Interview : September 12, 2013 @ 14:09
“SABU × 小松彩夏” インタビュー── ゾンビとオシャレと私 (前)
『弾丸ランナー』でおなじみの”SABU”監督が、こんどはなんと!ゾンビ映画『Miss ZOMBIE』を完成させ、2013年9月14日より公開することとなった。
ゾンビ映画といえば、現代におけるホラー映画の定番。
ちなみにゾンビ映画の起源は、1932年の『恐怖城』。
その後、さまざまなゾンビ映画が製作され、1968年の”ジョージ・A・ロメロ”監督による作品『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』で、現在のゾンビ的ルールが確立した。
さらに、そのルールに乗っとった1981年の”サム・ライミ”の『死霊のはらわた』や1985年の”ダン・オバノン”の『バタリアン』、そして”リッキー・ラウ”の『霊幻道士』などでゾンビはいちやく市民権を得て、90年代にはシリ—ズ化された続編がメインに。
2000年代にはいり、2002年公開の”ダニー・ボイル”の『28日後…』シリーズや”ポール・W・S・アンダーソン”の『バイオハザード』シリーズが開始。
そして、最近では、2013年に公開された”マーク・フォースター”の”ブラット・ピット”主演による『ワールド・ウォーZ』などなど、現在までにあげればキリのないほど、多種多様なゾンビ映画が存在する。
そんな歴史あるゾンビ映画界に、”SABU”監督が約10年ぶりとなる完全オリジナルストーリーで鮮烈なデビューをはたしたのだ。
『Miss ZOMBIE』、、、いったいどんなゾンビが登場する物語なのか。
今回は、”SABU”監督と、主演をつとめた”小松彩夏(こまつ あやか)”さんに、映画『Miss ZOMBIE』を中心に、ゾンビについて、いろいろとお話をうかがってみた。
─今回、ゾンビ映画を撮ろうとおもったキッカケを教えてください。
SABU監督(以下、監督):ゾンビの知名度は全世界共通のもの。
ゾンビというだけで理解される、
そんな勝手なおもい込みもあって、
それをいかに切りくずせるかというところがおもしろいかなと。
しかも、笑えるモノではなく、シリアス。
さらに、女性、しかもちょっとキレイなゾンビというものまたおもしろいんじゃないかなと。
それがキッカケですね。
─ゾンビ映画というと、、、
だいたいスプラッター系なイメージをどうしても想像してしまうのですが、
なるほど、まったくちがいましたね。
どちらかというとヒューマンドラマに近い感じでした。
監督:そうですね。
基本的には、いわゆるゾンビ映画ではないです。
ちょっと微妙に社会派というか、そういう面も持ちつつオシャレに。。。
小松彩夏(以下、小松):“オシャレ”というのが、監督のなかで流行っているんですか(笑)?
監督:いや、PRの方にオシャレなWEBマガジンだって聞いたので(笑)。
─えっ!ウチですか!?
そんなことないです(笑)!!
監督:語尾に全部オシャレをつけようかと(笑)。
─いやいや(笑)。
ちなみに、今回、小松さんを主演にされた理由を教えてください。
監督:まあ、オシャレだったんですよ、小松さんが(笑)。
一同:ははは(笑)
─オシャレだったんですね(笑)。
小松さんは、監督からオファーが来たときに、、、
ちなみに本(脚本)はその時点でできていたんですか?
監督:もちろん。
─ということは、本を見てOKされたんですね?
小松:はい。
─OKされた理由は?
小松:やっぱり、、、オシャレだなーとおもって(笑)。
一同:わははは(笑)
─オシャレなゾンビ映画ってコトですね(笑)。
小松:はい(笑)。
タイトルからコメディ寄りの作品なのかなとおもったのですが、ぜんぜんそうではなく、
普通のゾンビ映画ではない、人間のキタナい部分だったり、コワい部分が、
描かれている作品だと感じました。
また、私の演じる”沙羅(さら)”がセリフの無い役だったので、それもまた衝撃的でした。
はじめて主演をやらせていただいた作品なのですが、おどろきの連続でしたね。
─普通のゾンビ作品のゾンビとはまったくちがうモノを演じたワケですが、
演技について監督とはどのようなお話をされましたか?
また、監督はどんな指示をされたのですか?
監督:“動き”に関して、、、たとえば歩き方についてはお話しました。
小松:はい。
監督:あとはゾンビのレベルが、それほど重傷じゃないゾンビという設定だったので、
そのあたりを調整しながら、、、ですかね。
─その微妙な感覚をどのようにされたのかが気になりますね。
参考にされたものとかはあるんですか?
小松:ないんです。
監督:感覚ですかね。
小松さん、台本をしっかり読んでいただいていたので、
なんとなく雰囲気はつかんでもらっていたとはおもうんです。
まあ、動きは早くはないですよね、ゾンビなので。
そういう意味で、微妙にスローな動きをいい感じに演じてくれたとおもいます。
─ちなみに、小松さんは普段から動きがスローな感じなんですか?
小松:いやまったく。。。
─のほほんとか、ボーっとしている感じではない?
小松:面倒くさがりやなので、どちらかといえばちゃきちゃきしているかな。
そういえば、本読みのときに、いきなりリハーサルみたいな感じになりましたね。
監督:そうですね。
小松:わたしはセリフがないので、”動き”から役に入っていきました。
だから、撮影前にリハーサルでイメージがつかめたのかなとおもいます。
─全速力で走るシーンがあって、
そこから急に映画がガラっと変わったような印象があるのですが、
その部分は監督のなかでもナニかがあるのでしょうか?
監督:そこは、子どものためなんですよ。
─子どもがキッカケ?
監督:そうです。
子どもが抱きついたことで、沙羅は自分に子どもがいたことをおもい出したんです。
それからより知りたいという状態になる。
そして、別のヒトの子どもだけど、”その子を助けてあげたい”というおもい。
そういう、、、ゾンビなのに”一生懸命”なゾンビ、、そんな感じに変わるワケです。
そこはエンターテイメントとしてですけれど、
その方が切ないし、一生懸命になっている姿の方がオレとしてはたまらないので、
より感動するかなと。
─そのあたりの心情の変化とかの見せ方で苦労した点はありますか?
小松:苦労した点を、別のインタビューでも聞かれたのですが、、、それほどないんです。
─あの無表情さのなかに感情をあらわすのは、
演技的にはけっこうむずかしいとおもうんですけれど、、、ないんですね。
ちなみに何回か撮りなおしたりされたのですか?
小松:それがまったくないんです。
録りなおし、ありました?
監督:ないすね(笑)。
小松:なかったですよね(笑)。
監督:撮影が5日くらいしかなくて、テストもなかったですから。
ギュンギュン撮らないと間に合わないので、そういう余裕はなかったです(笑)。
─余裕がなかったんですね(笑)。
小松:一発勝負みたいな感じで、ずっと撮っていました。
監督:そんな勢いですね(笑)。
小松さんは、そのあたりを理解してくれていたので、撮影がすごく楽でした。
小松:いまおもうとスゴいですよね(笑)。
監督:ははは(笑)。
─まさに、『弾丸ランナー』的な撮影だったんですね(笑)。
監督:そうです(笑)。
でも、『弾丸ランナー』は1週間あったんですけれど、こっちは5日でしたから。
─モノクロで撮ろうとおもった理由はなんでしょう?
監督:とにかく、映像をキレイにしたかったんです。
モノクロがその究極だとおもうので。
あとは、光と影。
いまの時代、モノクロ映画なんてほとんどないから、ある意味あたらしいのかなと。
もうひとつは、ゾンビが人間的なものになっていくという上で、
徐々に白黒の状態から映像が変わっていくというイメージだったんです。
で、ゾンビ的にもどることで、また白黒になるというのが、
なんとなくあったので、モノクロにしました。
─”人間みたいになったゾンビ”と、”ゾンビみたいになった人間”との、
ココロの交流じゃないですけれど、
冨樫(真)さん演じるお母さんが急にゾンビみたいになってしまう、
その入れかわり感が絶妙ですよね。
監督:家庭が崩壊して、”人間らしくなるゾンビとゾンビっぽくなっていく人間”って、
台本にもそう書いてあるんです。
嫉妬とか、欲とかでそうなってしまう、切なさというか、悲しさ。
それを、、、オシャレにね(笑)。
一同:ははは(笑)。
小松:一瞬映像が変化するシーンは、オシャレですよね(笑)。
─急にアレ!?ってくらいですもんね。
監督:物語に入っている方には、ゾクっとして、あそこで泣けたりするのかなと。
だから、そう言っていただけると嬉しいですね。
─それは、監督の意図通りですか?
監督:そうですね。
─そうなると、ボクは完全にハマったヒトですよ(笑)。
監督&小松:はははは(笑)。
─小松さんの考える普通のゾンビってどんなものなのでしょう?
小松:(両手をダラッと前に出して)こういう、、、よくある。。。
─いわゆる『バイオハザード』とか、あんな感じ?
小松:はい。
でも、この作品はそれとはぜんぜんちがうので。
(後編へつづく)
2013年9月14日より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国ロードショー!
『Miss ZOMBIE』
監督・脚本・原案:SABU
出演:小松彩夏/冨樫真/大西利空/駿河太郎/芹澤興人/山内圭哉/手塚とおる
>>>レビューはコチラ
オフィシャルサイト:http://www.miss-zombie.com/
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