Tokyo News : January 8, 2011 @ 02:20
NODA・MAP第16回公演『南へ』──制作発表!
演出家で作家、そして俳優の”野田秀樹”ひきいる”NODA・MAP”が新作『南へ』を発表。
その制作発表記者会見が、都内某ホテルにておこなわれた。
『南へ』は、『ザ・キャラクター』や『表に出ろいっ!』につづいての野田秀樹書き下ろしの最新作。
今回の会見では、主演の妻夫木 聡、蒼井 優をはじめ、キャスト陣が集結。
新作公演『南へ』の全貌があきらかになるのだろうか!?
以下、記者会見の模様をお伝えする。
司会は、前回、前々回の記者会見にひきつづきフリーアナウンサーの”中井美穂”。
檀上には、今作に出演するキャスト、妻夫木 聡、蒼井 優、渡辺いっけい、高田聖子、チョウ ソンハ、黒木 華、太田 緑 ロランス、銀粉蝶、山崎清介、藤木 孝、野田秀樹と、、総勢11名が登壇。
まずストーリーの発表。
「火の山が大好きな男(妻夫木)が、火山観測所に赴任する。その赴任先で待っているのは、虚言癖のある女(蒼井)。やがて、大噴火の噂が流れる。流れるのは噂だけか。それとも、本当に溶岩が流れ出すのか・・・。不確かな情報、予知、夢、噂、群がるマスコミ・・・「信」じられないものばかりで織りなされる、まことしやかな火の山の物語」
野田秀樹
キーワードは「洞窟ような心を持つ男と、心にマグマを持つ女」。
と、ぼんやりとしたストーリーとキーワードが発表。
つづいて司会の中井から、それぞれの役柄っぽいものの発表。
以下、役柄。
妻夫木 聡 ─ 観測所に赴任してくる火山を愛する男
蒼井 優 ─ 虚言癖のある女
渡辺いっけい ─ 火山観測所の所長
高田聖子 ─ 火山の山麓にある旅館の女将
チョウ ソンハ ─ 火山観測所の観測員
黒木 華 ─ 蒼井優演じる虚言癖のある女の分身
太田 緑 ロランス ─ 旅館の女将の妹
銀粉蝶 ─ 尊い役どころ
山崎清介 ─ 火山観測所の観測員
藤木 孝 ─ 尊い役どころ
野田秀樹 ─ VIPという役
さらにぼんやりした感じの役柄発表。
「役名は、ある世界観を示唆するコトバが使用されているゆえ公開初日まで、役名を発表することは控える」とのこと。
ちょっと見ただけでは何がなんだか。。。
とりあえずは、火山観測所の話なのかな、と。
そして野田秀樹が口を開いた。
「いまの日本の芝居ではなかなか見られないような”骨太な建造物”にしたいと考えています」。
『表に出ろいっ!』の記者会見のときとは打って変わって、暗い感じで、何故か声も小さめ。
すかさず中井が「話せる範囲でいいので、内容を教えてください」というコトバに。
野田は「エビゾーの会見みたいですね(笑)」と。
「話せる範囲では、火山のそばにある火山観測所の話なので、必然的によく”揺れる”んです。
そこに新任の観測所員、妻夫木くんが現れ、さらに虚言癖、嘘つきの女の子、優ちゃんが現れて話が進んでいきます。
その火山は、ブジ山というきわめて富士山に似た名前ですけれど(笑)。ブジ山というのは300年間噴火しなかった山で、、、、じつは富士山は300年前の宝永の時代に噴火しておりまして、その時代のはなしを絡めながら芝居は進行していきます」
中井「今回は出演者11名が登壇していただいていますけれど、それ以外にもキャストがいるという感じですか?」
野田「あと25人くらいのアンサンブルが出てきます。これも手前ミソなはなしですけれど、かなり質の高いアンサンブルだと思います。ただダンスするとか、そういうものではないです」。
つづいて中井が稽古場の状況や雰囲気を妻夫木 聡と蒼井 優に聞くと、妻夫木は「『キル』のときは再々公演で修正作業が多かったんです。今回は一からスタートで、僕自身も野田さんの作品は2回目だけれど、初めてな体験が多くて。。。みんなでワークショップをやっていて、日々、ボクらの中の発見や、良いアイディアが作品に生きてくる。だから、いつも新鮮な気持ちでやらせていただいていいます」と、蒼井「異様な空気感です」。
ちなみに、蒼井優は『楽屋』という舞台に出演した際、野田秀樹から手紙をもらったことが明かされ、、、そのエピソードを語った。
蒼井「舞台の中で、ビールのビンで殴られて倒れるというシーンがあったのですが、そこがすごく印象的だったというお手紙をくださいました」。
中井が、野田にその理由を聞くと。
野田「ワタクシの手口ではありません(笑)。
ちょうど『ザ・キャラクター』という、手書きの話を書いていた頃でもあって、手紙を書いてみたんです。
ただ、女優さんに書いたのは初めてですかね。
その『楽屋』という芝居の”楽屋”に訪ねたかったんですけれど、ちょっと、、こう、、、まあいいや(笑)。
えーと、まずいなー。。。」
中井「どうしたんですか。何か頭の中で考えている感じですか?」
野田「いや。優ちゃんだけがよかったって言いそうになっちゃった(汗)」
中井「ちょっと!もう口に出ていますよ(笑)」。
野田「いや(笑)、優さん”も”よかったので、”優ちゃんがよかったね!”ということを正直に伝えたかったんですよ。」
というのが手紙を出した理由らしい。
さらに、妻夫木が「野田さんという人のところに集まった人たちだけに、普通のヒトはいないよなって思います(笑)」
中井「どこが普通じゃないんですか?」と聞くと、妻夫木は「逆にどこが普通だと思いますか?このメンバー(笑)」。
たしかに普通ではない人たちの集まりだ。
普通じゃないといえばオフィシャルキャメラマンは、篠山紀信氏。
つづいて記者団からの質疑応答タイム。
野田が妻夫木と蒼井を選んだ理由と聞かれると。
野田「妻夫木くんを選んだのは、『キル』が終わったときに”またやろう!”という話をしていたんだけれど、大河ドラマなんかをやっちゃったから(笑)。それでちょっと時間があいたんですよね。
『キル』のときは再演だったので、妻夫木くんを念頭にした役を書いてみたかったんです。
優ちゃんは『楽屋』を見て、直感で、手紙を書いたんだけれど、
僕はいままでに良い女優さんとたくさん仕事をしてきたけれど、優ちゃんもそれらの女優さんに匹敵するような素質、素養があるなと思ったんです。稽古をしてみてその直感は当たったと思いましたよ」
さらに今回のふたつのキーワード『南へ』はどこからきたのか?、それと作品の「信じる」というコトバに関してひとことについては、
野田「タイトルに関しては、いま調査中なので(笑)。。。
じつは、意外にくだらない感じで出てくるんですけれど、そのコトバは。
“信じる”というコトバは、昨年は新作を3本書いて、そのうちの2本は”信じ込みすぎる人間”たちの話だったのですが、今回はその真逆で、”ウソ”という方向を書こうと思ったんです。。。
初日が開いたら、もう少しゆっくりお話ができると思うんですけれどね(笑)。
『ザ・キャラクター』とは物語は別ですけれど、ソレに近い──”共同体”というのかな、、、日本語というコトバを信じている”共同体”が”信じる”側だとしたら、その裏側です。
と、思うんだけれど。」
記者団「共同体ということは、おふたりの尊いお方が絡んでくるのでしょうか?」
野田「『ザ・キャラクター』の話はオウムですからね。
オウムの”あの事件”の裏にある我々の心理というか。
あの問題が起こったのは、何をほったらかしていたから起きたのか、そういうことが関係している感じです。」
さらに記者団の「凝り固まった概念をを打ち破る演出にファンは期待しているが、今作は見終わったときに人を信じるという方になるか、信じない方になるのか。ヒントを教えてほしい」
との質問には、
野田「今回は”信じる”とか、そういうものではなく、”共同体”というコトバを出していましたけれど、日本というモノをどういう風に思うのかなという、、、そんな作品です。」
終始、微妙な雰囲気だが、なごやかに進んだ記者会見。
最後に野田秀樹は
「演出家として役者さんの演技には悩むところがなくて、毎日、どこがこの作品に足りないのかを探しているんです。志の高いものを作りたいですね。
(今日は)声は暗いけれど、内容は明るいです(笑)。」
中井「今日は、何でそんなに声が出ていないんですか?」
野田「稽古中で、僕だけ台詞が入っていないんです(笑)。」
という感じで、
作品の内容に関してはかなりおぼろげな答えばかりだったが、そこは野田秀樹。
今作もまちがいなく面白い作品になりそうだ。
NODA・MAP第16回公演
『南へ』
開催期間:2011年2月10日-2011年3月31日
出演
妻夫木 聡/蒼井 優/渡辺いっけい/高田聖子/チョウ ソンハ/黒木 華/太田 緑 ロランス/銀粉蝶/山崎清介/藤木 孝/野田秀樹
作・演出:
野田秀樹
会場:東京芸術劇場 中ホール
http://www.geigeki.jp/
チケット:2011年1月8日(土)10:00より発売開始!
詳細はNODA・MAP オフィシャルHPにて
http://www.nodamap.com/productions/toSouth/
This entry was posted on Saturday, January 8th, 2011 at 02:20 and is filed under Tokyo News. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. Responses are currently closed, but you can trackback from your own site.