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Interview : December 16, 2016 @ 16:05

ザッツ・談!─家電蒐集家”松崎順一”(後編)



雑 de 談な雑談企画!
なんのテーマもなく、ただダラダラ話す「雑談」。

目的がある会話よりも、じつは雑談の方がたのしかったりする。


ひきつづき、家電蒐集家の”松崎順一”さんとワタクシ(カネコヒデシ)が、
某インタビュー前に話していた、いや話すぎてしまった雑談を惜しげもなく大公開する、
雑 de 談な雑談企画『ザッツ・談!』の後編。


ちなみに、ほとんどラジカセの話は出て来ないので、あしからず。






松崎順一(以下、マ):
でも、現代の風潮というか、流れってそういう感じですよね。


カネコヒデシ(以下、カ):
まったくもって、そういう流れになってきてますよ。


マ:
勤め先自体がそういうパターンって、おおくなった気がします。
でも、根本的には、まったく関係ないハズなんですけれどね。


カ:
そうなんです。
個人の自由な部分ってあってしかるべきなんです。


マ:
“言論の自由”の部分がねー。
以前は、自分の範囲のなかでおさまっていたつぶやきが、
いまはいろんなヒトがそれを見れる時代ですからね。
それを不愉快に感じるヒトもいれば、共感するヒトがいたり、
さまざまなんですけれど。
でも、「それオマエちがうだろ!」って悪意にみちた方にリツイートされると、
どんどん拡散されて、変な方向にいってしまう。


カ:
負のパワーですよね。


マ:
そう!
負のパワーの方が大きい。
そいう部分が現代のコワい部分ですよね。
まさしく、SNSの弊害というか。
SNSは、こういう便利なものができて、
自由に発言できるってのが良いというスタートだったんですけれど、
逆に、こんどは。。。


カ:
自分の首をしめるツールになってしまっているっていうコトですよね?


マ:
そうそう!
なんかヘタなことをいうと、
攻撃されて、あっというまに悪人にされてしまう。





カ:
なんなんすかねー。
この状況は。


マ:
ねー。
以前の”小保方晴子”さんのアレも、
別に本来は普通のヒトには関係のないコトなんですけれどね(笑)。
どうでもイイコトなんだけれど、なんか徹底的にやられちゃう。
負のパワーのヒトたちって、
いままでなかなか公にならなかったのが、
急に目立ってきちゃったという感じでしょうかね。


カ:
それこそSNSのおかげで個人で動けるようになっちゃいましたからね。
メディアって、以前はナニナニ雑誌社の週刊ナントカとか、
そういう限られた人たちがあつかっていたモノんですけれどね。


マ:
そうですね。
評論家のヒトが、「その事件に関してはこう思う」とか書いていたコトが、
いまは、それと対等に個人の意見が出ちゃう。


カ:
アメリカとか、海外って、いまはどんな感じなんでしょうかね?
FBとか生まれた当初は、
たしかおなじような状況になっていたとおもうんですけれどね。
いま、それほど過熱化していないというか、
そこまでニュースになっていないような。。。
ということは、日本もこの流れは落ちつくんでしょうかね?
日本のSNSの現状は、
まだ成熟していないのかもっておもったりもしています。


マ:
たしかにそうかもしれませんねー。
まあ、ドッチかというと、
日本の民度というか、文化度って、
ほかの欧米の国からするとめちゃくちゃ低いじゃないですか(笑)。
いちばん文化!文化!って言っているんですが、
文化度は、日本はいちばん最低だとおもうんですよね。


カ:
ははは(笑)。
たしかに。


マ:
いちおう文なんとか庁みたいなものもありますが、
ナンにも分かっていない団体に、ただお金を出しているだけという状況だったり。
文化の本質がぜんぜん分かっていないですよね、日本ってね。


カ:
ホント、そうおもいます。


マ:
日本って「文化を大切にしましょう!」って言ってますけれど、
自分たちの意見ってほとんどないんですよ。
たぶん、海外の有識者のヒトが「コレは残すベキだ!」とか、
そういう意見があると、
それに迎合して「ごもっともです!」みたいなところになる(笑)。
「日本のこういう文化はすばらしい!」とかって、
自分たちから発信する部分ってほとんどない。


カ:
ソレ、わかります(笑)!


マ:
特にボクがやっているジャンルの”家電”なんて、とくにヒドいですよ。
日本って、家電大国なのに、国主導で昔のイイモノを残すコトをやらない。
過去のものでも文化財に匹敵するものもあるとボクはおもっているのですが、
行政はまったく関知していないんです。
日本の工業製品って、デザイン的にすばらしいモノはたくさんあるんですよ。
逆にソコを認めているのは、欧米の美術館とか、そういうところだったりします。


カ:
そうでしょうねー。


マ:
いま、そういう現代美術館的な機関が、日本からどんどん収蔵している状況なんですよ。
だから、浮世絵みたいに、気づいたときにはみんな海外です(笑)。


カ:
ああー、”伊藤若冲”なんかはまさにそうですよね(笑)。
すべて海外ですからね。


マ:
日本の家電だってそうなっちゃいますよ。
国はナニもしない。


カ:
ウーム。。


マ:
で、気づいたときには。。。


カ:
もう遅いってことですよね。


マ:
もう無いってコトです。
メーカー側自体も、そういう意識がすごく薄い。
日本って、プロダクトで、工業製品でいままで経済成長してきたのに、
その根幹である日本にこそ、
インダストリアルミュージアムがあってもおかしくはないとおもいます。


カ:
たしかに!
それがあれば、世界からも観光客がたくさん来ますよね。


マ:
そうですよ!
もともと日本にあるモノだし、
日本の工業製品をリスペクトするのは当然でしょ?
とくにメイド・イン・ジャパン。
せっかくなので、
(2020年の)オリンピックに合わせたらいいんじゃないかなーと思っていたんですけれど、
残念ながら行政とかはまったく動かず。


カ:
何十年かしたら気づくんじゃないですかね?
「あー、、あのとき!」って(笑)。
でも、日本って建物とかもそうじゃないですか?


マ:
いや、ホント思いますよ。
渋谷だって、全部一緒の建物になってきちゃってて、
ナンの面白味もないですもん。


カ:
街ごとのカルチャーが無くなりつつある、というか、
ドコの街に行っても、ぜんぶ一緒の形態になって来ちゃってますよね。
渋谷と立川の駅前の違いがわからないですから(笑)。


マ:
駅前に降りても差別化ってナニもないじゃないですか?


カ:
ないです。
どのビルに入ってもテナントが一緒だし。。。


マ:
その街ならではのアイデンティティって、ほとんどなくなりつつある。
ちょっと穴場的な裏側にまで行かないと感じないですし。
新宿だったらゴールデン街とかのエリアですかね。


カ:
ゴールデン街だって、いまツブされるかもしれないってなってますから。


マ:
でも、あのエリア自体は、
むかしから「あんなぐちゃぐちゃなところ、全部さら地にしてビルを建てちゃえ!」って、
やってますよね。


カ:
いまや一大観光地ですよ!


マ:
そうでしょ!


カ:
外国人しかいないですもん。


マ:
だって、新宿に行っても、駅とか、靖国通りとか、別に他の都市と変わらないワケですし。。。
そういう古いものは、国とか、行政とかはすべて潰そうとおもっているとおもいます。


カ:
たしかにこの国はスクラップ&ビルドで成り上がってきた経済大国である、、、
という点もあるとはおもいますけどね。


マ:
そう!
日本はたしかにそうなんです。
欧米と比べると、日本って建物自体がむかしは紙と木とで出来ていたから、
火事になるとみんな無くなっちゃう。
で、もう一回建ててって、、、アジア圏はある程度そういう文化ですよね。
だから、それは仕方がないのかなーとは思いますが、
大正とか明治とかの昔ながらの建築物だって、
ダレかが「守ろう!」って言わなかったらみんな壊しちゃうワケですよ。


カ:
まあ、お金を回していくってのも分かりますが、アジがまったく、、、ないですよね(笑)。


マ:
ないですよねー。
日本はなー、そういう感じなんですねー。





カ:
国民性なんでしょうかね?


マ:
日本はね、むかしの時代から、新しいモノ好きというのはあるみたい。
だから、むかしのモノを平気で壊してしまうってのは、
やっぱり気質というか性格かもしれないですねー。
アメリカとかヨーロッパに比べると、アジア全体がそうなのかなー。


カ:
欧米に比べると歴史を重要視していない、、、
まったくという感じではないとはおもいますが。


マ:
振り返ったりとかあまりしない気質ではありますよね。
でも、中国の方が歴史的にはけっこうカゲキですよ。


カ:
三国志の国ですから(笑)。


マ:
中国のいままでの歴史って、前の王朝を全部つぶして、その上にあたらしい朝廷を築く。
中国の文化って、むかしから埋めちゃう文化なんですよ。
その繰り返しですから。


カ:
その繰り返しの延長が、
例の新幹線の事故をすべて埋めちゃう!みたいな話につながるんすかね(笑)。
アレ、すごいカルチャーですよね!


マ:
つぶした文化は、すべて埋めてしまう。
中国の歴史って、地層みたいに何層にもなっているんです。
ほんと面白いですよ。
ソコは、日本よりもスゴいカモですよね。
それが、先日の「万里の長城」の修復で、
全部コンクリートでカブせちゃったって話になるワケですよ。
アレは典型的ですよね(笑)。


カ:
ですねー(笑)。


マ:
アレは、べつにその業者が悪いというよりは、
アレを許した中国の行政がおかしいハズなんですよ。
最終的には行政が許可したワケですから。


カ:
しかし、やっぱり国によって性格がいろいろありますね。


マ:
ねー。
まあ、日本なんて、それからするとまだまだカワイイ方かもしれませんね(笑)。


カ:
ですねー。
また、まったくちがう話でもりあがちゃいましたね(笑)。


マ:
まあ、いつもですけれどね(笑)。



(おわり)

>>>前編はコチラ







□”松崎順一”お仕事情報!

2016年12月9日-2016年12月27日(火)
日本発 アナログ合体家電
『大ラジカセ展』







開催時間:10:00-21:00(最終日は18:00閉場)
※入場は閉場の30分前まで

会場:
パルコミュージアム
東京都豊島区南池袋1-28-2 池袋パルコ本館7F
TEL .03-5391-8686
http://www.parco-art.com


>>>詳細はコチラ!!



□プロフィール

・松崎順一(Junichi Matsuzaki)

デザインアンダーグラウンド主宰・家電蒐集家・Retrofitter。
幼少期より「秋葉少年」としてラジオの製作・電子工作・アマチュア無線などを趣味に家電と親しむ。
2003年に「デザインアンダーグラウンド」設立。現代のプロダクツがうしなったモノが過去にあるとの認識で、レトロフィッターとして日々廃棄された家電を発掘し、日本のみならず世界へ古い家電を蒐集しまわり現代によみがえらせている。
現在、主として、ラジカセをベースとしてアナログ作品を通して未来の家電のあり方を提案している。
http://www.dug-factory.com


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