Interview : October 24, 2012 @ 21:49
“akiko”インタビュー──ニューオリンズにて(後編)
ジャズシンガーの”akiko”が、日本がほこる最強のスカバンド『スカフレイムス』の”大川 毅”氏プロデュースで、ニューアルバム『黒い瞳/Dark Eyes』をリリース。
今作は全曲ニューオリンズで録音され、地元のミュージシャンたちもバンドに参加。
なので、間違いなく音は本場のニューオリンズサウンドなのである。
2週間ほどレコーディングに行っていたニューオリンズの街の雰囲気や、向こうでの生活スタイルなど、ひきつづき”akiko”が感じたニューオリンズにについて、いろいろとお訊きしたインタビューの後編。
─コチラ(写真上)はどこの夕日?
akiko:これはポンチャートレイン湖で、すごく大きい湖なの。
大きすぎて海みたいなんだけれど。
─湖なんだ。
akiko:そう。
写真手前に道があって、それがすごく長くて。。。対岸にいくだけで何十分ってかかるから、折り返し地点で帰ろうって。
本当は止まるところじゃないんだけれど、車が来ないから降りて撮影したの。
─なんだかスケールが大きいね。
それにしても空の色がスゴい色。
akiko:すごいよね。
─晴れていたの?
akiko:すごく暑かった。そしてすごく蒸し暑い。
これがターンバックのところなんだけれど、まわりは全部湖。
ホント、海にしかみえないよね。
これは、エンジニアのマークのお友達で『Time Will Tell(タイム・ウィル・テル)』という時計ブランドをやっている
ステイシーという女の人がいるんだけれど、彼女の家で開催されたホームパーティ。
すごくクレイジーな人なんだけれど(笑)。でも、すごくいい人。
─これ、家なんだ。スゴく広いね。
akiko:DJとかも入れていたんだけれど、まだ早い時間だったから、誰もいなくて。。。
ちなみに、このパーティのインビテーションが7インチのレコードなのね。
─ホンモノの7インチ?
akiko:そう。ホームパーティなのにすごく凝っているの。飲みものとか、食べ物とかもあるし。
ちなみに、そこにカキがすごくいっぱいあって。。。
─カキって?
akiko:生ガキ。
すごく大きいし、すごくおいしかった。
─カキもあるんだ。しかも生なんでしょ?
akiko:じつは、さっきのフレンチ・マーケットにも売っていたんだけれど、やっぱり暑い地方で生ガキってコワイじゃない?
だから、手を出していなかったんだけれど。。。
だけど、ステイシーのところにあったカキが本当においしそうで、思わずいっぱい食べたの。
─大丈夫だったの?
akiko:全然平気だった。それに、すごくおいしかった。
新鮮だってことなんだよね。
─たぶん、近くで穫れるんだろうね。
魚介のイメージはないんだけれど、湿地帯だからかな。
akiko:そうだね。
コレは、「欲望という名の電車」に出て来る路面電車。
─これがそうなんだ。
そういえば、最初にも出て来た写真、コレは何かのホームパーティの写真?
akiko:これはベースのノリさんが、最後の日に「ゴハンを食べに家においで!」って。
─招かれて行ったのね。
akiko:一番ニューオリンズらしい料理って、レストランで食べるよりもゲットーに行って、こういう食べ物を買ってきて、家で食べる方がおいしいからって。
ちなみに最初はホテルに泊まっていたんだけれど、車を借りて、ニューオリンズの街から20分ほど離れたところにある、キッチンがついている長期滞在者用のアパートに移ったのね。それで、ホールフーズで買い物して、自分でゴハンを作って、粗食っていう感じにしていたの。
アメリカのゴハンってやっぱり重いし、ぶっちゃけそんなにおいしくないよね(笑)。
外で食べるのも、3日とか4日とかならまだいいけれど、2週間、毎日だとやっぱりつらいから。
ニューオリンズらしい料理は一回食べればいいかな(笑)。
─たしかにね(笑)。
akiko:食事は、なるべくそういう添加物が入ってないものとかを探して、食べたりしてたよ。
─今回は、はじめてニューオリンズに行ってみて、あたらしく発見したり、分かったことはある?
akiko:ニューオリンズは、ミュージシャンにとっては理想の場所かもしれない。私は日本のジャズミュージシャンに、ニューオリンズに住むことをおススメします(笑)。
もう日本だけの話じゃないけれど、音楽業界も厳しくなってきているし、CDの売り上げだけじゃなくて、ライブで演奏してお金をかせぐスタイルもどんどん少なくなってきているじゃない?
でも、ニューオリンズだと、観光客がおおいというのもあるんだけれど、やっぱり音楽の需要が多いワケ。そんなに単価は高くはないけれど、そこそこのギャラで、そこそこの仕事がそれなりに入ってくるのよね。
─生活ができるレベルってこと?
akiko:そう。
いまのニューオリンズの音楽ってジャズだけじゃなくて、ブルースもあるし、ファンクもある。若者はヒップホップが好きみたいだし、ブラスバンドもあるし。
バーボンストリートという一番の観光名所は、いろんなお店があって、どこのお店からもいろんな種類の音楽が聴こえてくるのね。しかも、ニューヨークみたいに、そんなに洗練はされてない。だけど、あの洗練されてなさがいいなって。ちょっとダサいんだけれど(笑)。でも、みんな音楽大好きなんだなって気持ちがつたわってくる。自分にとってはそれくらいのユルさが心地良かったの。
それにニューオリンズにいると、海外のツアーに行けるチャンスが、日本にいて活動しているより多いと思うのね。
ベーシストのノリさん、、、先日の『Down Beat Ruler』で”ドーン・ペン”の後ろでベース弾いていた人なんだけれど、彼も日本に帰ってくる前まで、ブラジルにツアーに行っていたり。
音楽の世界観を広げるという意味では、そんなにスノッブじゃないから、簡単にはじめられる感じはするよ。
─なるほど。
akiko:やっぱり音楽の街なんだなってすごく思った。
─ニューオリンズに旅行に行く際のおススメの場所は?
akiko:アルバムのジャケットに写っていた赤い照明の場所は、”メイプルリーフ”というクラブなんだけれど、オーリンズ地区というところにあって、ベースのノリさんが深夜にライブをやるので聴きにいったの。
そこは、いわゆる観光客用のライブとかやるような場所とはぜんぜん違うんだけれど、若者が集まってくるような場所でとても良かったよ。
─ちなみにキケンな場所はあるの?
akiko:トレメ地区ってところがあって、そこは危ないみたい。
─あまり日本人の観光客はいかない方がいいような場所?
akiko:そうかな。
スーザホーンの”カーク”が住んでいる場所で、昼、彼に譜面を届けに行ったんだけれど、人は歩いてないし、あまり治安はよくないみたい。
「ルイ・アームストロング公園」も昼は大丈夫だけれど、夜は危ないみたい。
夜は、現地のアメリカ人でもひとりでは歩かないよ。
昼、出歩く分には全然大丈夫なんだけれどね。
─やはり、危ないところもあるんだね。
でも、音楽的にはニューオリンズはかなり良さそう。
akiko:日本って、日本だけじゃないかもだけれど、音楽の本質で勝負するんじゃなくて、それにまつわるビジネスだったり、しがらみで成り立っている感じがするんだけれど、ニューオリンズは音楽のあり方が健全な感じがするの。必要で、求められているから、与えるみたいな。
需要と供給が健全なバランスで成り立っているんだよね。
それが観光用であろうが、なかろうが、全然関係ない。
そういう感じがいいよね。
─たしかに。
ニューオリンズの楽しい話、ありがとうございました。
akiko:ありがとうございました!
(おわり)
akiko
『黒い瞳/Dark Eyes』
価格:¥ 2,500(税込)
レーベル:ability muse records(POCS-1065)
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□akiko プロフィール
2001年、ユニバーサル ミュージック グループ傘下の名門ジャズ・レーベル『ヴァーヴ・レコード』より初の日本人女性シンガーとして契約。フランスの名プロデューサー”アンリ・ルノー”のプロデュースのもとパリにてレコーディングし、同年6月、アルバム『ガール・トーク』で華々しくデビューを果たす。
次世代ジャズシンガーとして「ジャズ・ビューティー進化系」と評され、一躍話題に。
その後もジャズというジャンルに捕われず、アルバム毎に違ったスタイルを次々と提案していく様が注目を集める。
彼女の音楽のみならず、ライフスタイルやファッションなど、発信する全てに注目を集めるヴォーカリストのひとり。
オフィシャルサイト:http://akiko-jazz.com/
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