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Tokyo News : May 15, 2010 @ 04:24

わたしたち、結婚します!──中村勘三郎 × 野田秀樹 記者会見(質疑応答篇)

中村勘三郎 × 野田秀樹 記者会見(質疑応答篇)


ひきつづき「中村勘三郎 × 野田秀樹 記者会見」。

おふたりからは、NODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』が公演決定、娘役オーディション開催決定、そして高校生割引開催の3つの”タクラミ”が発表された今回の記者会見。

そしておおづめ、記者による質疑応答へ──



質問者「今回の『高校生割引』に関して、おふたりが高校生のときに大きな文化的な刺激をウケてのいまにつながっているからこその試みだと思う。高校時代にいまの自分につながったというような刺激をウケたことがあれば教えてください。」



勘三郎「唐(十郎)さんの歌舞伎を観たのが高校のときですかね、それがつながって中村座なんてやっているんですけれど、やっぱりああいうスゴいインパクトのあるモノを観て、、、それからもちろん遊眠社も観ましたしね。」

野田「そこは言わなくていいんじゃないのw?」

勘三郎「なので、唐さんの歌舞伎を観たというのが刺激になっていますね。」

野田「ボクは、ピーター・ブルックというイギリスの演出家の『真夏の夜の夢』を観たのが、大変刺激になりましたし、同時におなじ時期に蜷川幸雄さんの演出 で、清水邦夫さんの『ぼくらが非情の大河をくだる時』を観ましたね。でも、その頃は生意気だったから、こんなものはいまでなくなくても、いくらでも観られ るんだと思っていたんですけれど、そうではなかった。」


質問者「一日だけおふたりが入れ替わる機会があれば、どうしたいですか?」

勘三郎「演出をめちゃくちゃにして帰りたいねw。これじゃないよ!とか言って。でもね、彼の演出はスゴいですからね、それは才能ですよね。あと片方が見えないで演出しているのはスゴいですよ。だからね、上手で遊んでいると騙せるw。」

野田「アナタは、よく上手で。。。」

勘三郎「休んでいるw?」

野田「うんw。歌舞伎座だと遠いから上手が見えないからね、気づくと何やっているんだ?ってw。稽古場だと近いから休んでいるのがみえるんだけれど。。。
ボクは、芝居をやっているときの彼に変わりたいですね、ゴルフじゃなくてw。彼の場合は子供のころから染み付いている仕草があるじゃないですか? 例えば、 去年の『桜姫』で現代版と歌舞伎版をやったけれど、現代版の方で、どんなに”ハンカチ”を使っていても、コッチには”手ぬぐい”にしか見えないんだよねw。あの染み付き方はなんなんだろう? そういうモノを体験してみたいですね。普通に話していても、リズムの仕草もやっぱり他人にはマネできないものがありますね。」

勘三郎「だからね、今度の『表に出ろいっ!』もサラリーマンとかじゃないんですよ。こんなサラリーマンいませんからねw。設定を”お能”の先生としてくれたので、すこしホッとしています。」

中井「歌舞伎役者になりたい野田さんは、何かこのときの演目とか、このふん装をやりたいとかはありますか?」

野田「特にはないですけれど、飛び出しとかはやりたくないですね、、、ぶつかりそうだからw。」


質問者「お互いの役者と演出についてお伺いしたいのですが。」

勘三郎
「ボクは、NODA・MAP自体が初めてなんですけれど、彼には歌舞伎を三つ演出してくれて、再演をふくめるともっとですけれど。目線の高さを一緒に、主役からちょっとしか出 ないヒト──歌舞伎で”三階さん”というんですけれど──毎日のように現場に足を運んで、その役者さんにダメを出しにいく姿は、役者みんなの目がね、キラ キラかがやくんです。
こんなに毎日来る演出家はボクはあまり知らないですね。NODA・MAPのときは彼も役者もやっていますから、毎日来ないといけないんですけれど。
そのときは楽屋もなかったんですよ。しかたがないので、囲いをつくって、そこに野田秀樹って名前を入れていたんだけれど、本当に毎日来てくれましたね。だから、芝居を本当に愛しているんだなと。
役者として観ても、このヒトの身体能力はすごいなと。それになんであんな声が出るんだろうね。変な声を出すでしょw?
あと、同い年で敬服するのは、こないだ番台にのぼるときに「よっこらしょ!」って言っていて大笑いして、もうそろそろガタがきていますえけれどね、それでも普通の55歳よりはキレますからね、そういう印象です。」

野田「ボクは20代のときに、花道で彼の足の親指がそっくり返ったのを見たコトをすごく覚えていますね。スゴい役者だなと思いましたし、カラダがすごいなと思いました。
それに、一緒に仕事をするようになって、体力があるなって。ボクもよく動きますけれど、そのスゴさというのが、朝から晩まで動いていますからね。ゴルフには行くは、呑むは、でも舞台ではキッチリやれている。
役者の体力って、肝臓のチカラというかw。
鍛錬というか、そこがないとダメなんですよね。それがやっぱりキッチリやるというのは、また伝統の話しになってしまうけれど、なんか蓄えられているんです よ。ボクが思っているよりも、チカラを使っていなかったりするんだけれど、それでも簡単にやっているのがすごい。コッチはちょっとしたチカラを入れるとヘ トヘトになってしまいますから。」




質問者「勘三郎さんは、これまでにNODA MAPを観て、いちばん印象に残っているものはなんですか?」

勘三郎
「いちばんはないですけれど、ほとんど観ていますよ。面白いですよね。じゃなかったら出ませんからね。そういえば、むかし、それこそ”夢の遊眠社”のころに出ようか?って言ったら、早くしないと永眠者になるから、早くしろ!ってw。もうあんなに走りまわれないもんね。」


質問者「『ザ・キャラクター』と『表に出ろいっ!』は関連性はあるのでしょうか?」

野田「モチーフとしては、ヒトが信じているものということで、関連性があるのと同時に、じつは仕掛けとして、外伝までにはならないですけれど、『ザ・キャラクター』のある部分の話が『表に出ろいっ!』の話しの中に出てきます。
『ザ・キャラクター』を観なくても、いちおう理解できるようには書いていますけれど、いちおう観ておくと、そこで、膨らむ瞬間があるとは思いますね。
だから、両方観ろ!っていうあこぎな商売ですよw。」

勘三郎「おもしろいよね。そういうのあんまりない!」




質問者「夫婦役ということで、どういう経緯で野田さんが奥さんをやることになったのでしょうか?」

野田「それは作家が書いちゃったからなw。まあ、普段でもボクの方が面倒を見ているよね?」

勘三郎「そうだね。」

野田「先に酔っぱらっちゃいますからね。どちらかというとワタシがいつも面倒を見ているので。。。その新橋のときも「まあまあ」と言ったのはボクだし。そういう流れでしょ。」

勘三郎「そうね、止めたことないよね。」

野田「オレ、そういうことしないもんw。」

勘三郎「って、ことはボクの方が先に死ぬってことだねw。
いやいや、あのね、ふたりで言っているんですよ、どっちか先に死んだら、葬儀委員長をやろうって。 だから、ボクが先に死んだら野田秀樹が葬儀員長をやってくれるし、彼が先に死んだらボクが葬儀員長をするんですけれど、、、ボクが先に死んだら、アナタに何もし てやれないってことだよねw。」

野田「ボクが先に死ぬと、後をおって早く死んじゃうんじゃないw。アナタが先に死ぬと、コッチはけっこう長生きしちゃうんだよw。」

勘三郎「いやだねw!」


質問者「おふたりが交際にいたるキッカケというのは?」

勘三郎「コレがね!不思議なんですよー。」

野田「不思議だよね。」

勘三郎「20代のころ。」

野田「渋谷の道路。」

勘三郎「渋谷の道路で、すれ違った。」

野田「ヤクザみたいにね。ちょうどそっちも3人くらい?」

勘三郎「いや、5〜6人いて。」

野田
「こっちも3〜4人くらいいて。」

勘三郎「あ!野田秀樹だってw」

野田「同い年だっていうのは知っていたので。。。」

勘三郎「もちろん芝居はみていましたよ。彼も見てくれていましたけれど。初めて呑んだのは、路上でひっかけてです。意気投合して、そのまま知り合いの家に行ったんだよね。」

野田「そうそう!」

勘三郎「それで朝まで呑んで、帰って。。。」

野田「そう!帰ったんだけれど、その時は気がつかなかったんだけれど。。。」

勘三郎「靴が。。。」

野田「靴をね、間違えてw。ふたりとも同じような靴を履いていて、、、朝起きて、履いたら、なんか安っぽいなーってw。」

勘三郎:はははw

野田「オレの靴の方が高かったからw」

勘三郎「それから飲みはじめたんだよな。同じ寸法なんですよ、背も同じくらいだしね。」

質問者「会ったその日に飲みにいかれたのですか?」

野田「そのときに共通の知り合いがいたんですよ。」

中井「なれそめはそんな感じなんですか?」

勘三郎「30年くらい前ですかね。」

野田「そんな経ってないでしょ?25年くらいじゃない?20の後半だったから。」

勘三郎「そうか。でも、25年も経つんだ。4半世紀くらいw。」


質問者「オーディションする娘の役柄を詳しく教えてくだいさい。また勘三郎さんはどういうタイプの女優さんを希望しているのでしょうか?」

野田「役柄は、家族3人とも非常にハマっているものがありまして、、、夫はアミューズメントパークといいますか、それが大好きな能の家元で、ワタシはアイド ル系にハマっている妻。娘はファーストフードですかね。ロンドン帰りの留学生、というか中途半端に留学して帰ってきた娘です。そういう感じですかね。それ でオーディションの参考になるでしょうかw?」

質問者「とくに容姿とかは、どんな感じがいいんですか?」

野田「容姿は、ふたりの娘ですからねw、良くていいよね?」

勘三郎「うん!よくていいよw。」

野田「現場がまた楽しくなりますからw。」

質問者「男性はダメなんですか?」

野田「どうです?」

勘三郎「お断りしますw。」

野田「まわりが全部男の世界の歌舞伎から、せっかく出たのにw。」

勘三郎「そうそう!生きのいい、かわいらしいヒトがいいですね。おなじ稽古場がたのしくなりますから。」

野田「じっさいは台詞の量もけっこうあるんですよ。最初は、二人芝居を考えていたんですけれど、やっぱり三つ巴になった方が、物語が面白くなるということ で、変わっていったんですね。それで、かなり達者じゃないと、、、あ!いや、あまりプレッシャーも掛けるとアレなんで、大丈夫ですw!」

中井「かなりザックリですね。ちなみにもう本は出来ているんですか?」

野田「えー、、、95%くらいは出来ています!」

中井「微妙ですねw。」

野田「本当にこれは出来ています!もう最後のところだけ。だいたい作家が95%と言ったら半分くらいなんですけれど、こんどは本当にできていますから、ホントに!信じてくださいw。」

中井「勘三郎さんは見られたんですか?」

勘三郎「ボクもね、途中で見せようか?って言われるんですけれどね。。。」

野田「(紙を早めにパラパラめくって)こうやっては見せていますw。」

勘三郎「いつも出来上がったものを見て、面白いなと思っているので、縁起をかついでそれは待っています。」




質問者
「若い人へ向けてのメッセージをお願いします。」

勘三郎「まず見てくれるということですかね。あとは劇場に足を運んでほしいというか、、、ボクはパソコンとかできないんですが、いまパソコンでなんでも見れ ちゃうじゃないですか? 情報は全部入るけれど、でも劇場というのはやっぱりわざわざ行くものということを若い人に知ってもらいたいです。(現場の)”熱 “もあるしね。
歌舞伎も、『高校生のための歌舞伎教室』というのもあるんですけれど、ボクはもっと前の『幼稚園のタメの歌舞伎教室』の方が、良いような気もするんですよ。」

質問者「今回の公演に関してはどうですか?」

勘三郎「感情じゃなかなか出来ないことなのでね。そういう部分をもってくるところは、やはり芝居を愛しているということなので、大賛成です。」

質問者「内容に関してはいかがですか?」

野田「内容に関しては、高校生だからとか、そういうことではないです。でも、高校生とかそのくらいの年代はもっと背伸びをするべきかなって、思っているんで す。だから、分からなくても背伸びをして見て欲しいですね。この『表にでろいっ!』に関しては背伸びをしなくても見れるものですが、『ザ・キャラクター』 は、背伸びをしてでも観に来て欲しい。内容的にはそんなところです。
あとは若い人はコンサートとかは行っているとは思うんですけれど、おそらく外 出したときに劇場に足を運ぶことがほとんどないんじゃないかな。その癖というか、それをつけさせなかったのは、恐らくワレワレくらいの年代が悪いかもしれ ない。でも、一回面白いものを観てみれば、もうひとつ見てみようという気持ちになるのかな。とにかく最初の第一歩をどういう風に出してくれるかなと思って います。結局は見るしかないんですけれど、面白いと感じてくれるかどうか、そこが大きいですかね。」

質問者「”ヒトが信じるもの”は、具体的にはどういうものなのですか?」

野田「ヒトがハマっているものというのは、一回信じてしまったものの呪縛からなかなか離れられないんです。じつはちょっと向きを変えれば、その信じているも のから、、、その信じている者がいいか悪いかにもよるんですけれど、逃げられるのにというような話しなんですけれどね。
あまり具体的に言ってしまうと、とくに『表に出ろいっ!』に関しては単純な話なので、あまり言ってしまうと、じゃあ見なくてもいいか!ってなってしまうのも困るのでw。」




──以上で質疑応答が終了し、おふたりの撮影へ。
準備のため、上手に戻ったおふたり。

いったいなんの準備なのか?
と、そこへ見たことあるような黒子の姿の人たちが、なにやら大きな板を運びはじめている。

それをステージの上にのせた瞬間、会場からは驚きの声が。。。
それがコチラ。



いわゆる、ご当地的な記念撮影のアレですね。

そして撮影へ。
ふたつの穴からなんのためらいもなく顔を出す、演劇界の寵児と、大物歌舞伎役者のおふたり。



そういえば、先日、某携帯電話のCMの会見で、俳優の渡辺 謙さんが「携帯電話の役をやってくれと言われたときに、コノ歳でかぶりモノは嫌だなと思いましたね。」と、そんなコトを言っていたことを思い出し「いや、 世界の渡辺 謙なんて比じゃないね、このおふたりにくらべたら」と思ってしまいましたw。


コチラが勘三郎氏


コチラが野田秀樹氏

ということで、異例の2回に長々とお送りしてきたトーキョー・ニュース。
他媒体さんでは、記者会見の模様をココまで詳細にはやっていないのでは?と、思わず優越感にひたってしまいました。


今回の記者会見をまとめると。。。


NODA・MAP番外公演
『表に出ろいっ!』


出演:
中村勘三郎
野田秀樹
オーディション合格者1名


作・演出:野田秀樹

公演日程:2010年9月5日-2010年9月28日
会場:東京芸術劇場(小ホール)
企画・制作:NODA・MAP
お問い合わせ:NODA・MAP 03-6802-6681


今度は歌舞伎じゃない!
中村勘三郎 × 野田秀樹
同じ板にのる!(しかも夫婦役・・・)

□イントロダクション

信じるとは何なのか?これは一夜にして崩壊する家族の物語。

人間のレゾンデートル(=存在理由)を思索する哲学という学問が廃れてしまった。
けれども、人間は何かしら生きる意味を見出さないと、生き難い。
その空白を埋めるために、自らの趣味嗜好に過剰な価値を置く。
「はまる」をいう現象。何かにはまってないと生きている気がしない。

換言すれば、偏愛。しかも、その歪みにも気付かない。疑うことすらない。
これはすでに信仰に近い、ただの趣味嗜好なのに。
アミューズメントパークを偏愛する父、アイドル系を偏愛する母、ファーストフードを偏愛する娘。
そんな3つの偏愛が混在する、鎖でつなぎ合わないと成立しないほど、バラバラな家庭の物語である。



そして

NODA・MAP番外公演
『表に出ろいっ!』
ヒロインオーディション開催!


娘役をオーディション!
三人家族の物語。父は中村勘三郎。母は野田秀樹。
そしてその娘を演じる女優をオーディションで選びたい。
無名な役者にもチャンスを。若い人にチャンスのない世界に、未来はない。
その思い?願い?祈り?にも近い気持ちで、有名無名、経験、事務所の大小、すべてを問わず、求めるはただ、芝居を愛する汚れなき魂。
今、あえて、演劇界に一石を投じるべく、ヒロインオーディションを行います。

□オーディション日程
2010年7月12日(月)午後予定
(書類選考後、集合場所およびオーディションにかかる時間など詳細をお知らせいたします。)

応募締め切りは、2010年6月25日(金)必着です。

プロフィールは専用の応募用紙をお使いください。
(応募用紙は、NODA・MAPホームページにてダウンロードできます)
>>>ダウンロードはコチラ

・送り先
〒171-0021
東京都豊島区西池袋1-8-1
東京芸術劇場 気付
NODA・MAP「表に出ろいっ!」ヒロインオーディション受付 係

書類選考後、その結果を2010年7月5日(月)、文書にて発送いたします。

・募集条件などの詳細、お問い合わせ 
NODA・MAP「表に出ろいっ!」ヒロイン オーディション受付係
TEL:03-6802-6681(平日11:00-19:00)
http://www.nodamap.com/


さらに

高校生割引!
夏休みに東京芸術劇場で、NODA・MAPをみよう!

第一弾は、NODA・MAP『ザ・キャラクター』を1000円で!

高校生割引価格:¥1,000/1枚(S席販売価格¥9,500)
対象者:2名以上でお申込み可能な高校生

申込期間:5月15日(土) 11:00〜受付開始(※先着受付の為、予定枚数が終了次第、締め切りとなります。)

※高校生2名以上からお申込みいただくことが出来ます。
※「高校生割引」の対象は高校生のみとなります。保護者等の引率者がいらっしゃる場合は、その旨明記ください。正規金額にてご観劇いただけます。(引率者は2名まで)

□対象公演などの詳細、お問合せ
高校生割引について:東京芸術劇場 事業係 TEL.03-5391-2111(9:00-17:00)
公演について:NODA・MAP TEL.03-6802-6681(平日11:00-19:00)
http://www.geigeki.jp/U18/

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