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Interview : May 19, 2016 @ 20:10

紐トーク Vol.05──田中知之(FPM)×斎藤 悟 新パーティ『HSA』をヒモ解く(前)



DJ/音楽プロデューサーの”FPM”こと”田中知之”と、セレクトショップ「URBAN RESEARCH」の販売促進部マネージャー”斎藤 悟”氏が提案する、神出鬼没のパーティ『HYPER SOCIETY ARCHIVES』が、2016年4月9日に、青山にある「FREEMANS SPORTING CLUB BAR/ RESTAURAN」にて開催された。


コチラ、いつものクラブパーティとはちがい、完全招待制という、かなりクローズド。

しかも、次がドコで、どんなカタチで開催されるかもわからないという、まさに神出鬼没なパーティだ。


そのむかし、80年代後半から90年代にかけては、こういうパーティがかずおおく開催されていた記憶があるが、ここ数年はミミにするコトもすくなくなった。


しかし、ナゼ、イマ、このタイミングで、このようなパーティを開催するコトになったのか? そして、パーティは今後、どのような方向へむかっていくのか?


このパーティ『HYPER SOCIETY ARCHIVES』の首謀者である”田中知之(FPM)”さん、そして”斎藤 悟”さんのおふたりにハナシをうかがってみた。






─今回は、セレクトショップ「URBAN RESEARCH」の販売促進部マネージャー”斎藤 悟”氏とともに、神出鬼没のパーティ『HYPER SOCIETY ARCHIVES』をスタートさせましたが、
いったいどのようなパーティなのでしょうか?


田中知之(以下、FPM):
もともと大阪で『HYPER SOCIETY』というパーティを斎藤くんと一緒にやっていたのですが、
スタートしたのは、たしか2006年11月で。。。


斎藤 悟(以下、斎藤):10周年ですね(笑)!


FPM:ながくつづけているよね(笑)。
そもそも『HYPER SOCIETY』は、
大阪のクラブでレギュラーでやってきたパーティなんです。
「danceteria SAZA*E」でスタートして、
「Live&Bar 11-Onzieme- 」にうつって。
ソコが2016年3月にクローズしてしまったのをキッカケに、
あたらしいパーティをはじめようと企画しだしまして、
場所を決めずに、自分たちが招きたい人だけを招くという、
神出鬼没なパーティにしようという話になりました。


─神出鬼没というのは?


FPM:それこそ東京でやるのか、大阪でやるのか、京都でやるのか、
はたまたハワイでやるのかすら決まってないよね(笑)。


斎藤:そーっすね(笑)。


FPM:それくらい自由なんですよ。
でも、今回は第1回目なので、わかりやすく東京で。

で、せっかくなので「いいトコロでやりたいよね!」という話を斎藤くんにしたら、
「いいところありますよ!」と、提案してくれたのが
この「FREEMANS SPORTING CLUB」。
「URBAN RESEARCH」が運営している場所なので、
「手前ミソですけれども!」という前提つきだったのですが、
最高な場所でおどろきました。

お客さんは、特別な場所だったり、体験だったりをもとめているだろうし、
僕らは僕らで、エクスクルーシヴな場所で、
しかも安定して音楽を供給できるチャンスをうかがっていたので、
今回のパーティは、まさに理想形。


─今回は”桜”がテーマですが、
テーマは毎回、ナニかしら考えて開催する感じでしょうか?


斎藤:
パーティに季節感が欲しいというのもありますし、
基本的にはご招待するカタチでの開催なので、
そういった意味では、”もてなし”の部分があった方がいいとおもいました。

ただ、いままでのクラブでやっていたような、
ダレでもカレでもOKとか、女性無料とか、、、
そういう文脈ではないパーティをやりたかったんです。


FPM:この企画をおもいついたのがちょうど春前だったので、
季節的にお花見をやりたいなと。

ただ、満開のときは、みんなは桜の名所の方に行ってしまうので(笑)、
桜の見ごろがおわるころを見極めて、
このタイミング(2016年4月9日)にしました。
そうしたら、ジャストだった。


斎藤:ちょうどでしたね(笑)!


FPM:
店内に桜がほしいというリクエストを出したら、
斎藤くんがOKをしてくれまして、、、
すばらしい桜を店内に用意してくれました。

斎藤くんと僕は長年DJをやってきて、
音楽に対してはキチンと追求してきたので、
このパーティではそれ以外の要素でも、
もてなすコトができたらいいな。

斎藤くんの方からも、
桜とシングルモルトウイスキー「R9(Rikyu)」のふたつをおおきな軸に!
という提案をもらい、実現してもらいました。

お客さんが、また行きたくなるようなパーティを、
斎藤くんとつくれたらいいなとおもっています。





─ちなみにおふたりの関係はいつくらいから?


FPM:だいぶ長いですよ!
もともとは、彼がバンドをやっていたときに、、、スタートはソコからだよね?


斎藤:はい!
ボクは大阪で音楽バンドをちょっとしたご縁でサポートでやっていたのですが、
京都での出演がおおかったんです。
そのときに田中さんとお会いして、
よく田中さんのイベントにライブで出させてもらっていました。


─そうなんですねー。


FPM:
だから、僕にとっては「URBAN RESEARCH」の斎藤くんではなく、
バンドの斎藤くんって感覚(笑)。
それが「URBAN RESEARCH」に入社して、友人を介して再会して、
「イベントをやりましょう!」とスタートしたのが、10年前。
そこからずっと一緒にやらせてもらえているんです。

だから、昨日今日はじめた関係ではないところが”ミソ”かなと。
こういう関係があっての上で、
このイベントがまたあたらしいカタチでできるのが、
すごくうれしいし、たのしいですね。


─このカタチ(招待制/神出鬼没/クラブではない場所)のパーティをはじめたというコトは、
最近のクラブシーンがかなり変わってきている現状というか、
そういった部分もありますか?


FPM:正直、あります。
大阪は、女性はエントランスフリー(入場無料)というクラブができはじめて、
若い人がソコに殺到していたんです。

仕方がないコトかもしれないですが、
そうなると本来のクラバーというか、音楽好きの人が、
行きづらい空間になってしまうコトもあるんですよ。
DJをとどけたいとおもう層にどかないというのもある。
それに、クラブとか、パーティとかに対しての考え方も熟成してきて、
もはやクラブに行くだけで「たのしかった!」という時代ではないですしね。

むしろ、特別感だったりとか、エクスクルーシヴ感とか、安心して行ける感じとか、
そういうのを提供しないといけないのかなと。

もちろん、クラブに対して、良いイメージを持っている人ばかりではないですし、
そういう意味でもこういうパーティはベストだなとおもっています。


─なぜ、クローズドな感じのパーティにしようと考えたのでしょうか?


FPM:
「あたらしいお店がオープンしました!」、
「あたらしいコレクションが出ました!」みたいな、
いわゆるレセプションパーティに招待される人って、
ある程度決まった人たちなんです。

そういうパーティに普段行かない人にも、
エクスクルーシヴな雰囲気を、、、
それがイイのかワルいのかわからないのですが、
味わってもらえるのがいいのかなと。

敷居を上げるとか、そういうコトを言うつもりはないのですが、
僕とか、「URBAN RESEARCH」の斎藤くんが選んだ人、、、
それは「URBAN RESEARCH」のお店の顧客さんだったり、
僕の仲のいい友達とか、
そういう人たちとすこしおおきめなホームパーティをやるくらいの気持ちで、
ワイワイできたらなというのがあったんです。


─いま、ホームパーティとおっしゃっていましたが、
昨今、パーティカルチャーの流れとして、
ちいさい場所で、自分たちのヤレる範囲でやっていく!
という方向に向かっているように感じます。
田中さんもやはりそういう流れを感じているのでしょうか?


FPM:そうですね。
以前、「Facebook」にも書いたのですが、
フェスみたいなカルチャーが隆盛を極めて、
どんどん大人数へ、どんどん大バコへという流れがあると、
その反動はかならず起こるとおもっています。

そういうカルチャーに相いれないというか、
そこに対して魅力を感じられない人もおおいとおもうし。

僕も、仕事ではやっていますが、
自分自身がそういう場所にジョインするタイプかといえば、そうでもない。

もっと内輪でたのしめるというのが、、、内輪だけではダメなんだけれども、
僕と斎藤くんとが、
ごく私的な気持ちで純粋にたのしめるようなパーティがあってもいいのかなと。


─なるほど。


FPM:
「URBAN RESEARCH」にサポートしてもらえて、
このようなパーティができるのは、本当にありがたいです。
おおきなイベントだと、
斎藤くんのDJをゆっくり聞きたくても、
できなかったりするワケですよ。

それよりも、
ふたりで「この曲、オモロいよねー!」とか言いながらDJができるパーティがしたい。
それをお客さんにも一緒にたのしんでもらうみたいな、
そんな感じのパーティ、、だよね(笑)?


斎藤:そのとおりです(笑)。





FPM:
このパーティに関しては、それでいいとおもう。
だから、おおきくしていくつもりもないんです。
こじんまりだけれど、みんながたのしそうにやっているパーティを、
ムリせず継続するというのが目指すところですね。


─この”フリーパーティ”という形で、継続させていく感じですか?


FPM:
今回は、フリーパーティだけど、
パターンによっては料金がかかるかもしれないし。
しかも、お金を払ったら入れるというパーティではなく、
インビテーションがないと入れない。

そういう最低限の条件をつくった上で、
食に特化してみたり、シチュエーションに特化してみたり、
そんなコトを考えていけたらいいなとおもいます。


─ちょっとお話を変えて、
昨年、デビュー20周年をむかえましたが、
まずは、おめでとうございます(笑)!


FPM:ありがとうございます(笑)!!


─この20年は、どのような20年でしたか?


FPM:あっという間でしたよ(笑)!ホントに。
それこそ日々の生活のパターンが、ここ20年、、、とまでは言わないですが、
この10年くらいは、平日にレコーディングして、週末にはいろいろな場所でDJしたりと、
ほとんど変わっていないんです。
だから、20年といえば、20年なんですけれど、、、その自覚がほぼないですよ(笑)。

中学生のときに、はじめて”ローリング・ストーンズ”を聞いて、、、
当時、彼らは結成から18年くらい。
で、「長いコトやっている人がいるなー、島倉千代子か!」と(笑)。





─ははは(笑)。


FPM:
そんな感じで、活動20周年って演歌の人しか到達できないとおもっていたんですよ。
で、いざ自分が20年ってやってみたら、大したコトなかった。

なんだろう、、、満足したコトもないし、
かといって、別に不満ばかりでもない。
“FPM”をダラダラやってきただけで、
大きなブレイクがあったワケでもない(笑)。

だけど、つぎに行きたいな!とはおもってます。


─いやいや、ダラダラなんて(笑)。


FPM:
「自分の作品をスゴく売るためには」、
「ブレイクするためには?」みたいなコトを一切かんがえなくなったんです。
結局のところ、「何がカッコイイか?」とか「何がオモシロいか?」という部分に、
忠実にいるコトが大事なんだとおもいます。

洋服もそうなのかもしれないですが、
「つぎは何が流行る?」と分析して出すこともしないです。
もちろん、最低限のマナーとして、流行におくれてはいけないワケですが、
自分にとっては、どうでもいいんですよね。

斎藤くんとたまにDJ論についてヤリトリをするんだけれど、
ことDJにおいては流行なんかでは割り切れないワケですよ。
キチンとしたフィロソフィみたいな部分があって、
ソコが斎藤くんと自分とは似ているのかなとおもう。

結局のところ、
僕ら、オシャレなパーティをやるという体になっていますけれど、
単純にDJがやりたいだけなんですよ(笑)。


─ハハハハ(笑)。


FPM:
だって、僕らDJをやっている人間が主催するパーティだから、
そこに主軸がないと、DJがやるパーティとしてはダメだとおもいますよ。

単にオシャレなパーティとかイベントなんて、
いくらでもあるじゃないですか?

でも、僕と斎藤くんとのなかには、
流行とは関係なしに、
うったえたい音楽がある。
それを聞かせたい!というのがおおきいかな。


─なるほど。



(後編につづく)







2016年4月9日
『HYPER SOCIETY ARCHIVES』
-SAKURA CHILL EDITION-





Resident DJ:
Tomoyuki Tanaka(FPM)
SATORU SAITOH(URBAN RESEARCH)


SPECIAL WISKEY BY
R9


FREEMANS SPORTING CLUB
東京都渋谷区神宮前 5-46-4 イイダアネックス表参道
TEL. 03-6805-0494


「URBAN RESEARCH」オフィシャルサイト:http://www.urban-research.com/


□プロフィール

・田中知之(FPM)





DJ/プロデューサー。
8枚のオリジナルアルバムのリリースの他、多数のアーティストのプロデュースも手掛け、リミキサーとしても、布袋寅泰、くるり、UNICORN、サカナクション、FATBOY SLIM、Howie B、など100曲以上のリミックスを担当する一方で、UNIQLO、資生堂など、どこかで絶対に耳にしているCM音楽も数多く手掛けている。
DJとしては、国内は全都道府県制覇、海外でも約50都市でプレイし、国内外のハイブランドのパーティーDJとしても活躍。
また、『オースティン・パワーズ:デラックス』『SEX AND THE CITY』への楽曲提供の他、村上隆がルイ・ヴィトンの為に手掛けた短編アニメーションの楽曲制作など活躍の場は多岐に渡る。
昨年9月30日にFPM活動20周年に突入し、これを記念した様々な企画、名付けて「FesPM」も始動。第一弾として初のオフィシャルYouTubeチャンネル「FPM20th」を開設し、アーカイブ全曲試聴や、全PVの公開もスタートさせている。
20周年を記念した3枚組ベストアルバム『Moments』がavexより好評発売中。2016年3月16日にはリミックス・プロデュース曲、そして未発表のレア曲などを含む、3枚組ベストアルバム『Motions』が発売。
オフィシャルサイト:http://www.fpmnet.com/



・SATORU SAITOH(URBAN RESEARCH)





1976年横浜市生まれ
セレクトショップ・アーバンリサーチのPR マネージャーとして地域活性事業から、IoTイノベーションまで幅広い守備範囲で活動。
2014-2015年の2年間、集英社「メンズノンノ」にて、モデル・俳優の坂口健太郎氏とともに「坂口&サイトウのごはんラボ!」コーナーを連載。
趣味は、料理と怪奇スポット探索。
ヒップホップをベースに歌謡曲からアーバンな音楽、ハードロックまでとにかくなんでも掛けちゃう派。


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