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Interview : April 7, 2016 @ 16:26

紐トーク Vol.03──中塚武の『EYE』をヒモ解く(後)



音楽家の”中塚武”が、約3年ぶりのソロアルバム『EYE』を、2016年3月16日にリリース。


さまざまなアーティストのプロデュースやアレンジ、CM曲、テレビ番組の挿入曲、アニメや映画などの劇中曲、ゲームサウンドなど、さまざまな音楽モノを手がける、”中塚武”。


ビッグバンドジャズ中心のサウンドとなった今作。

ひきつづき、アルバム『EYE』の内容についてのおはなしを中心に、2016年4月21日に代官山「UNIT」で開催されるリリースパーティの内容とともに、「”中塚武”とはナンゾや?」的な”中塚武”自身のヒトとナリにせまってみた。






─ご自身的にこのアルバムの中で押しの曲は、
やはり「JAPANESE BOY」ですか?


そうですね、最初の3曲、
とくに「JAPANESE BOY」はアルバム制作の後半に出来た曲で、
いちばん最後が「プリズム」で、その前。
最初の2曲が、いちばん最後にできたんですよね。

とくに「JAPANESE BOY」は、このアルバムの軸の曲をつくろうと思って
つくった曲なんです。
基本的に、アルバムを出すときって、
軸になる曲がないとアルバムを出さないんですよ。
例えば、あたらしいっぽい曲ができたから、
その曲を出すためにアルバムづくりをはじめる、という感じです。

今回は、どちらかというと「アルバムをつくろう!」からはじまって、
ずっと曲をつくり貯めていたのですが、
軸になる曲がないままススんでいったんですよ。
で、、、「こまったな」と(笑)。
だから、生まれてまじめて、軸になる曲をつくろうとおもってつくった曲なんですよね。


─それは、、、大変だったんじゃないですか?


そういうのって、、、なかなかうまくいかない。
だって、降りてきたモノがカッコイイ曲だったのではなく
カッコイイ曲をつくろうと思ってつくるってコトですからねー。


─そりゃ、そうですよね。


偶然性もおおきいですし。
そんな曲をつくろうとおもってつくったのが、「JAPANESE BOY」です。
あえて、、、ワザと粗削りにして、ささっとつくることで勢いを出して、、、
というのを意図的にやりました。


─そういえば、歌詞が、、何語なのか、ぜんぜんわかりませんでした(笑)


アレね。
じつは、神社の「祝詞(のりと)」インスパイア系なんです、、、
ラーメンっぽく言うと(笑)。
最初、何語だかわからない曲にしたかったんですよ。
で、ハナモゲラ語でやろうかなと。


─タモリ的な(笑)。


“タモリ”さんのアルバムとかを聞きなおしたりして、
最初は、オモシロいとおもって聴いていましたけれど、
アレはやはりあのヒトたちの文化なんですよね。
コレはコレで完成されているから、ボクがやっても文体模倣になるだけだと、、、
ソレはちがうなと。
あたらしくないワケですよ。


─なるほど。


つぎに思いついたのは、『ドラクエ』の”復活の呪文”。


─ははは(笑)


アレもワケがわからないじゃないですか?
俳句っぽくもなっているし。
それでファミコンをもう一回買って、
『ドラクエ』の1をやりなおしまして、、、
そのときはレベルも30まで上げて、カウントストップするまで経験値を上げて、
でも竜王はたおさずにつづけるみたいな。

そういえば、最高レベルになって竜王を倒さないでプレイしていると、
王様に怒られるんですよ、
「そろそろ竜王を倒してくれ!」って(笑)。


─怒られますねー、そういえば。
いま言われるまで、すっかりわすれてましたケド(笑)。


で、怒られるまで、ゴールドも経験値も最高にして、
その状態の復活の呪文を100回取ったんです。

そうしたら、、、ナント!8種類しかなかったんですよ。
それでは歌詞にならないし、、、権利的にもちょっとアブナそうだなと(笑)。


─アブナいですよね、やっぱり(笑)。


惜しいトコロまでいったんですけれどねー。
あとほかに日本語なのに、日本語に聞こえないものってなんだろう?と考えてまして、
そのときに「お経」か「祝詞」だなーとなりまして、、、「祝詞」がいいねーと。
呪文みたいだし、浄まるし(笑)。
歌うたびに浄められるからイイなと。
それからいろいろな「祝詞」を聞いて、コレはイイと。
で、インスパイア系なワケです(笑)。


─途中、日本語っぽいフレーズも出てきますけれど、、、
結局、何語か分からなかったです。
歌詞も掲載されていないですし。
「コトバを逆にしているのかな?」とかも思いました。


あー、それも考えました!
“宮沢賢治”の「雨ニモマケズ」を逆からとか、、
でも、やっぱり権利的にアブないなと(笑)。


─オトナな事情ですねー。
ま、アブないと思いますよ(笑)。


あとは、”夏目漱石”の「吾輩は猫である」を一文字ずつズラして読んでみたり、、、
それもオモシロかったんですけれどね、バレた瞬間にヤバいと(笑)。


─いや、普通にヤバいですよ(笑)。
そして、「祝詞」にされたと。。。


そうです。


─アルバムの一曲目ですし、どうしても耳にのこるんですよね。
「コレ、何語なんだ?」って(笑)。


歌のディレクションを共同プロデュースの”石垣(健太郎)”がやってくれているんですけれど、
カレが「もっと感情を込めて、ラブソングののように歌え!」と。
ワケのわからないコトバの字面を追うだけだと、
どうしてもインストっぽく聴こえちゃうんですよねー。
だから、ワケのわからないコトバを、
感情を込めて朗々と歌うというスタイルで録ったんです。
すると、ミョーな説得力が出て、、、東南アジアののポップスみたいな感じに(笑)。

いろいろためしたんですよ、
コトバをおなじような英単語におきかえたりして英語っぽく歌うとか。
でも、コレは日本語っぽく聞かせないと意味がないと思っていたので、
ボツにしましたけれど。


─前アルバムで、歌詞に英語をつかわなかったというお話をされてましたが、
それはナニかキッカケがあったのでしょうか?


基本的に、英語ネイティブじゃないヒトが英語で歌うって、意味がわからないなと(笑)。
以前から思ってたんですよ。


─わかります!
ボクもおなじコトを思っていました(笑)。


自分が歌うようになってから、
最初は英語の曲も書いていましたけれどね、
やっぱり意味がわかってないから「伝わってないよなー」とスゴく思うワケです。

たぶん、サウンドがカッコイイというだけなんですよね。
基本が日本語なのに、「伝える気があるのか?」っていう話になっちゃう。
だから、自分が歌うのは、コレからは日本語って決めたんです。


─そうなんですねー。
今作のアートディレクションの杉江(宏憲)さんとは、
もともと繋がりがあった方なのでしょうか?


もともとは、日テレのニュース番組『NEWS ZERO』です。
オープニングの曲を僕がやらせていただいているんですけれど、
そのヴィジュアルが杉江さんで、スゴかったんですよねー。
緑色の丸いのが、ベロベローって(笑)。
「コレをつくったヒトすごいなー」っと。
で、、、「ツイッター」って便利で、
つくったヒトがわかっちゃうんですよ(笑)。


─イロイロすぐバレますからね(笑)。


そう!
それで、杉江さんだと分かって、
そのときは、まったく面識がなかったんですけれどツイッターで連絡を取ってみて、、、
飲みに行くことになったんです(笑)。


─マジですか(笑)!?


ええ(笑)。
それから飲み友達になって。
ひとつ前のアルバムでは、「冷たい情熱 」のMVをつくってもらいました。
とにかく、それがスバらしくて、、、
オーストリアのコンベンションとかに招待されたりしましたよ。
それで今回、またお願いした次第です。


─というコトは、、、出逢いが「ツイッター」だったということですよね(笑)。


ですね、
ツイッターで出逢ったヒト、大勢いますねー(笑)。





─2016年4月21日にこのアルバム『EYE』のリリースパーティをされますが、
内容的にすでに決まっているコトだったり、「やりたいな!」と考えているコトはありますか?


えっと、、、クリスマスマーケットみたいにしたいんです。
フ―ドコートとか、、、例えばイオンの1Fのフードコートみたいな感じ。


─マルシェみたいな感じですかね?


そうそう!まさにマルシェ!!
代官山のUNITなんですけれど、
いろいろなところに出店ブースをおきます。
フードケータリングだけで5つ。


─チラシにもそんなことが書かれてましたね。
“東京カリー番長”とかも出演されるとか。


そうです!
たぶんUNITにはいったら、カレーの匂いがするとおもいます(笑)。
ケバブ屋もいるので、ケバブの匂いもするし。


─もう何屋かわからなくなる感じの匂いですね(笑)。


そうそう!
代々木公園のタイフェスみたいな感じ。
食べている最中に、スルーッとライブがはじまるようなものにしたいなと(笑)。


─なるほど、それはナゼですか?


ライブハウスでやるライブって、ドリンクチケットいちまいもらって、
なんとなくビールをチビチビ飲んでいるだけじゃないですか?
で、ドリンクカウンターは混むし。
しかも、ドリンクもあまりおいしいワケでもない。


─わかります!


かといって、ビルボードとかブルーノートみたいに、
座って食事をするのは本格的すぎると。
ボクが客だったら、立っててもいいから、
食べたいもの、、、焼きそばとかを食べながらライブを見たいなーと。
だから、ソレをやろうとおもいました。


─まったくもって、音楽がメインのライブイベントの話に聞こえてこないですね(笑)。


そうそう(笑)!
見たいヒトは見てくれればいいし、
食べてかえってもらってもいいくらい。


─DJチームはどんなヒトたちなんですか?


恵比寿の「BATICA」で2ヶ月に一回、
ボクがやっているイベントのDJチームです。
そのイベントは、
いつもダレかしらのリリースパーティみたいな感じでやっているんですね、
配信だったりとか。
今回は、ボクのリリパなので、そのイベントのスペシャル版みたいな感じでやろうかなと。


─なるほど。


ちなみに、「BATICA」でも毎回ケータリングを出していて、、、
やはりフードは食べたいじゃないですか?いつどんなときも。
自分でライブをやりはじめてから、
ドリンクとか、フードとかにすごく不満をもっているんです。
高級か、ナニもないかで、ちょうどいいがない。
ちょっとしたのがナニかあればいいなと。


─たしかに、それはありますねー。


先日、2016年2月7日に「東京カリー番長」が毎月シリーズでやっている、
「俺カレー LIVE!」というイベントに出演したのですが、
それは、ミュージシャンが音楽をせずに、カレーをつくるってイベント。
つまり、ボクが思いついたものを、”カリー番長”が仕込んでくれて、
その場でボクが手つだいながらそのカレーをつくるという感じ。
そのときは、バレンタインデーがちかかったから、
チョコレートをいれたスープカレーをつくりましたけれどね。

もともとボクがDJをやっていた場所の知り合いだったりで、
カレらと話がもりあがってですね、
けっきょく、その場で「東京カリー番長」のメンバーにはいるコトになりまして、、、
非常勤の音楽主任に指名されました(笑)。
だから、「東京カリー番長」のメンバーとして、はじめての参加なんですよね。


─ご自身もメンバーにはいっちゃったんですね。
って、リリースパーティ感がまったくないですね(笑)。


まったく音楽の話が出てこないね。
曲は、このアルバムからやりますから(笑)。


─「ま、アルバムを買って、聞いてくれよ!」的な感じですよね(笑)。


そうそう(笑)。
「どうせこれからやるんでしょ!」ってみんな思っているだろうし、
どうせヤリますし。
むしろ、お腹をすかしてきてもらえればという感じです(笑)。


─ははは(笑)。
完全にゴハンモノのイベントですね。
わかりました!


インタビュー、、、こんなんで大丈夫ですかね(笑)?


─ぜんぜん大丈夫です!
中塚さんは、ゲームのヒトだったんだってコトがわかりましたので(笑)。


ゲーム、やっぱり大好きなんですよねー(笑)。


─ありがとうございました!


ありがとうございました!!




(おわり)







□アルバム情報

中塚武
『EYE』





価格:¥2,800(税抜)
レーベル:Delicatessen Recordings/Polystar(UVCA-3035)

発売日:発売中!

>>>レビューはコチラ!!



□リリースライブ

2016年4月21日
中塚武NEWアルバム
『EYE』RELEASE PARTY
~目玉の飛び出す夜~


□出演
LIVE :
中塚武


PERFORMANCE:
Shumusic Saxophone Quartet


DJ:
高橋マサル(Swing Design)
Tetsuya.Nz(Charlie-Hz)
勝矢和紙(渡る世間は音ばかり)
wallflower(Floor Extra)
小原優男(F.A.C.E.)


VJ:
杉江 宏憲
佐藤こずえ
and more!


FOOD:
東京カリ〜番長
“EAMO”MARO&SONS
エムケバブ
コズミックキッチン
中西怪奇菓子工房。



OPEN/START:18:00/19:30
CHARGE(ADV/DOOR):3,500yen/4,000yen(共にドリンク代別)
※再入場不可


代官山UNIT
東京都渋谷区恵比寿西1-34-17 Za-HOUSEビル
TEL. 03-5459-8630
http://www.unit-tokyo.com/



□プロフィール

・中塚武





シンガーソングライター、サウンドクリエイター。
自 ら主宰するバンド”QYPTHONE(キップソーン)”としてドイツのコンピレーションアルバム『SUSHI4004』で海外デビュー以降、CM・テレビ 番組・映画音楽の制作・アーティストへの楽曲提供と幅ひろく活動。これまでに6枚のオリジナル・ソロアルバムをリリース。
2013年にソロ活動 10周年をむかえ、作詞・作曲・編曲・歌唱・ピアノ演奏をすべてひとりでおこなったフルアルバム『Lyrics』、新世代ビッグバンド”イガバンBB”と のコラボレーション・カヴァーアルバム『Big Band Back Beat』を立てつづけにリリース。
2014年4月には、自身初のベストアルバム『Swinger Song Writer』をリリース。新曲「〇の∞」がNHK「サイエンスZERO」のテーマ曲となり、iTunes Store JAZZチャート1位を獲得した。
2014 年11月、Disneyオフィシャルアルバム『Disney piano jazz HAPPINESS Deluxe Edition』をリリース。「Let It Go」を含むDisney楽曲を独自の編曲とピアノ演奏によって再解釈し、Disneyファンからも大きな反響を得た。

オフィシャルサイト:http://www.nakatsukatakeshi.com/
Twitter:http://twitter.com/NAKATSUKATAKESH
Facebook:https://www.facebook.com/NAKATSUKATAKESHI


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