 16:24

若きファッショニスタたちの目線から(第二章)





檀上佑一(penderie)&馬場隆臣(va-vaデザイナー)対談インタビュー


世は、この上ない不景気。

クルマや電化製品、雑誌、そしてファッション。
どの業界もなかなか厳しく、毎日、どこかの企業が倒産しているという日々だ。

ニッポンの経済はいったいどうなっていくのだろう。


ファッション業界のこれからに注目し、今後の業界を担う若手ファッショニスタたちに”いまのファッション業界”を語ってもらうシリーズ『若きファッショニスタたちの目線から』。

ひきつづき、コンセプトショップ”penderie”のディレクター檀上佑一と、ブランド”va-va”のデザイナーであり、ショップ”penderie”をささえるパートナー馬場隆臣のふたりをむかえ、”いまのファッション業界”、そして”今後のファッション業界”について、いろいろとお話を訊いてみた。

インタビュー・構成:カネコヒデシ
撮影協力:関西風串かつ”旬”







第二章
人生は二度ない、ソースも二度ない



カネコ:海外のカルチャーに関して言えば、自分も20代のころは海外ブランドとか洋楽に憧れて、情報を渇望したタイプだけれど、30歳を過ぎて、それらが感覚的に自分とは合わないモノもあると感じるときが出てきたんだよ。
それで原点回帰というワケではないけれど、日本のモノってやっぱりいいなって思ったんだよね。もちろん、いまあるもの──服も音楽も、もともと外国にあったモノなんだけれど。でも、一度日本人の内部を通って作られたものと、そうでないものとでは、やはり感覚的に何かがちがう。それが30を越えてから分かりはじめたというか、そういう感覚もいいなと思いはじめたんだよ。自分に対して心地いいモノってね。クルマでいうと、無理して左ハンドルに乗っても仕方が無いじゃん!って。

馬場:たしかに。
それで運転しづらかったら、何のために乗っているのか分からないですもんね。



カネコ:カッコイイものはカッコイイと認めつつも、「じゃあ、日本人としてどうやって打ち出していくか」というところだよね。もちろん、80年代とかは外国の文化をどんどん取り入れていたカルチャーだけど、現在まで残ったものはおそらくほんのひとにぎりだと思う。
90年代に入って日本の文化が栄えて、2000年代でまた新しい外国の文化が入ってきてって、そういう”流れ”があるよね。2010年代はこれからだけれど、たぶんまた”日本の再確認の時代”になるんじゃないかな。でも、原点回帰は悪いことじゃないなと、年を取って分かりはじめた感じですよ。

馬場:それはボクも思いますよ。

カネコ:音楽カルチャーなんて、気づいたときにはすべて洋楽になってしまっていたし。ダンスミュージックとか、カフェミュージックとか。そういうコトをやっているから日本の音楽産業がダメになったんじゃないのとも思えたり。たぶん、ファッションもそうなんだろうけれどね。洋楽だけがオシャレとか、そういう部分に個人的に疲れてきたというか。和洋問わず、いい曲はいい曲で紹介する。それはセレクトショップも同じだと思う。いい服はいい服で紹介する。そこは日本だけにこだわる必要はないよね。

馬場:サイジングだったりはやっぱり日本の服の方が合うし、無意識の中の意識というか、そういう感じはあります。でも、いいものを紹介するのにジャンルや国は関係ないですよ。
やはり、何においても続けていくことが大事なんでしょうね。新しいコトをやるにはすごく勇気が必要で、しかも、自分ではいいと思っているけれど「これでいいのか?」って分からなくなるんです。だから、自分の中で何がいいのかを把握できて、とにかくそれを続けるチカラが必要になってくる。続けることによって知るヒトも増えますから。キレイごとかもしれないけれど、とりあえず信じてヤルしかない。

檀上:とにかく、自分たちの好きなことをトコトンやってみて、それでダメだったら考えようというスタンスなので、1年、5年、いや10年経っても、”ペンデリー”の立ち位置が変わらない感じでやっていきたいですね。
いろんな意味で、いちばん新しいところにいたいし、自分たちはココという部分を貫きたいよね。ダメだったら店をたたむくらいの覚悟を持って作ったので、それでいいと思ってます。



カネコ:次に、続けるためにどうしていくかというところもあるけれどね。お店の原点って、お客さんじゃない?この不況の時代に残っている小さいお店って、やっぱり顧客がついているからだと思う。もちろんそのお店の提案力だったり、そういったチカラもすごく必要だけれど。でも、お店で買ってくれるヒトって、やっぱりお店のファンなワケでしょ?そういうファンのヒトたちとどうやってつながっていくのかが、いまは重要なコトなんじゃないかな。

檀上:洋服屋は洋服屋でしかないんですよ。
だから、予定がない人がヒマだから服を見にいくかって、そうじゃない人の方が多いと思うんです。コーヒーを飲みながら何かを考える場所、それが家とか喫茶店だったりするんですけれど、それが”ペンデリー”であってもいいのかなって。普通の洋服屋にはできないことじゃないですか?
“ペンデリー”をそのヒトのセカンドハウスとして使ってもらえるような場所にしたいですね。洋服屋というカテゴリーだけではなく、ライフスタイルを発信する場所にしていきたいんですよ。ヒトとヒトをつなげる手段が、ボクらの場合は服や小物以外に、コーヒーやお酒とか会話だったり。それでいろいろなヒトが集まる場所になることが、ふたりのやりたいコトなんです。

カネコ:たしかに、最終的にはそういうお店が強いよね。

馬場:いまは情報がたくさんあって、例えば電化製品が欲しかったら、インターネットでその製品がいちばん安い電気屋を調べてそこにいく。そういうのが”いま”の買い物の仕方というか、欲しいものの買い方ですよね。
ボクが学生のときは、情報もなかったし、お金もなかった。だから、洋服屋に行っても何も買えなかったけれど、お店に行って店員といろいろな話をしていたんです。いま流行っているアートだったり、音楽だったり、もちろん洋服の話も。店員さんも学生の間で何が流行っているのかとか、そういう情報ももらえるワケだし、情報交換ですよね。洋服屋って、そういう場所だったんですよ。
いまはインターネットの口コミとかで、知らないヒトの評価で判断している情報が、当時はリアルな人と人──お店の店員と自分とのつながりで、「あそこのご飯は美味かった」とか、「あの店にアレが売っていた」とか、「あの店の店員知っているから、その人に言っておくよ」とか、そういう情報のやりとりがありましたよね。で、そのつながりから、またさらに新しくつながる。
以前は、そういうコトがたくさんありましたよ。

檀上:情報量が多いから、インターネットの評価に頼り過ぎちゃうのかも。行ったコトもないのに変な先入観を持ってしまったり。

カネコ:情報として自分のなかに置いておくのはいいけれど、それを信じきってしまうのはキケンですよ!というコトだよね。

馬場:それを信じたために、扉も開かなくなってしまうコトはもったいないですよ。
“ペンデリー”の評価は分からないですが、いろんなヒトたちが集ってくれているので、まずはそこからうまく広まっていけばいいのかなと。



檀上:何もないトコロにあたらしいことをやるのは、本当に好きじゃないとできないですよね。それがいいか、悪いかは抜きにして、僕らのやりたいことが変わらないことが大事なんだと思います。

馬場:それをヒトがいいと思ってくれればすごく嬉しいし。
カッコイイ、カッコワルイ。
おいしい、おいしくない。
それらは見えるものではないし、センスですから。

檀上:答えがないから、やっていて楽しいんだろうね。

カネコ:答えを求めつづけることができるからね。

馬場:(串あげ屋の壁に書いてある注意書きを見て)ほら!「人生は二度ない、ソースも二度ない」
って書いてあるじゃん(笑)。

檀上:ホント、そういうことだよね(笑)。



(第三章へつづく)









・檀上佑一(だんじょう・ゆういち)プロフィール



“DUPE”,”ADELAIDE”などのセレクトショップを経験。
2008年、ショップ”penderie”を立ち上げる。現在は”penderie”のDirectorとして、ショップの構成などのすべてに携わる。



・馬場隆臣(ばば・たかおみ)プロフィール



大阪文化服装学院卒業。
セレクトショップ”nai-chi-chi”にてバイヤー、ショップマネージャーを経験。退社後、飲食店の立ち上げなどに参加し、2007年ブランド設立。2008 S/Sシーズンよりブランドスタート。
現在は都内セレクトショップを中心に展開している。



・penderie(ペンデリー)



フランス語でワードローブを示す”penderie”。
ワードローブとライフスタイルの関係性をクローズアップし、そこに独自のエッセンスを加えたオンリーワンなコンセプトショップ。国内外問わずアンダーグラウンドな物からちょっぴりメジャーな物まで、penderieというフィルターを通してセレクトされたアイテムは他ではあまり見る事の出来ない物が多く、「誰か」のセンスを楽しめる空間。

〒150-0021
東京都渋谷区恵比寿西2-9-9-1F
TEL. 03-5428-6638
http://www.penderie.jp/



・”va-va”



コミュニケーションのツールとしての一つのカタチ。
人と人を繋ぐ、人とモノを繋ぐ、新しい価値観を持った洋服。ベーシックでありながら、着る人の個性を重視したシンプルなアイテム。
長年着続けることによって、愛着のある自分だけのとっておきの一着へ。一つの切り口として、va-vaというコミュニケーションツールが「繋ぐ」架け橋になる事を強く願う。

http://www.va-va.jp



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