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ブラインドからのぞき見た世の中 : March 31, 2015 @ 23:55

ブラインドからのぞき見た世の中 VOL.133『被害者⇄加害者の構図』



えー、さてー、オウム真理教による地下鉄サリン事件から、
2015年3月20日で20年が経ちました。


まだ裁判中の案件があったり、最近になって指名手配されていた信者が自首したりで、
いまだ事件解決とは言えない状況ではあります。

それにいまだサリンの被害にあって、
神経症などに苦しんでいる被害者も多数いらっしゃるとのこと。

ホント、スゴい事件、いやテロでしたね。


それにしても首謀者のアノヒトは、事件に関しては、約20年もの間、口を閉ざしたままだそう。


先日、某テレビ番組で、彼の三女で、当時”アーチャリー”と呼ばれていた彼女が出ていました。

彼女が、父であるアノヒトに会えたのは、逮捕から9年後だったそう。

会ったその時に、父に「本当にやったのか?」と確認したかったそうなのですが、
じっさいに会ってみると彼は精神的に壊れていたらしく、
まったく答えが聞けなかったとのこと。


インタビュワーの「お父さんがこの事件の首謀者だと思うか?」との質問に、
「実際に父自身の口から聞いたわけではないので、
ホントのところはわからない」とのコト。

なるほど、たしかにそれは間違いではない”答え”です。
もし、自分の父であったなら、彼女とおなじコトバを返したと思いますから。


とはいえ、裁判的には彼は有罪で、死刑判決。

彼女にとってはただの”父”であっても、
被害者の方にとっては憎っくき首謀者ですからね。


とある特集番組では「被害者家族の会」の会長の20年間を追う企画をやっていました。

会長自身、自分の息子が入信してしまった経験があり、
事件前に息子が戻ったいまもなお、活動をつづけていらっしゃるとのコト。

いまだに活動をつづけているのは、
“被害者が加害者になること”を恐れて、というのがいちばんの理由のようです。

地下鉄サリン事件では、まさに”被害者⇄加害者”の構図が生まれてしまいましたからね。

これ以上の”被害者⇄加害者”を増やさないために活動されているのだそう。


彼が坂本弁護士から引き継いだ
「ダレかがやらなければいけないモノならば、自分がやる」というコトバは、
ホント、いまの日本において、とても大事なコトバだとおもいます。


そういえば、この”被害者⇄加害者”という構図。


じつは、いまのニッポンの状況に、なんとなく重なる部分がありますな。

いままで関わってこなかった中東系の戦争に、
PKOやら集団的自衛権などで関わってしまったがために、
加害者になってしまった構図です。

被害者、いやむしろ無害者だったハズが、加害者になってしまったワケですな。

加害者側につけば、当然被害者側は、加害者同類と見なすワケですから、
当たり前っちゃ当たり前。


さきの防衛大学校の卒業式での安倍晋三氏の訓示。

現在、首相官邸のHPに掲載されていますが、
読んでいてなんかとても変な気持ちになったのはワタクシだけでしょうか?

どうも引用の仕方がおかしいような気がします。


強い方につくコトが「積極的平和主義」なのでしょうか。。。

本当の平和ってナンなんでしょうかね?


ワレワレ、ニッポン人も、いつ被害者から加害者に変わるのか、
わかったもんじゃないです。


先日、さまざまなメディアで公開されていましたが、
イギリスの覆面アーティスト”バンクシー”が、
パレスチナのカザ地区で壁に書いていた言葉が、
今後のニッポンの方向性のカギとなるのでは?


“IF WE WASH OUR HANDS OF
THE CONFLICT BETWEEN THE POWERFUL
AND THE POWERLESS WE SIDE WITH
THE POWERFUL – WE DON’T REMAIN NEUTRAL”. 

“力ある者と力なき者との闘いに無関係を決め込むなら、
それは力あるものの側に立つことになる。
中立ではない。”


沈黙は、肯定ですからね。

知らぬ間に加害者になってしまうコトだけは避けたいとワタクシは考えますが、
みなさんはどのように考えますか?


オウムをつぶした国家が、オウムになってしまう瞬間があるのか。


数々のオウム真理教による事件の被害者の方々に哀悼の意を表して。




平成26年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示



荒井由実「瞳を閉じて」




旅路 良



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