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ブラインドからのぞき見た世の中 : March 23, 2011 @ 23:58

ブラインドからのぞき見た世の中 VOL.37『「放射能が来る!」って真実か、否か』



「放射能が来る!」とは、朝日新聞出版が発行する週間誌『AERA』の最新号(2011年3月28日号)の見出しです。


コレ、世のみなさんで、「不安を煽る」とか「福島の風評被害が広がる」とか、
いろいろと批判されていたようですが、何が間違いだったのかお聞きしたいですね。


だって、実際にトーキョーまで来ているじゃないですか?
放射能。
まだ微量ではありますけれど(政府の公式な発表から)。


しかも、福島をはじめとした近隣の何県かは出荷停止の野菜や原乳まで出はじめているし、
ここトーキョーでも水道水から210ベクレルの放射性化学物質(ヨウ素)が検出。
乳児には飲ませないよう呼びかけているとのこと。


って、「やっぱり来てんじゃん!」というのが率直な感想です。
分かってはいましたけれどね。

ただ、政府や行政、東電、その他もろもろの関係機関の対応があまりにもお粗末すぎる!

なぜ来ることを想定して動いていないんでしょうか?
微量とはいえ、届いたことには間違いないワケですから。

しかも、「乳児には控えてくれ!」っていきなり言われたって、お母さんたち大変ですよ。

だから、混乱が起こるし、関係のないヒトたちの買いだめが始まるワケです。


まずは放射性物質が来ることを想定して、
「これくらいの量が出るかもしれないから、出たときにはこういった対応を!」
というのが、事故後すぐに発表するのが筋じゃないですかね。
来ないことを想定して、発表するから、こんなことになるんです。


放射性物質は、花粉と一緒で風向きと風の強さで届く距離や場所が変化します。
だから、とにかく重要なのが、天気予報。

おかしいのは、福島原発周辺の天気と気温はやるのに、風向きや風の強さの予報をやらない天気予報です。
これだけ、テレビに出ている御用学者のみなさんですら、風向きと風の強さの話しをしているのに、なんで!?って感じですよ。


フランスやドイツの研究機関では、すでに福島原発からの放射能の大気中拡散シミュレーション結果などを発表しています。

コチラはフランスのIRSNの予測
http://www.irsn.fr/FR/popup/Pages/animation_dispersion_rejets_17mars.aspx

こちらはドイツ気象庁の予測
http://www.dwd.de/


なんで日本は正式な官邸や東電、原子力安全・保安院の会見で、コレが発表できないんですかね。
気象庁と組んでやれば、ものの30分で出ると思うんですけれど。。。

日本のメディアもメディアで、分からない部分が多過ぎるから、突っ込めないというのが現状なんでしょうね。
もしくは、クライアントさまだから、これ以上は突っ込めない、発表できないとかがあるのでしょうか。


海水の放射能汚染の例もそうです。
たしかに放射性物質には半減期というのがあって、それぞれ物質によって違うというのは分かりました。
しかし、一番短い半減期を持つ放射性ヨウ素ですら約1週間なのですが、
なんのデータもなしに「これ大丈夫ですよ!」と言っている学者の気が知れません。

福島の近海は親潮が流れているので、すごいスピードで千葉県近海まで流されるハズです。
もちろんその間に拡散されますから、濃度は薄くなりますけれどね。

原発近郊の漁師の方だったり、国民は汚染の危険性をいちばん気にしているのに、
東電の記者会見では数値だけの発表、官邸の発表もなんだかよくわからないけど人体には大丈夫をくり返す始末。


発表する数値の件もそう。
「ただちに」とか「冷静に対応を」とか、連発されたところで、
根拠もないし、すでに”コトバのあや”的な逃げ道にしか聞こえてこないです。

これでは不安を煽るばかり。
逆に風評を広めているのは、そういった中途半端な発表だと思いますよ。

政府や東電がどう考えているかは現状分かりかねますが、
世界からみるとかなり赤信号的な状況だと思います。
被害を受けるのは、日本だけではないですからね。
どこの国も被害は受けなくないでしょう。


とにかく、原発に関しては由々しき事態であることを、まずキチンと発表スべきです。
その上で、「こういうことが起こりうるかもしれない、だけどこれはこうで大丈夫です」とか、
「今後の予測としてこうなるかもしれないから、政府としてはこうします」とか。
そういう感じにしてくれませんかね。

あと、東電と原子力安全院、官邸とバラバラに同じ内容を同じ時刻に発表するのもやめていただきたい。
それも風評被害を大きくしている原因のひとつです。
日本の悪い意味での縦割り社会が出てしまっていますよ。
何のために統合対策本部をつくられたのか。。。まったく意味をなしていないです。


とにかく、被災地への対策はもちろんのこと、原発の対策もしっかりしてもらわないと、
さらなる被害、とくに放射能の被害が増えることが目に見えてなりません。


ここはひとつ、土俵際ではありますが、
なんとか頑張っていただきたいものです。



山下達郎「いつか晴れた日に」




旅路 良


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