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ブラインドからのぞき見た世の中 : October 25, 2012 @ 14:53

ブラインドからのぞき見た世の中 VOL.75『ただちに影響がなかった放射性物質』



先日、チェルノブイリ原発事故から26年経ったいまのウクライナとベラルーシの状況を、某テレビ番組でやっていました。


チェルノブイリ原発が立地するウクライナでは、汚染地帯の住民に深刻な健康被害が生じているとのことです。

コレは、チェルノブイリ原発事故25周年の会議で公表された「Safety for the future未来のための安全」と題されたウクライナ政府報告書によるもの。

ちなみに、ベラルーシで汚染地域と呼ばれるのはセシウム137で、37000ベクレル/平方メートル以上のエリア。



報告書では、心臓疾患や膠(こう)原病などさまざまな病気が多発しており、とくに心筋梗塞や狭心症など心臓や血管の病気が増加していることを指摘していました。

さらに、子供たちの健康悪化も深刻で、2008年のデータでは事故後に生まれた子供たちの78%が慢性疾患を持っているとのことです。


これだけの結果が出ていながら、『IAEA』をはじめとする国際機関は、栄養状態の悪化やストレスなども原因として考えられるとして、この健康被害の報告を放射線の影響とは認めていないのだそう。

火を見るよりも明らかになっているコトを、データが十分ではないとのことで、国際的に正式なモノとして認められないらしいです。


ちなみに、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、チェルノブイリ原発事故のあと、病院から約5万人分のカルテが盗まれたり、政府の圧力で最初の4年間は、医師はカルテに放射能に関連すると思われる症状(健康被害)を書き残すことができなかったという事実もあります。

まあ、共産主義国がやりそうな隠ぺい工作ですよね。

初期の正確な情報がまったく残っていないから、現状の放射線によるものと考えられる健康被害を国際機関が認めない。
なんだそりゃ!って話しですよ。


そういえば、今回のフクシマにおける健康被害などの検討の材料が、この国際機関の資料が基本ですからね。
そりゃ「人体にほとんど影響ありません」なんていう発表をしちゃいますよ。

今後も国際機関への、放射線における人体への影響の証明は、人体実験でもしないかぎりは困難らしいです。
なんて、頭デッカチなんでしょうかね。


一方、国土の4分の1が放射性物質に汚染されたベラルーシ共和国では、セシウム137による土壌汚染が深刻化しはじめているようですね。

原発からの距離が15キロから80キロの範囲に位置するホイニキ地区では、農作地における放射線量が、除染のカイなくいまだ高く、上昇しつづけているとのこと。


しかも、昨年の検査で大丈夫だったところが、今年になって土壌の汚染度が高くなって使えなくなる、そんなこともあるみたいです。

除染のできない立ち入り禁止区域の森や野原などから、風や雨などでセシウムなどのふくまれた土や種が除染した地域まで運ばれたり、汚染地域に住む動物たちによって運ばれてきていたり、、、さまざまな理由はあるみたいですが、いわゆる拡散ですよね。


先日のニュースでも出ていた、埼玉県で駆除されたシカから基準超セシウムが検出された件と一緒ですよ。
つまり、風や雨などで、福島第一原発から放射性物質が運ばれ、土壌や草木に降りそそぎ、それを取り込んだ虫などをエサにする鳥獣に取り込まれ、生物濃縮される。

まあ、放射性物質のいちばんコワイ流れですよね。


しかし、チェルノブイリ原発事故から26年が経ち、ここにきてやっと健康被害による詳細な情報や、土壌汚染に関する詳しいデータなども報告されはじめました。

どうも人体への影響は2〜3年レベルではなく、5〜10年のレベルで影響が出ている模様ですね。

ということは、日本もまちがいなく、5年後、10年後にこういった問題に直面しはじめるハズ。

しかし、いまだ対応策がまったく見えてこない。
ホント、大丈夫でしょうか?

たしかに”ただちに影響はない”という表現は、間違ってはいませんでしたけれどね。


ちなみに、ベラルーシでは、土壌の汚染度が高い農作地では食用の作物はつくらず、ナタネなどの植物をつくっているようです。
食用作物を作って売ったりすることは、法律でも禁止されているみたい。


ウクライナやベラルーシの人々が、どのように放射能汚染と戦ってきたのかという点は、まちがいなく今後のフクシマ、いや日本の放射性物質問題への打開策になるハズだと思います。

だからこそ、もっといろいろな情報を交換していくべきだと思いますが、みなさんはどのように考えますか?



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旅路 良



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