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Interview : December 8, 2016 @ 16:07

ザッツ・談!─家電蒐集家”松崎順一”(前編)



なんのテーマもなく、ただダラダラ話す「雑談」。

目的がある会話よりも、話のソレた雑談の方がじつはたのしかったりする。


本誌編集長のワタクシ(カネコヒデシ)と家電蒐集家の”松崎順一”さん。

松崎さんと知り合ってから約6年ほど経つが、
会うたびに本業とはまったく関係のない、
よく分からないところで話がもりあがってしまうコトがよくアル、
というか、かなりありすぎ、いやむしろそれだけカモ。

先日も、某誌でのインタビューにお会いした際、
インタビュー中の会話よりも、
むしろインタビュー前の会話の方でもりあがりすぎてしまった、ワレワレ。。。


そんなワケで、今回はこのクうだらないふたりの雑談を、
おもいっきり披露してみよう!という、雑 de 談な雑談企画!
題して『ザッツ・談!』の前編。


ちなみに、ほとんどラジカセの話は出て来ないので、あしからず。






カネコヒデシ(以下、カ):
じつは、最近よく「カネコさんみたいになるには、どうしたらいいですか?」という、
とてもかわいそうな(笑)?若モノたちからのそういう質問がおおいんですよ。
コッチとしては、「エ”ッ!!」みたいな。
実際のところ、どういう”思い”とか”意味”で言っているのかは分からないのですが、
でも、そのコトバに返しようがないんですよね。
べつに、ボクも”コレでもか!”ってくらいこの仕事で儲かっているワケではないですので、
「べつにススメないけれど、ガンバレば~?」としか、言えないワケですよ。。。
おそらく、松崎さんも、似たようなコトを言われているんじゃないかなーとおもいましてー。


松崎順一(以下、マ):
ありますよ!
やっぱりおなじような仕事をしたいとおもうヒトはいるみたいでして、
もちろん最初はマネでもいいとおもいますけれどねー。
でも、最終的になかなか自分を主体に置き換える、
という考え方にいたらないヒトがおおいんですよねー。


カ:
わかります!
頭の中で”考える”という方向にいかないんですよねー。


マ:
いまの若い世代のヒトたちを見て思うのは、
そのヒトに憧れがあって、
そのヒトとおなじようになりたいというのがあるのは分かるんだけれど、
残念ながらそれってコピーでしかないワケですよ。
ボク自身はたまたまコレで、
コノやりかたでよかったけれど、
別の人がボクのやり方でおなじコトをやったとしても、
それでメシが食えるとか、成功するとかはかぎらない。
結局は、そのヒト用に置き換えてモノゴトをやらないとというコトなんですけれど。
まったくおなじことをやりたい、やってしまうというのは、
まだ憧れだけしかなく、自分のスタイルになっていないというコトなんでしょうね。


カ:
そうでしょうねー。


マ:
結局、その仕事を自分自身が面白いとか、たのしいとか、
その感覚まで近づけないと、たぶんうまくいかないんですよ。
ただただ儲けの手段だけになってしまっていて、
その部分をなかなか理解していないヒトがおおいかなと。


カ:
圧倒的に経験が足りないんですよね。


マ:
あー、そうですよね。
いまの世代は、いろんなことにチャレンジしてってコトがすくないとおもいます。
チャレンジがないから、失敗もない。
ボクなんかは超アナログ世代なので、
小さいときから、自分で動いて、これをやったらこうなるって、、、
それが反射的になるまで経験で積みあげてきた人間なので(笑)。


カ:
いやー、ボクも一緒ですね。


マ:
そうでしょ?
小さいときとか、テレビの裏を開けて、
真空管をさわったらビビーってなったり(笑)。
たぶん、そういうのがいまは少ないんですよ。
もしかしたら、それは他のヒトのブログで、
こうするとこうなるみたいなコトが書いてあるから
「へー!」ってなるような、そういう疑似体験しかないのかもしれないですよね。


カ:
いまは調べればナンだって出てきますからね。





マ:
あえて皮膚感覚で感じとる機会ってのがすごくすくなくなっていますよね。
いわゆるの”SNSの弊害”みたいな部分はあるのかなと。
たとえば、『○べログ』とか。
たしかにそのヒトはおいしかったのかもしれないけれど、
自分自身に置き換えたときに、自分はソコが美味しいのか?って、
本当のところは食べてみないとわからないじゃないですか?


カ:
ええ。


マ:
「評価が高いからおいしい」とか、
結局のところ自分の舌に合っていなければ意味がないと思うんです。
評価が1でも、自分が美味しいから「おススメ!」ってお店もいっぱいあるワケですし。
逆に評価が3とか4でも、自分にとってはぜんぜんダメなところもある。
そういうところですよね。
なんだか、みんなランクづけされちゃって。。。
たしかに参考にはなるけれど、
それを鵜呑みにしちゃうのがコワいなとおもいますよ。
まあそのヒトがよければいいけれど、でもそれじゃあねー。。。


カ:
若いヒトと話すと、
「失敗したくない!」っていうのが根底があるんですよね。


マ:
ありますね。


カ:
でも、「ええー!失敗しないでどうやって生きていくの!?」っておもっちゃうワケですよ、
コッチは(笑)。


マ:
自分たちでリスクを負って、ナニかをやるってコトが「潜在的にコワい!」というのが、
いまの10代、20代ですよね。
時代的に好景気をまったく知らない世代ですからね。
低迷した景気もずっと上がらないから、
自分でチャレンジして成り上がる、、、そういう夢じゃないけれど、
社会自体が夢すら持てないような構造になってしまっているような気がします。
行動をおこす、アクションをおこすヒトって、
ホントにすくなくなっちゃったのかなとおもうんですよね。
すごくモッタイナイですよ。
10代、20代に徹底的にいろんなことをやって失敗する経験を積んだ方がいいとおもう。
若いからこそ失敗も出来るワケですし、
ボクなんか40代から失敗してますけれどね(笑)。


カ:
あ!ソレはボクも変わらないです(笑)。


マ:
40で会社を適当に辞めちゃって、
コレで食っていこうとおもったら、実際は「ヒエー!」って(笑)。
こんなに大変だってのを、40代で死ぬほど味わいましたから。
それよりは、10代、20代の方がどうにでもなるじゃないですか!
そういうところがね、いまの時代って、なんかうまくいってないですよね。


カ:
この「失敗しちゃダメ!」みたいな風潮はたぶん、
教育的なところからありますからね。


マ:
むかしにくらべると、倫理観ってキビしくなっていて、
むかしはコレがゆるされたのに、いまはアブナいからやっちゃダメとか、
そういう規制というか、、、
「コレダメ!」、「コレもダメ!」ってのが増えましたよね。


カ:
増えましたねー、
先日、”日本一危険な滑り台”ってのが使用禁止になったってニュースでやっていたのですが、
ものすごいスピードで滑っている動画をダレかが見て、
「アブねー!」みたいな感じになって、一気に使用禁止になったみたいなんです。
滑り台注意書きの立て看板を立てて、再開するみたいなんですが、
動画を見ただけで、実際に滑ったこともないヒトが「アブねー!」って大さわぎして、、、
「ナニを言ってんだ!?」って感じですよ。


マ:
自分の経験じゃなくて、ヒトの経験でって感じですよね。
いまのSNSの炎上ってみんなそうですよ。
ダレかが「ダメ!」って言ったら便乗する、
ホントとかどうかの真偽もわからないのに。
まさしくその滑り台の話ですよね。
それに、だいたいのコトって、
ホントはどうでもいいコトなんですけどねー(笑)。


カ:
ホント!そうなんです!!
どうでもいいコトなんですよー(笑)。


マ:
いまって個人で発信できちゃう時代で、
そういうコトバがリアルに世の中に反映されちゃいますよね。
ちょっと前までは、つぶやいたり、書いたりしても、
ホントにつぶやきだけで終わっていたんですが。
でも、いまは全世界にひろがってしまう。


カ:
「2ちゃんねる」だって、
結局のところ「2ちゃん」カルチャーに興味のあったヒトの、、、
いわゆる”パイ”が小さかったからそこまで大ゴトにならなかったんですけれどね。


マ:
そう!
「2ちゃん」って、やっているヒトたちだけのコミュニティでしたから。


カ:
だから、「あーだこーだ」って書いたとしても、、、


マ:
その世界だけで終わっちゃう。
ミクシーにしても、ナンにしても、そのコミュニティだけだったんですよ。
それが、いまはそのコミュニティ的な部分が崩壊してますよね。


カ:
完全に崩壊してます。





マ:
いまのSNSって、自分たちの知り合いのコミュニティをこえて拡散しちゃう。
それ自体はどーでもいいコトなのに、取り上げられて”ぼあーっ”といっちゃうワケですよ(笑)。


カ:
いいコトでもあるんだけれど、マイナスにもなっちゃったという感じですね。


マ:
そこはキケンな部分でもありますよねー。
変なヒトの、変な思想が、そのままクローズアップされちゃう場合もあって、
それに便乗しちゃうヒトも世の中いっぱいいますから。


カ:
意外と意思決定をしないというか、便乗しちゃうヒトっておおいですよね。


マ:
そうですね。
むかしの”ヒトラー”のプロパガンダとか、ファシズムじゃないですけれど、
“それに乗っからないとダメ!”みたいな感じの流れがありますよね。


カ:
みんながダメって言っているからダメとか。


マ:
それにいまって、
おそろしいコトに少数の意見って、
たたきつぶされちゃう時代じゃないですか。


カ:
ホント!
ビックリしちゃいますよね。


マ:
以前、安保反対デモの時も「デモに参加しないヤツは悪だ!」みたいな風潮になってて。。。
ホントはいろんな意見があっていいはずなのに、
それだともうちがう意見が言えなくなっちゃうワケですよ。
いま、そういう中間の意見がなくて、ドチラか極端な感じになってしまってて、
かなりアブナい感じになってきていますよね。


カ:
そうですねー。
その話で言えば、例のD社の社員が自殺したニュースで、
M蔵野大学の教授だかの方がブログ書いたことが炎上してってニュースがありましたけれど、
彼はキチンと謝罪して謝罪文までも出したのに、
今度は大学側が処分を検討するって。
そういう方向になりはじめたところが、
ボクはもうすごくコワいなとおもいましたよ。
それって大学、なんの関係があるの?って。
もちろん大学の名前は出るかもですがね、
大学って、自由な発想とか、自由な意見を言い合える場のハズなのに、
そういうコトで処分されるってコトになるとナニも言えなくなっちゃう。
そうなると、あたらしい研究も生まれないし、
あたらしい思想もまったく生まれなくなっちゃうワケですよ。
ホント、恐ろしいコトになってきてるとおもいます。


マ:
個人でつぶやいたから、個人で反省して謝罪しているのに、
そこで大学が出て来ちゃうのはね、ちょっとね。


カ:
たぶん、ダレかが大学に電話とか、クレームを出しているんですよ。
関係のないヒトが。
だからこそ、大学が動いてしまったというのもあるかもですが、
本来は、そこに対して大学側が動いたらダメでしょ!ってコトなんですけれどね、


マ:
別に個人の意見に関しては、
大学としては「ノーコメントです」という感じでいいハズなんですけどね。


カ:
まあ、なんだかスゴいコトになってきているなーと。
とても違和感を感じました。




(後編へつづく)








□”松崎順一”お仕事情報!

2016年12月9日-2016年12月27日(火)
日本発 アナログ合体家電
『大ラジカセ展』







開催時間:10:00-21:00(最終日は18:00閉場)
※入場は閉場の30分前まで

会場:
パルコミュージアム
東京都豊島区南池袋1-28-2 池袋パルコ本館7F
TEL .03-5391-8686
http://www.parco-art.com


>>>詳細はコチラ!!



□プロフィール

・松崎順一(Junichi Matsuzaki)

デザインアンダーグラウンド主宰・家電蒐集家・Retrofitter。
幼少期より「秋葉少年」としてラジオの製作・電子工作・アマチュア無線などを趣味に家電と親しむ。
2003年に「デザインアンダーグラウンド」設立。現代のプロダクツがうしなったモノが過去にあるとの認識で、レトロフィッターとして日々廃棄された家電を発掘し、日本のみならず世界へ古い家電を蒐集しまわり現代によみがえらせている。
現在、主として、ラジカセをベースとしてアナログ作品を通して未来の家電のあり方を提案している。
http://www.dug-factory.com


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