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Interview : June 1, 2010 @ 01:25

西原健一郎、PISMOと語る__その3(最終回)


音楽家”西原健一郎”とトラックメイカー/ラッパーの”PISMO”。


何度か共演したにもかかわらず、今回が初の対面となった今回の対談。

自身のアルバムをつくるほかに、CM音楽などもつくる共通点をもつふたりが、今後の音楽シーンについて語った最終回。



写真=西原和恵
構成・文=カネコヒデシ





西原:何か、新しい方向は見えているんですか?
新しい音楽のイメージというか、雰囲気というか。。。
いま、みんなが迷っているような気がしているんです。

PISMO:誰も新しい方向は分かっていないと思うよ。でも、先日、渋谷のタワーレコードで僕の曲が収録されている健一郎のCDがヒップ ホップではなくクラブミュージックコーナーに置いてあったんだ。
それってと ても興味深いことで、なぜなら今まで僕が参加している音楽はヒップホップ以外のところに置かれたことがなかったからね。だから、ヒップホップ以外のクラブミュージックの人たちが聴いてくれて、ボクに新しさを感じて、好きになってくれればさらに広がる。その人たちにとっても、自分にとってもそれは新しいコトなんだよ。



西原:なるほど。
ということは、PISMOに1曲通して歌ってくれと言ったコトは、成功したということですよね(笑)?

PISMO:そう(笑)!
まさに新しい方向性だよね。
ラップとかひとつのことをやって成功するには、その中で一番にならないといけないけれど、いまはラップやったり、歌ったり、演奏したり、、、いろいろと出来る方がいいのかもね。

西原:そういうマルチな才能が生かされる時代なのかも。

PISMO:90年代には、ラップして、歌ってというスタイルはカッコいいと思われていなかったよ。
でも、いまはその逆で、ラップをして歌えるスタイルの方がクールだよね。だから、マイルスのようにどんどん新しいことを切り開いて行かないといけないんだ。

西原:その状況に対して、ベストを尽くすということですかね。

PISMO:
そう!
でも、今回は、直接で健一郎に会えたことはとてもうれしいよ。こうやってふたりでつくった音楽は、ずっと残っていくからね。

西原:
ダウンロードとか、いろいろと状況が変わってきているけれど、こういうコラボレーションもある意味新しい変わり方のひとつだよね。以前は出来なかったから。

PISMO:
新しいよ!

西原:
だから、、、希望が持てますよ。ダウンロードだけだと、音楽がつまらなくなってしまうんじゃないかと考えてしまったんだけれど、むかしはこういう音楽の作り方は出来なかったから、結局はいいことなんでしょうね。



PISMO:
これこそ「The Way of The Future(未来の音楽の創り方)」なんだよ。

西原:
ところで、シングルが出るんですよね?

PISMO:
そう!
「Won’t Hurt You」という シングル。ダウンテンポな曲なんだ。

西原:
それはいつ出るんですか?

PISMO:
5月くらい。

西原:
iTunesのみ?

PISMO:
そう!

西原:
日本ではいつ発売するの?

PISMO:
ワー ルドワイドでの展開だよ。もしかしたらダウンロードだけにするかも。それは、ボクにとって初めてのことなんだけれどね。

西原:
楽しみにしています。

─ちなみに、いまはアルバムをつくる感覚ってあるんでしょうか?

西原:
ボクはあるんですけれどね。

─いまは、ダウンロードというか一曲単位の流れになってきていて、つくるヒトによってはモチベーションが変わるんじゃないかなと思ったんですけれど、いかがですか?

西原:
なるほど。アルバムにはストーリーがあるよね、でも一曲だけだとそれがつくりづらい。
PISMOはどうですか?

PISMO:
もちろん、ボクもアルバムのストーリーをつくるコトはスゴく好き。
だけど、ニューヨークに住んでいるいまの若い世代の人達に「CDを買う か?」と聞いても、だれも「買わない!」って答えるよ。逆に「なんで買うの!?」って聞かれる。だって、みんなiPodを持っているからね。
もちろんCDプレーヤーを持っているヒトもいるけれど、だいたいはダ ウンロードのみのヒトなんだ。将来、自分がアルバムをつくりつづけるべきか、ダウンロードだけの音楽をつくるのかは悩むと思うけれど、みんながCDを買うのであればつくるよ。でも、つくるとしても限定とかにして出すかな。

西原:
ボクのシングルも1000枚 にしましたよ。
時代の変化に対応してやっていっているというのが、音楽をつづけられている秘訣なんでしょうね。

PISMO:
ジミー・ジャムとテリー・ルイスというヒトたちを知っている?
ジャネット・ジャクソンとかのプロデュースをしているヒトたちなんだけれど、彼らは「グラミー賞を取るのはクールだけど、ストリートのグラミー賞を取れたらは本物だ」って言うんだよ。
つまり、ストリートで鳴り止まない音楽ってことなんだけれど、たしかに”ストリートのグラミー賞”を取ったらそれは皆が好きって事だからね。純粋に音楽を好きで、音楽を聴く人たちに支持を得られてこそ、本当の音楽なんだと思うよ。それが自分にとってとても大事なことだね。でも、それはメインストリームの音楽とは違うと思うんだ。



西原:
たしかに!
どんどんチェンジして、新しいことにチャレンジして、一緒にやっていきたいですよね(笑)!

PISMO:
もちろん(笑)!

西原:
今日は、ありがとうございました。

PISMO:
ありがとう!




(おわり)





PISMO(ピズモ)



http://www.myspace.com/pismo
http://www.shourecords.com/

ちなみに、今回PISMOが着ているTシャツは、Camilla d’Erricoという女性アーティストのもの。今後、彼女とPISMOでコラボレーションモデルもつくられる予定だそうだ。

Camilla d’Errico
http://www.camilladerrico.com



□ 西原健一郎 × 有働幸司(FACTOTUM) 対談
(前編)http://tyo-m.jp/archives/372
(後編)http://tyo-m.jp/archives/576


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