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Movie Life : January 18, 2013 @ 21:18

MOVIE LIFE 101 『アルマジロ』


ダレかが言った、『いや~、映画ってホントいいものですね!』と──。

いまも世界中のヒトたちを魅了しつづけ、そして夢の世界へと誘う”銀幕の世界”。 この”MOVIE LIFE”では、無駄に映画好きであるワタクシが、コレから公開予定の映画を中心に、コメントと評価を交えながらご紹介していきます。

(評価は5段階、☆の数で示されます)





MOVIE LIFE 101 『アルマジロ(原題:Armadillo)』




ゲームでもフィクションでもない、これが「戦争」の現実。


□ストーリー

アフガニスタンの最前線アルマジロ基地に派遣された若きデンマーク兵たちの7カ月に密着し、若者たちが体験する恐ろしい戦争の現実を映し出していくドキュメンタリー。





□オレ意見
評価:☆☆☆☆☆(満点は5個)


アフガニスタン(アフガン)の最前線基地『アルマジロ』で、7ヶ月間密着取材・撮影した、デンマーク発のドキュメンタリー映画。


『アルマジロ』は、NATOが統率する国際治安支援部隊のひとつで、イギリス軍とデンマーク軍が駐留し、毎日、地域の治安維持という名の戦争につとめている。

まあ、そんな基地があることすら知らない日本人の方が多いかもね。


監督は、”ヤヌス・メッツ”。
彼は、こういった戦争問題や、難民問題、人種問題を中心にとりあげているデンマーク人ジャーナリスト。

今回、このドキュメンタリーでは、デンマーク軍のとある部隊に注目し、タリバン軍との非日常的な日常を、彼なりのストイックな視点で描いている。


アフガンは、テレビや映画などのメディアでもアフガン紛争がとりあげられていたり、「怒りのアフガン」とかタイトルでも多く使用されているので、名前は知っているヒトはおおいかもね。

でも、実際のアフガンは、「神に見捨てられた土地」と呼ばれているくらい、古の時代から醜い戦争の歴史がつづく土地で、現在もNATO軍(というか、アメリカ軍?イギリス軍?)とタリバン軍の攻防がつづいている。

国民の大半はまずしい農家。
時代に翻弄され、身も心もボロボロになりながらも必死で生きている彼らの姿が、ところどころで映し出されている点にも注目してほしい。


よくある戦争映画は、戦争の悲惨さを訴えるにはいい方法かもしれない。
しかし、どんなことがあっても映画であって、フィクションであって、リアルではない。


近よってくる人間が、敵か味方か、無関係の人間なのかすらもわからない。
ドコにも正義があって、ドコにも正義がない。
どれが正解で、どれが間違いなのかもわからない。
あるのは死か生の現実だけ。

迫撃砲で舞い上がる土ぼこり。
ドコから撃ってきているか検討もつかないライフルの音。
肉のカタマリと化した人間。
敵、味方、住民、、、毎日ダレかがかならず死んでいるという現実。
それがアフガンの日常なのだ。

こんな現実があって、ホントにいいのだろうか?


「戦争はカッコイイ」なんて、いったいダレが言ったんだろ。
本当は、コレぽっちもカッコよくないのに。

そんなプロパカンダに踊らされているのは、日本人もおなじかもね。

もし、戦争がカッコイイ、軍隊がカッコイイなんておもっているヒトがいれば、まずはこのドキュメンタリーを観てから言ってほしいものだ。


それにしても、基地への出発の日、空港で、母親が涙を流しながら、まだ若い息子を無言で送りだすあのシーンがわすれられない。

母親の息子への気持ちは、いつの時代、どこであっても変わらないものなんだろうな。


しかし、イスラムとアメリカの醜い戦いは、いったいいつまでつづくのだろう。

なんとしても、なるはやで終わってほしい。


この映画の感想をひとことで述べるのであれば、戦争反対。

死んでいい人間なんて、この世にひとりもいないハズなんだから。








2013年1月19日より、アップリンク、K’s cinema、銀座シネパトスほかにてロードショー

『アルマジロ』






監督・脚本:ヤヌス・メッツ

撮影:ラース・スクリー
編集:ペア・キルケゴール

プロデューサー:ロニー・フリチョフ、サラ・ストックマン
製作:フリチョフ・フィルム

配給:アップリンク

オフィシャルサイト:http://www.uplink.co.jp/armadillo/






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