Interview : May 18, 2010 @ 01:42
西原健一郎、PISMOと語る__その1
“Burnt Butch”のメンバーであり、”Shing02″との交流もあるトラックメイカー/ラッパーの”PISMO”。そして、先日リリースしたアルバム『LIFE』も好調の音楽家 “西原健一郎”。
“PISMO”とは、08年にリリースされたファーストアルバム『Humming Jazz』の「Consider My Love」でフィーチャーリング。さらに今作『LIFE』でも「Now I Know」で、西原の奏でるピアノサウンドにPISMOの甘い歌声がのる、極上のアーバンサウンドを披露している。
そういった流れもあったので旧知の仲なのかとおもいきや、じつはこのふたり、今回が初の対面であった。
いまや音楽に限らず、コラボレーションはインターネットのお陰で、会わずして世界中のアーティストとコラボレーションができてしまうという世の中なのだ。
世界が注目するトラックメイカーのふたり。
お互い自身のアルバムをつくるほかに、CMなどの音楽もつくっているというプロのミュージシャンという共通点もあり、今回の対談は、音楽とビジネス、やりたい音楽とビジネスとしての音楽などいろいろな意見を交換した、まさにプロの音楽家とプロの音楽家とがお互いの音楽観を熱く語ることとなった。
音楽とビジネスとアート
西原:ずっとメールのやり取 りだけで、今日初めて会って、、、とにかくお会いできてよかったです。でも、音楽のこういう作り方(メールでのやり取りでの制作)って、いまだからできる方法ですよね。
PISMO:そうだね。最初に健一郎は、マイスペースに連絡くれたんだよね。そのあと、お互いの曲を聴いて好きになって、それで自分のマネージャーのYazが色々とセットアップしてくれて、一緒にできることになったんだ。
健一郎との最初の曲「Consider My Love」はスゴくよくて、今もみんなが”YOU TUBE”とかでよく聴いてくれているよ。まわりからの評判もいいし、、、とてもいいコラボレーションだったよ。
西原:ホントにそう思います!
──西原さんは、どのようにしてPISMOの存在を知ったんですか?
西原:最初は、ラッパーとして意識していたんですけれど、「Consider My Love」を一緒につくったときに、歌ってもらっ たことが印象に残っています。
あなたがラップではなく、歌のデモを送ってきたんですよね?
PISMO:そう!だけど、それまではラップをメインでしかやったことがなかったし、コーラスでは歌も歌っていたけれど、1曲通して歌う機会がなくてね。。。でも、健一郎とやったことで、今は歌って欲しいという要望も多いんだ。それはとてもスゴ いことだよ!
それで、はじめて1曲通して歌ったのが、前回の健一郎のアルバム『Life』の「Now I Know」だったんだ。
西原:そうだったんですね。
ボクはてっきり、もともと歌もやるヒトなんだと思っていました。あまりにも歌がウマいから。それはこっちにも驚きですよ。
PISMO:まわりのヒトも、自分のコトを”ラッパー”として知っているからね。1曲通して歌ってくれって言ったのは、健 一郎が初めてだよ。でも、そのお陰で、いまはみんながボクの歌を「もっと聴きたい!」って言ってくれるようになったから嬉しいね。
西原:「Consider My Love」 を聴いて、イメージが変わったんでしょうね。
“ラッパー”というと、どうしても ヒップホップのイメージが強いけれど、PISMOは他のラッパーと違って本格的に歌えるから、いろいろな音楽のバックグランドがあるのかなと思うんだけれど。その辺りを 教えてもらえますか?
PISMO:高校のときはコーラスをやっていたり、教会でゴスペルを歌ったりしていたんだ。もちろんラップもやっていたけれどね。
(ゴスペルを少し歌う)
西原:美しい声だなー。音楽でいうと、やはりソウルとかのブラック ミュージックが好きだったの?
PISMO: もちろん!それにジャズとかヒップホップ。自分の人生自体がファンクなんだよね。マーヴィン・ゲイとかデバージとか、、、特にデバージは好き。メローでハイトーンの歌、そんな音楽が自分にはとても合うと思っていて。。。もちろん、もっと声太の歌で歌ってみたい気持ちもあるけれど、どちらかというとメローでハイトーンなボーカルの感じが自分には合うんだよ。
西原:なるほどね。
ボクはアルバムの制作のほかに、コマーシャル(CM) ミュー ジックもつくったりしているんです。アナタもCMの音楽をつくっていますよね。例えば、自分のアルバムの曲とCMの音楽を同時につくるときに、どうやって違うことを同時にやっているというか、気持ちの切り替えをしているの?
PISMO:うー ん、、、それを理解するには長年かかったよ。
健一郎の言うことは分かる。まったく違う気持ちでやるものだからね。
日本のCMで、どんな モノが流れているかは分からないけれど、アメリカのCMはアートなんだけどもっと「仕事」って感じだね。
だけど、それほどココロを込 めてつくるのは難しいと思っているよ。なぜなら、コマーシャルは3ヶ月とか4ヶ月で無くなってしまうものだから。純粋にアートをやるというよりも、もっと仕事として考えてやっているよ。逆に自分の作品は、その分よりアートに近いものをつくろうとチカラを向けられているからね。
西原:なるほど。
PISMO:でも、ヒップホップ以外のまったく違うジャンルの音楽──カントリーとか、ロック、ポップ、、、そういう違うジャンルを経験できるから、自分の知識も広がるし、自分の中のアート的な部分もさら向上するよね。だから、CMの音楽をやることもすごく好きだよ。
西原:ボクは中学時代に音楽を始め て、最初からプロの音楽家になりたかったんです。プロになるのに方法は選ばないと思っていて、だからCMの仕事もやっているんだけれど、やはりPISMOも同じような感覚で音楽プロデュースをやっているの?
PISMO:もちろんそういう気持ちでやっているよ。
CMに 関しては、そのCMからボクのコトを知ってくれるヒトもいるからね。
ボクがプロデューサーをやり始めたのは、地元のプロデューサーの人達に自分の追求する音楽スタイルをディレクトしていたんだけど、自分の求める音楽が出来てなくて、だったら自分でスタジオ代を払って、自分でいい音楽をつくった方がいいと思ったんだ。それでプロデュースを始めたのさ。
だから、プロデューサーになったのはホントにアクシデントだったんだよ。でも、 意外と自分に向いていたね(笑)。
(その2へつづく)
PISMO(ピズモ)
http://www.myspace.com/pismo
http://www.shourecords.com/
ちなみに、今回PISMOが着ているTシャツは、Camilla d’Erricoという女性アーティストのもの。今後、彼女とPISMOでコラボレーションモデルもつくられる予定だそうだ。
Camilla d’Errico
http://www.camilladerrico.com
□ 西原健一郎 × 有働幸司(FACTOTUM) 対談
(前編)http://tyo-m.jp/archives/372
(後編)http://tyo-m.jp/archives/576
This entry was posted on Tuesday, May 18th, 2010 at 01:42 and is filed under Interview. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. Responses are currently closed, but you can trackback from your own site.