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Movie Life : May 9, 2021 @ 22:15

MOVIE LIFE 164『カリプソ・ローズ』


ダレかが言った、『いや~、映画ってホントいいものですね!』と──。

いまも世界中のヒトたちを魅了しつづけ、そして夢の世界へと誘う”銀幕の世界”。 この”MOVIE LIFE”では、無駄に映画好きであるワタクシが、コレから公開予定の映画を中心に、コメントと評価を交えながらご紹介していきます。

(評価は5段階、☆の数で示されます)




MOVIE LIFE 164『カリプソ・ローズ(原題:LIONESS OF THE JUNGLE)』



カリプソ・クイーンの揺るぎないメッセージ



□ストーリー


“カリブ海 花は強く咲く”

現在も世界を飛び回り活躍する80歳のカリプソ歌手”カリプソ・ローズ”。

彼女の70歳を記念して制作されたドキュメンタリー。

カリプソの女王が歌う苦難と栄光の人生ストーリー、それはアフロカリビアンの魂の旅でもある。

どんな時代にあっても、人間の可能性、生きる強さを伝えてくれる、彼女の人生の軌跡がいまココに!







□オレ意見
評価:☆(満点は5個)


2021年4月27日で81歳をむかえた、”カリプソ・ローズ”。

本作では、15才から歌手をはじめ、
そこからの半世紀以上にもおよぶ音楽活動、
そして、人生、さらに自身のルーツをふりかえったドキュメンタリーだ。


しかし、陽気でトコナツ感あふれる、
軽〜いノリのサウンドであるカリプソという音楽だけに、
なんとなーく、”ヴィム・ヴェンダース”監督の映画
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』的な、
音楽の話が中心のドキュメンタリーかとおもいきや、
そうは問屋がおろさない、、、
いや!ローズが許さない。

そもそもカリプソという音楽カルチャーが、
男性中心の世界で女性蔑視的なカルチャーがはびこっていたという、
いま世界中で再確認されはじめている
ジェンダーにおける人権問題そのものに触れているのだ。

そこからさらに彼女のルーツを掘り下げていくうちに、
アフリカの奴隷問題へとつながっていく。


劇中で、彼女がカリプソについて「カリプソを歌うわたしたちは新聞記者だ」と
語っているシーンがある。

歌詞は自身が実際に体験したさまざまな出来事、
日常から政治までを歌にして伝えているという彼女。

そもそも音楽というモノ自体、
そういう出来事や思いなどを歌にして伝えていくためのツールだった。

コレゾまさに”伝聞”というコトで、
歌としてはしごく普通なコトなのだが、
残念ながら、その部分が失われつつある現代社会。

インターネットのない時代から、
歌うコトで、そういうカルチャーを拡散、シェアしつづけてきた彼女の人生。

内容の中心はたしかにカリプソという音楽ではあるのだが、
むしろ「ヒトとしての権利とはナンたるか?」を、
あらためて考えさせてくれた。


約10年前の作品ではあるが、
ローズとほぼ同い年のボケボケのオジイちゃん政治家たちのために、
いろいろな大事なモノゴトが遅れに遅れている我が島国ニッポン。

いまだからこそ、
さまざまな世代、
いろいろなジェンダー、
老若男女、
地球で生きているすべてのヒトに観てほしい作品である。









2021年4月23日よりユーロスペースほか順次ロードショー中!

『カリプソ・ローズ』





監督/脚本:パスカル・オボロ

出演:カリプソ・ローズ/マイティ・スパロウ/キム・ジョンソン/デストラ・ガルシア/オルケストル・ポリ=リトゥモ・ド・コトヌー/ウィンストン・“ジプシー”・ピーターズ/ほか


オフィシャルサイト:https://calypsorose.jp
オフィシャルinstagram:https://www.instagram.com/calypsorose.jp




© Maturity Music / Dynamo Productions / TTFC


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