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Interview : March 23, 2010 @ 19:23

若きファッショニスタたちの目線から(第三章)




檀上佑一(penderie)&馬場隆臣(va-vaデザイナー) 対談インタビュー


世は、この上ない不景気。

あらゆる業界の景気が低迷するなか、若いファッショニスタたちの目には現在の日本のファッション カルチャーは、どのように写っているだろう。

恵比寿に構えるコンセプトショップ”penderie(ペンデリー)”のディレクター檀上佑一さんと、ブランド”va-va”のデザイナーであり、同ショップのパートナーでもある馬場隆臣さんをお迎えし、今後のセレクトショップのカルチャーやトーキョー ファッションについていろいろとお話をお訊きした、対談インタビューの最終章。

インタビュー・構成:カネコヒデシ
撮影協力:関西風串かつ”旬”






第三章
これからのセレクトショップ カルチャー



檀上:馬場は、次はどうしていきたいの?

馬場:きめ細かくそのヒトに合うシャツを作りたい。極論を言えば、オーダーメイドのシャツ。もちろん値もはるけど、そういう細かいサービスをやりたいかな。結局のところ、それは気づくか気づかないかの部分だと思うんですよ。
京都の『星のや』という旅館があって、そこはすごくリピート率が高いらしいんです。前に泊まったお客さんのデータを、しっかり管理してあって、次に泊まったときに生かしているんです。でも、それってホントにちょっとしたサービスなんですよね。

カネコ:それだけサービスがしっかりしているということなんだろうね。

馬場:それは洋服屋も一緒で、2回目に来たヒトには前に何を買ったかを覚えていて「アレ、どうでしたか?」とか。
そういうきめ細かいコトをもっとしたいな。「ボタンが取れたら、持ってきてください」とか、そういう感じ。





カネコ:
地方の小さいお店が残っているのは、そういうことだと思うんだよね。「先日買ったアレ、どうでしたか?」という、そのひと言。「もし気になる部分があれば、うちで直しますよ!」とか、「あそこに持っていけば直してくれます」とか。そのひと言が「じゃあ、次に行ったときに相談しよう」となると思うんだよね。
昔の洋品店とかテーラーは、顧客データーをキチンと持っていて、そういう部分で成り立っていたと思う。

馬場:でも、東京のお店ってそこまでのサービスをしなくても売れるお店もある。お店自体にブランド力があるから。でも、不景気になって、それが売れなくなったんですね。
セレクトショップをやっている友人と話したんですけれど、やはり不景気で売れていないという話の中で、顧客管理について聞いたら、ブランドのチカラだけで考えているらしいんですよ。でも、それっておかしいいですよね。ブランドに頼りきってしまって、もともと持っているお店の良さがないじゃないですか。自分がやりたくて、好きなモノを入れるお店をやっているはずなのに、ブランド力があるからソレを入れるって、すごくつまらないですよ。

カネコ:最近、思ったコトなんだけれど、セレクトショップの店員さんって洋服の説明がヘタな人が多いよね。「それカワイイですよ!」って言われたりすると、「そんなことオレも思っていますよ!」って(笑)。
以前は、その服についてしっかり説明できるヒトがいたのに、いまは少なくなってしまったなって。でも、それは基本的なところだと思うんだよね。

馬場:接客の基本というか──。

檀上:たぶん、そういうコトを教える”ヒト”がいなくなってしまったんでしょうね。
僕らがお店に立っていたときは、そういうことを教わっていたんです。それが基本でした。でも、今はコッチよりも、お客さんの方がそのブランドの背景を知っている時代だから、そこを省略して「コレ、いいですよ!」とかになるんでしょうね。
ファッションを知らないヒトが買いに来たら、何がどういいのか分からないですよ。





カネコ:
そこでこそウンチクが必要になるのにね。

檀上:おなじお金を払って商品を買うのであれば、そういう情報も欲しいですよ。何でそのシャツが作られたのかとか何でそのシャツがいいのかとか。僕らはそこを大事にしたい。

カネコ:そういった意味では、馬場くんはすごくいい位置にいるよね。お店にも立つし、デザインもする。直にお客さんの声が聞けるでしょ?

馬場:お客さんはこんな風に思っていたんだって、本当にいいですよ。それはお店に立つようになってから感じています。
さて、どうやっていこうかね、”penderie”を。

檀上:“penderie”はセレクトショップだけど、自分ではセレクトショップをやっている意識がないんです。ボクは、コンセプトショップをやりたいんですよ。”ワードローブ”というひとつのコンセプトがあるのですが、その対象が洋服でも、音楽でも、お酒のときがあってもいいと思う。なんでもいいんですよ。

馬場:自分のやりたいと思うものをやる、ということだよね。

檀上:もちろんどこかでお金を生み出さないと、僕らも生活ができないという大前提はあるんですけれど、なんか、、、逃げたくないよね。





馬場:
そうだよね。

檀上:洋服屋とか、セレクトショップというカテゴリーとか、そういうのではなくて、これからは自分の家以外で家がもうひとつあるような”場所”を提供するじゃないですけれど、そこからどんどんヒトがつながって、新しい”何か”が生まれるお店、そういうお店にしたいです。そのために何をチョイスするのか?だと思います。
ファッション誌で紹介されたらもちろんうれしいんですけれど、それよりも洋服メインのお店なのにおいしいコーヒーを出すとかで取材が入ったり、そういうのってすごくいいなって。それを観て新しいお客さんも来るだろうし。そういう感じの方がやっていて面白いですよ。

馬場:それに、ボクらが成長しているのと同時にお店も成長しているから、その時その時によって、コンセプトが変わるしね。だから、うちらが結婚して、子どもができれば、子供服を置くとか。そんな感じでもいいと思うんです。

檀上:“penderie”ってスゴく面白いお店で、地元のおじいちゃんが来てカバンを買ってくれたり、かと思ったらスゴく若い子が緊張して入ってきて服を買ったり。いま、そういうお店は少ないと思うんですよね。そういう地元のヒトも来てくれているという時点で、自分たちのやりたいことを貫けているのかなと思うんです。小さいムーブメントを作れているというか──。





馬場:
恵比寿の商店街の町おこしじゃないですけれど、そういう感じでも面白いよね。この前は、そのおじいちゃんにコーヒーを出して話していたら、20歳くらいの孫にあたるようなヒトが来て、会話に混ざったりとか。

檀上:店員とお客さんとの会話は当たり前だけれど、お客さん同士で会話が広がるようなお店になれればいいですよ。

馬場:そういう交流ができるのは面白いよね。

カネコ:東京のお店も、”裏原ブーム”の前くらいまではそんな感じのトコロがおおかったと思うんだけれどね。

檀上:洋服屋はカッコ良くないといけないとか、店員もカッコ良くないといけないとか。あのブームの時に確立されてしまったから、そこで育ってきたヒトたちが、今度は自分の下についた子の見本になっているから、そうなっていくんでしょうね。

馬場:もうそういうのに憧れて入ってきているからね。

カネコ:もちろん、”憧れ”は必要なことだよ。でも、必要だけれど、、、というところだよね。

檀上:いまはどこのお店もツンとした感じですもんね。

カネコ:地方のお店だと、店員さんから話しかけてきて、しかも会話がつづくんだよね。都内だとなぜかそれが少ないんですよ。もちろん、そうしているお店もたくさんあるんだけれど。

馬場:まあ、ヒトがいっぱい来るからとかそういう感じなんでしょうけれどね。うちらは東京にお店はあるけれど、変に東京っぽくしないから、少し懐かしい感じなのかな。でも、その懐かしさが、居心地の良さなんだと思うんです。
だから、あそこは気取らずに話せる、だけど新しいモノが置いてあってり、面白い情報があるとか、そういう感じになれれば。。。

檀上:面白いよね。

カネコ:このご時世だからこそそういったものが必要だし、、、というか、このご時世にならなければ気づかなかった、再認識できなかったということなんだろうね。だって基本的なことじゃない?もちろん、そういう田舎っぽさが嫌で出てきたヒトもいるんだろうけれど。。。

馬場:地元の嫌だった部分が、いまとなっては逆によかったんだって気づきましたね。

カネコ:最終的には、行きつけのバーに行く感覚が必要なんだろうね。
入った瞬間にいつもの酒が出るとか、そういう感じ(笑)。
というコトで、今日はいろいろとお話しいただいて、ありがとうございました。

檀上:こちらこそありがとうございました。

馬場:ありがとうございました!

(おわり)









・檀上佑一(だんじょう・ゆういち)プロフィール



“DUPE”,”ADELAIDE”などのセレクトショップを経験。
2008年、ショップ”penderie”を立ち上げる。現在は”penderie”のDirectorとして、ショップの構成などのすべてに携わる。



・馬場隆臣(ばば・たかおみ)プロフィール



大阪文化服装学院卒業。
セレクトショップ”nai-chi-chi”にてバイヤー、ショップマネージャーを経験。退社後、飲食店の立ち上げなどに参加し、2007年ブランド設立。2008 S/Sシーズンよりブランドスタート。
現在は都内セレクトショップを中心に展開している。



・penderie(ペンデリー)



フランス語でワードローブを示す”penderie”。
ワー ドローブとライフスタイルの関係性をクローズアップし、そこに独自のエッセンスを加えたオンリーワンなコンセプトショップ。国内外問わずアンダーグラウン ドな物からちょっぴりメジャーな物まで、penderieというフィルターを通してセレクトされたアイテムは他ではあまり見る事の出来ない物が多く、「誰 か」のセンスを楽しめる空間。

〒150-0021
東京都渋谷区恵比寿西2-9-9-1F
TEL. 03-5428-6638
http://www.penderie.jp/



・”va-va”



コミュニケーションのツールとしての一つのカタチ。
人と人を繋ぐ、人とモノを繋ぐ、新しい価値観を持った洋服。ベーシックでありながら、着る人の個性を重視したシンプルなアイテム。
長年着続けることによって、愛着のある自分だけのとっておきの一着へ。一つの切り口として、va-vaというコミュニケーションツールが「繋ぐ」架け橋になる事を強く願う。

http://www.va-va.jp




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