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Tokyo News : June 4, 2014 @ 22:32

“野田秀樹”のあの名作がふたたび!──青山円劇カウンシル『赤鬼』



“野田秀樹”の名作戯曲『赤鬼』が、「青山円劇カウンシル」プロデュースで若手演出家”中屋敷法仁”により、18年の時を経て生まれ変わって、2014年6月4日より青山円形劇場にて再演するコトとなった。


1996年の初演以来、世界各国で上演されてきた『赤鬼』。


「青山円劇カウンシル」とは、新進気鋭の演出家とともに、あたしい魅力あふれる”円”劇(円形劇場×演劇)をおとどけするプロデュースシリーズ。

劇場の閉館にともない、本作で最後のファイナル公演となってしまうとのコト。


出演は、ノダマップ作品『表に出ろいっ!』で大抜擢された女優”黒木華”、不思議な存在感をはなつ”柄本時生”、劇団「柿喰う客」の主力メンバー”玉置玲央”、そして赤鬼を演じながら本作の振り付けも手がける”小野寺修二”の4人。


野田作品といえば、やはり台詞の”言葉遊び”も魅力のひとつ。

今作でも、おなじみの”言葉遊び”が炸裂。

ぜひ、その部分にも注目してほしい。


さて、今回は、ゲネプロ後に出演者4人と、演出の”中屋敷法仁”にすこしだけお話を聞くコトができたので、そちらの内容も簡単にお贈りしよう。



右から中屋敷法仁、黒木華、柄本時生、玉置玲央、小野寺修二


──まずは本作への意気込みを教えてください。

中屋敷:
お客さんに生きるエネルギー、
そしてこれからの人生に希望や夢をもっていただけるようなそんな作品だと思います。

黒木:とりあえず、目の前のものを頑張りたいです。
そして、この空間をみんなのパワーでうめたいと思っています。

柄本:一生懸命頑張っているのを見てほしい。

玉置:
水銀(みずかね)という役なのですが、劇中でウソをつく役なんです。
そのウソが劇においても、お客さんにとっても真実になるように、
キャスト一丸となっていい作品になっていけばいいなと思っています。

小野寺:
あらためて、いまこの作品をできることがうれしいです。
青山円形劇場で野田秀樹さんの作品を、”いま”やる意味がある。
それがつたわったらいいと思っています。





─キャストにとってはかなり運動量のおおいお芝居ですが、
いまの疲れ具合と、どんなふうに自分を表現していきたいですか?
また、中屋敷さん、野田さんの作品ではありますけれど、
どのようにオリジナリティを出したいと考えていますか?

黒木:
心地いい疲れですね。
この中で私と時生くんはいっしょで動けない方なんですが、
思ったよりも動作がついているんです。
でも、振り付けの小野寺さんが私たちの体をすごくみていて、動きやすいんですよね。
だから、もちろん疲れるんですけれど、イヤな疲れではないです。

柄本:
(この作品は、)慣れない動きがおおいんです。
だから、稽古をやって慣れて、いまにいたっているんですけれど、変な”疲れ”というよりは、ムダな力がはいった疲れではないんですよね。
だから、もっとコレからたのしくなると思っています。

玉置:
“イヤなつかれじゃない”というのが、言い得て妙で、案外爽快感があるんですよ。
劇場で通してやったのは、今日がはじめてでしたが、爽快な疲れです。

小野寺:
ボクは、、、疲れてます。
いろんな意味で気をつかってお芝居と動きをやらないといけないので、そこは苦労というか。
だけど、やっていくうちに腑に落ちる部分があるようでしたのでね。
先の三方から”心地いい疲れ”と言われて、大変うれしいですよ。

中屋敷:
野田さんの作品は、時代とか、場所とか、いろんな価値観を飛び越えるエネルギーがあると思うんです。
だから、オリジナル通りやるのか、変えるのか、二通りの考えから、いろいろな可能性を考えて演出しました。
それと、俳優の体が、本来の動きを見る、声を聞く、という演劇のたのしみを知育できたのではと思ってます。





─今回のお芝居で、それぞれ気をつけている部分はドコですか?

小野寺:
歌です(笑)。
普段は、そういう芝居をやらないので。
あと、彼らのようなステキな俳優さんとお芝居をやるのはとても緊張しますよね。
とりあえず、中屋敷さんに言われたことを出来るだけ明確にやれたら、というのが最大の課題です。

玉置:
お芝居と動き、ダンス、歌、、、演劇は福要素なので、自分がそれらをすべて演じるにあたって、俳優それぞれの意図とか、やりたいことを損なわずに、キチンと全体に作品に有機的に作用させていきたいです。
それと、自分もたのしめる、かつそれがお客さんにも届くように、それぞれをつなげられるように気をつけたいと思っています。

柄本:
台詞間違いが多かったので、そこを気をつけたいですねー(笑)。

黒木:
“あの女”という役が、海の女の人なので、強くいようというのを心掛けてます。
それと、広い海の様な心で、みんなの間違いをつつんでいこうと、、、今日課題に上がりました(笑)。

男性俳優陣一同:ありがとうございまーす(笑)!

中屋敷:
俳優さんたちには、体も心も動かしてもらって、内面のあらぶる魂のような舞台にしていきたいですね。





─円形劇場の魅力は?

黒木:
ココははじめてなので、立ってみるとさらされている感じが強いですよね。
だけど、私の後ろを、他のキャストがうめてくれるので、そこは頼れるかなと思いました。

柄本:
どこを向いても人がいるというのは慣れないですね。
普段は、後ろを向くと壁ですから。
舞台装置もこういうのははじめてなので、たのしめればなと思っています。

玉置:
囲みはあるんですけれど、円形ははじめてなんです。
どこを向いてもお客さんがいるのはむずかしいですけれど、たのしいですね。
たしかに、出演者陣にとっては、対面式の舞台よりもキャスト同士で助け合いやすい舞台かもしれないです。

小野寺:
円形舞台はお世話になっていて、ステージングで振り付けのお仕事がおおいんですよ。
だから、円形には慣れていると思っていたんですけれど、いざ自分が立ってみると緊張しますね。
やはり、自分の後ろは意外と意識できていないから、
そういう意味では修行というか、いい場所だと思います。

中屋敷:
目の前の俳優に対しての演技が重要になってくる舞台だと思います。
外にナニを見せようではなく、目の前の俳優にナニを伝えるかが重要で、ソコが研ぎすまされる、いい劇場だと思いますね。


─円形舞台の話から、ココで生で観る舞台の魅力を教えてください。

中屋敷:
俳優の足の裏から、アタマのテッペンまでみれるので、舞台ファンにはたまらないのではないでしょうかね。
そういった、俳優さんが意識しきれていないところまで見れますから。

玉置:
この空間を共有している感が、普通の舞台よりも大きいと思いますね。

小野寺:
とても立体的な表現なので、生でないとわからないモノがあると思うんです。
とても視覚的におもしろいと思いますので、ぜひソレを観てほしいですね。




ということで、実力派俳優と”中屋敷法仁”による、あたらしい『赤鬼』。

『赤鬼』を観るのももちろんだが、青山円形劇場に行ったことがないヒトは、この機会にぜったい行くベキ。






2014年6月4日-2014年6月15日
青山円劇カウンシル ファイナル    
『赤鬼』





出演:
黒木華
柄本時生
玉置玲央
小野寺修二


作:野田秀樹    
演出:中屋敷法仁   


スタッフ
音楽:阿部海太郎    
振付:小野寺修二    
舞台美術:土岐研一    
照明:松本大介    
音響:加藤温    
衣裳:髙木阿友子    
ヘアメイク:大宝みゆき    

演出助手:山田美紀/入倉麻美    
舞台監督:川除学   


□ストーリー
ある日、村の砂浜に肌の色も言語も違う異人が打ち上げられる。
村人はそれを「赤鬼」と呼び、村八分にされている「あの女」が呼び寄せたという偽りの噂が広まる。赤鬼は人を喰うと誤解され、村人に迫害されたあげく処刑されることが決定する。
あの女は徐々に赤鬼と心を通わせ、赤鬼が人でなく花を食べること、理想の地を求めて浜にやってきたことを知り、白痴の兄「とんび」、嘘つきの「ミズカネ」と共に、赤鬼を救出しようとするが──。


日程:
2014年6月4日-2014年6月15日
全15 ステージ
(※公演時間などはオフィシャルサイトを確認)

青山円劇カウンシル ファイナル『赤鬼』オフィシャルサイト:http://akaoni2014.com/


会場:
青山円形劇場    
東京都渋谷区神宮前5−53−1    
TEL. 03-3797-5678(代表)    
http://www.aoyama.org/


お問合せ:
(有)ゴーチ・ブラザーズ    
TEL. 03-6809-7125    
(平日 10:00-18:00)


□『赤鬼』作品紹介
1996年初演。
富田靖子、段田安則、野田秀樹の3名の日本人俳優と、赤鬼役にロンドンより”アンガス・バーネット”を迎え、4名の俳優にて上演。
人種間における差別という普遍的なテーマを、巧みな言葉遊びと軽快なテンポで痛快に描き出す同作品は、大きな話題を呼ぶ。その後2004年に、タイ版、ロンドン版、日本版の3バージョンにて上演。現地でのワークショップを経て創作された、タイ、ロンドンバージョンでは”赤鬼”役を野田秀樹自身が演じ、ふたたび大きな注目をあつめる。
同作品にて、第4回朝日舞台芸術賞、第12回読売演劇大賞演出家賞・作品賞を受賞。


□「青山円劇カウンシル」とは
2008年にスタートして以降、年に1作のペースで作品を発表している、新進気鋭の演出家とともに、新しい魅力あふれる”円”劇(円形劇場×演劇)をお届けするプロデュースシリーズ。
劇場の閉館に伴い、本作で惜しまれながらファイナルをむかえる。

・過去の公演
#1 2008年『ウラノス』脚本:前川知大(イキウメ) 演出:青木豪(グリング) 主演:酒井美紀
#2 2008年『思い出トランプ』原作:向田邦子脚本・演出:田村孝裕(ONEOR8) 主演:田中麗奈
#3 2009年ピチチ5プロデュース『サボテンとバントライン』脚本・演出:福原充則(ピチチ5) 主演:要潤
#4 2011年『その族の名は「家族」』~『て』改題~ 脚本・演出:岩井秀人(ハイバイ) 主演:ユースケ・サンタマリア
#5 2012年『リリオム』原作:モルナール・フェレンツ脚色・演出:松居大悟(ゴジゲン) 主演:池松壮亮美波
#6 2013年『いやむしろわすれて草』作・演出:前田司郎(五反田団) 主演:満島ひかり


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