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Interview : September 20, 2013 @ 15:38

“SABU × 小松彩夏” インタビュー── ゾンビとオシャレと私 (後)



『弾丸ランナー』の”SABU”監督が、こんどはゾンビ映画『Miss ZOMBIE』を完成させ、現在公開中だ。


現代におけるホラー映画の定番、ゾンビ映画。


そんなゾンビモノを、”SABU”監督は、いったいどのように料理したのだろうか。


”SABU”監督と、主演をつとめた”小松彩夏(こまつ あやか)”さんに、ひきつづきいろいろとお話をうかがったインタビューの後編。






─全速力で走るシーンは、ホントに全速力だったのですか?


小松彩夏(以下、小松):はい、全速力でした。


SABU監督(以下、監督):
そうですね。


─もともと運動はされていたのですか?


小松:むかし卓球はやっていたんですけれど、それほど走るスポーツでもなかったので。。。
ただ、体力にはすごく自信があって、足も早いほうだとおもうので、走りには自信がありました。


─そうなんですね。
あのシーンは、やはり監督が大声で「走れ!走れ!!」とかゲキをトバしたりしていたんですか?


監督:いえいえ。
とにかく早かったですよ。
それに、すごくカッコよかったので、ナットクしました。


小松:わたしよりも、スタッフのみなさんの方が大変だったんじゃないかなとおもいます。
並走して撮影していましたし、その上、機材も押してましたし。


監督:そうねー。
モノクロなのでより一層黒く見えてますが、撮影場所自体がホントに真っ暗なんですよ。


小松:街灯もなかったですよね。


─アレは、富士山の麓ですか?


監督:そうです。
真っ暗だったのですが、うまく光のフラッシュみたいモノが出ているんですよね。


小松:あのシーンはカッコいいですよね。


監督:ねー。


─オシャレな部分ってことですね(笑)?





小松:オシャレです(笑)。


監督:すぐ出ちゃうんだよー、オシャレさが(笑)。


小松:でも、あのシーンはわたしも好きです。


─ゾンビの沙羅が、子どもに石を投げられたり、
若い悪いヤツに刺されたりするシーンがありますが、
そいういうシーンにちょっと社会的なモノを感じました。
いまのいじめ問題とか、たとえば「アイツ、ナニもしてこないから」って、
どんどんエスカレートしていくじゃないですけれど。。。
そういう部分は、何らかの啓示というか、意味があったりするのですか?


監督:あります。
弱い者とか、異質な者に対しての差別だったり、見下していたりという心情的なモノ。
ゾンビに刺すものが、最初はボールペンなんですけれど、それがナイフになって、
包丁になってって、エスカレートしていく。
それを沙羅も理解しはじめる、そういう風に描いています。
人種間の差別的な意味合いもありますし。。。
たぶん、海外でも公開されるとおもいますけれど、その部分は感じてもらえるかなと。


─小松さんは、子どものたちに石を投げられたりとか、ヤラレっぱなしな部分を演じてて、
気分的になにかおもったことはありますか?


小松:わたしは、、、じつはすごく楽しかったんです(笑)。


─え!そうなんですか(笑)??


小松:イジメられるほど、楽しくて。。。
たぶん、そういうつらいシーンほど、やりがいを感じたというか。
刺されたり、乱暴されたり、そういうキツいシーンほど、
終わったあとにスカッとしている自分がいて。。。


─スカッとですか(笑)!?


小松:演技に対する”やりがい”を、そこに感じているのかもしれないです。
“変”なんですね、きっとわたし(笑)。


一同:はははは(笑)。


─それほど”変”ではないとおもいますけれどね(笑)。
冨樫さんは、かなりの性格俳優の方ですが、
ああいう清楚な女性/母親から、
急に家庭崩壊してゾンビ化した人間になるという流れに関して、
監督はどういう感じでお話をされたのですか?


監督:最初の時点で、あの清楚な奥さんが狂っていくという風に、
見た方におもわせたくなかったので、
最初はあまり前に出さず、できるだけ後ろを向いて撮るとか、
完全脇役にしたかったんです。
ダンナの浮気を目撃してから、雰囲気が立ってくるようにしたかったんですよ。
ただ、「ご苦労さま!」と階段の一段上から報酬を手渡しするシーンがあるのですが、
微妙に”上から”の部分は出したかったので、そういう雰囲気を出してほしいとは話しましたね。
あとは、顔立ちも綺麗だし、モノクロだと昭和の女優さん的な美しさを持つ方なので、
それは撮るようにしていました。
途中から、奥さんは家事を放棄して、寝込んでしまうワケですけれど、
そこでダンナ役の手塚(とおる)さんが、
「何寝てんだよ、いつまでも」とむかつくというか、そんな感じの開きなおり方をする。
そういう家庭の壊れ方がおもしろいとおもったんですよね。
その後、沙羅にとうとう家にまで侵入されることで、
ブチ切れてしまうという方向にもっていきたかったんです。
まあ、、、スゴくいい本ですね(笑)。


一同:はははは(笑)。


小松:天才です(笑)。





─小松さんは、冨樫さん演じる狂気のお母さんに、包丁で手を刺されるワケですけれど、
一緒にやられてて、「このヒトはコワい!」とおもったりしなかったんですか?


小松:おもいましたね(笑)。
冨樫さん、ホントに恐かったです。
でも、普段はおだやかで優しい方なんですよ。


監督:そうですね。


小松:なので、役に入っているときの冨樫さんは、もう恐ろしかったです。
とくに、あの肉のシーン。


─アレは、ホントにコワい!


監督:あのボーッとしていて、包丁で肉をバンバン切るのは、スゴいよね(笑)。


─あのシーンは寒気がしたというか、ただただコワいなーと。


監督:台本どおりではあるんですけれど、
肉の塊を包丁でもてあそんだあと、
肉の一片を包丁でピンとはじいてボタっと落とすシーンは、
その加減も冨樫さんは上手でしたよね。


小松:スゴいです。


監督:また沙羅がね、いい感じで攻めてくるんですよ。


小松:ちょっとずつですよね。


監督:あのシーンはおもしろかったです。


─今回、撮影するにあたって、気をつけていた部分はありますか?


監督:やはり、モノクロなので”光と影”はつねに意識していましたね。
あとは、いいところで光が射したり、天候も味方についてくれました。
ラッキーがたくさんあったので、、、ねえ?


小松:めぐまれてましたね。


─撮影中、天候の悪化はなかったんですか?


監督:雪は降りましたけれど(笑)。


─ああ、たしかに劇中でも雪が降ってましたね!


監督:だから、、、すごく寒かったです。


小松:大変だったのはソコですね。


─何月だったんですか?


監督:12月です。


─それは、寒いですよね。


監督:地元の方が言ってましたけど、
撮影していた時期がいちばん寒かったらしいです。
その前まではマシだったんですけれど。
いちばん寒いときでマイナス6度でしたから。


─え!マイナス6度で、あの薄着で撮っていたワケですか?


小松:はい。
床をたわしで磨いたり、水をまいたり。
水をまいたところが徐々に凍っていくくらい寒かったです。





─小松さんは、ココは気をつけようみたいな部分はありました?


小松:今回は、すべて監督に託していたので、そこに私は乗っかるだけでした。
なので、”監督まかせ”でスミマセンって感じです。


監督:いえいえ。


─まあ、そのタメの監督ですからね(笑)。


監督:たしかに(笑)。


一同:
はははは(笑)。


小松:でも、集中できた5日間だったので、短期で撮っていただいて助かりました。
別のことに気をとられることもなく、スゴく気持ちよくやらせていただきましたね。


─次の展望はありますか?


監督:その前から書いていた小説があって、それを映画にしようかなとおもってます。


小松:オシャレな感じですか(笑)?


監督:まーね(笑)。


一同:はは(笑)


─小松さんは?


小松:今回は、あたらしい自分を発見できたので、またそんな作品に巡り会いたいですね。
ほとんどメイクもしていなく、特殊メイクだけという撮影もはじめてでしたし。
今後もそういうような役をやってみたいとおもいます。


─そうですか。
今日は、おふたりともありがとうございました。


監督:ありがとうございました!


小松:ありがとうございましたー!



(おわり)







2013年9月14日より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国ロードショー!

『Miss ZOMBIE』






監督・脚本・原案:SABU

出演:小松彩夏/冨樫真/大西利空/駿河太郎/芹澤興人/山内圭哉/手塚とおる


>>>レビューはコチラ


オフィシャルサイト:http://www.miss-zombie.com/


>>>“SABU × 小松彩夏”インタビュー前編はコチラ


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