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Interview : November 1, 2018 @ 16:43

その男、カルチャーにつき(その3)──アップリンク代表 “浅井 隆”インタビュー



“寺山修司”ひきいる「天井桟敷」への参加からその”カルチャー道”がはじまった、「アップリンク」代表の“浅井 隆”氏。


渋谷のカルチャー発信基地 的映画館「アップリンク渋谷」をはじめ、デジタルカルチャーマガジン『webDICE』や動画配信サービスの『アップリンク・クラウド』、セレクト型クラウドファンディングサイト『PLAN GO』など、場所、WEBをふくめたさまざまなメディアをプロデュース。

そして、2018年12月14日にはあたらしい映画館、「アップリンク吉祥寺」を吉祥寺「パルコ」内にオープンさせる。


いまもなお、さまざまなあたらしいモノゴトへ挑戦しつづけている氏だが、そのパワーはいったいドコから生まれているのだろうか?

そして、ドコにむかって走りつづけているのだろうか??


3回にわたって人間”浅井 隆”氏に迫ったインタビューの最終回!

トクとご覧アレ!!






─最後の質問になりますが、
浅井さんはナニを目指して動いていらっしゃるのでしょうか?
人生の目標ってナンでしょうかね?
ずっと走りつづけているような印象があります。



60を過ぎると、“死ぬ”ということが見えてくる。
20代、30代では、あまり自分の死は考えないケド、
でも、死ぬんだよね、確実に。

仕事上でつきあっている”アレハンドロ・ホドロフスキー”は89歳、
”アニエス・ヴァルダ”が90歳。
ボクが健康ならば、どう考えても自分より先に死ぬでしょう。

ナニに向かっているって、、、
基本的に生命体としては死に向かってるとしか言いようがないんだけど(笑)。
だから、死ぬまでにナニができるか?しかないよね。


─例えば、いまであれば、吉祥寺の“場”をつくられたり、
そこから先があるのかもしれませんが、
とどのつまりは“映画”、なんですかね?


もちろん好奇心があるから、ほかのコトをやってみたいともおもう。
でも、いちばん知見があるのが映画で、
たぶん“映画館をつくる”ってコトにいちばん興味があるんだよ。

自称だけど、“未来の映画館プロデューサー”って言いだしたら、
いろいろ相談がくるんだよね。
映画をプロデュースするって意味では、ボクより長けている人間が世界中にいる。
でも、”映画館をプロデュース”っていうコトでは、
世界のなかでもけっこうタメ張れるかなって自信はある!
というコトで、
映画館をつくりつづけるのはオモシロいかなと。


─なるほど。


今回、吉祥寺の映画館のライティング・デザインを
ニューヨークに住んでいる「LOOP Lighting」の”中村亮子”さんに頼んだんだけれど、
彼女が、回遊型で5スクリーンもあるアートハウスって
「ニューヨークにもないコンセプトだ!」
と言ってくれていて、
そういう意味では「そっか!ニューヨークにもないんだな!!」ってのは、
とりあえずわかった(笑)。
だから、映画館をプロデュースするってことが職業になるかは別だけれど、
今後もやってみたいですよね。


─なかなか聞かない職業ですよね。


それは、場所のプロデュースであるともおもう。
だから、吉祥寺につくろうとしているのは、
映画を見せるだけの場所ではなく、
回遊型になっているので、空いている所があれば、、、
例えば、
エスカレーターの横が空いていたら、タロット占いのスペースをやったり、
あるいはストリート・ミュージシャンが歌いに来てもいい。
ナンでもアリかなと。。。
さすがに物乞いまで出てくると問題なんだけれどね(笑)。





─いわゆる”カオス”な状態ですね(笑)。


そうそう!勝手にグラフィティを描かれても困るから、
それは阻止するけれど(笑)。
やろうと思ったら何でも出来る場所、ハコなので、
そういうことをやっていきたいかな。


─それは”未来”を感じますね!


中央線の一部には、
ボクが「天井桟敷」に入団した頃のような70〜80年代カルチャーの遺伝子が、
まだぽつんぽつんとあるかなという感じはするよね。
六本木、青山、西麻布とはぜんぜんちがうし、
下町ともちがう。


─独特ですもんね!中央線沿線のカルチャーって。


オモシロいよね!
東京ダウンタウンで。


─ぜひ、”カオス”な「アップリンク吉祥寺」になることを祈っております(笑)!


“カオス”なところからしかカルチャーやアートは生まれない!
そこは確信しているのでね。
クリーンにクレンジングされた街とか考え方からは生まれない。
ごちゃまぜのなかからしか生まれないんだよ。
それはまちがいない!


─むかしの新宿がそうだったようにでしょうかね?


たぶん、ボクが上京してきた74年くらいは、
東京は全部が”カオス”だったし。
いまも”カオス”は探せばいっぱいある。
例えば、どんどん外国人が増えてきていて、
池袋のある地域とかは日本人があまりいない地域になっているとか。。。


─北池袋の方とかですね?


むかしには想像できなかったような、
“移民の街”になってきているじゃない?東京が。
もちろんいい意味で、オモシロい意味でね。


─ということは、
またあたらしいカルチャーが生まれてくるのでしょうか?


その辺りから、いろいろ生まれてくるとおもうよ。
だから、早く六本木ヒルズとかも廃墟になってくれれば、
オモシロくなるとおもうんだよね(笑)。


─ははは(笑)。


あそこがペインティングされ放題で、
スケボーのランプがバーンと出現してさ。。。


─やってほしいですよね(笑)!!


意図的に迷路としてヒルズはつくられているからさ、
角を曲がると立ちんぼのオネーちゃんがいたりとか。
上のビルで客引きやってて、引っぱりこんだりとか(笑)。

ヒルズが松本大洋の『鉄コン筋クリート』の世界みたいになったとき、
日本はすごく元気な感じがするけれど。


─なるほど。


2020年の東京オリンピックに向けて、
”ジェントリフィケーション”でさ、
「キレイにして行こう!」とするのは活力を単に削ぐだけだし。
クラブで夜踊らせないっていうのもあり得ない。
信じられないよ(苦笑)。


─ホント!そうですよ!!


“カオス”を自然発生的につくるその度量が、
政策的にも、行政的にもあるベキなのでね。

ロンドンとかは、いまはキビしくなったけれど、
”スクワッティング”といって、
ダレも住んでいない空いている家とかに勝手に入りこんで、
海賊ラジオ局とかつくっていたり。。。
そんな80年代、90年代のカルチャーをボクも見てきたけれどね。

じゃあ、東京も空家問題とか言ってるのであれば、
保育施設とか、手を挙げるヒトにどんどん貸せばいい。
そんなもっとオモシロいことをやればいいんだけどね。
でも、逆方向にいきつつあるのが、
いまの東京、日本だよね。


─それはスゴく感じています。


幸いパルコは、かつて”増田通二”という社長がいたワケだけれど、
彼がつくったパルコ文化、
そういう土壌がまだ一部のスタッフに引き継がれている感じはするんだよね。
スペイン坂の「パルコギャラリー」とか、
内容はどうであれ、ああゆうコンセプトのものを置いていたりするし。
ルミネみたいなストレートな物販ビルじゃなく、
街をオモシロくしようとしていて、
多少カルチャーをとりこみつつ、
”カオス”要素を入れようとしているのがパルコかな。


─なるほど。


だからこそ、パルコとの共同事業ではあるけれど、
「運営は、アップリンクにまかせる!」と言ってくれたので、
そういう意味では、パルコのスタッフではできない企画をやってくれと託された、、、
とは、表向きには言われていないけれど、
そうおもってるよ。

たぶん、パルコがやるようなことをやっていたら失敗だなと(笑)。
パルコの社長やスタッフがアッと驚くことをやって結果を出す、
きちんと人気の場所にするというのが使命とおもっているし、
ボクたちがやっているオモシロいコトを突き通せばいいんだ、
とはおもっているよ。


─ぜひ、突き通してほしいです!
DJイベントとかもオモシロいかもしれないですね。



あ!受付にミラーボールがあるんだ(笑)。


─パーティー感ですねー(笑)。


受付のカウンターに
ターンテーブルをデフォルトでセットします(笑)!


─お願いいたします(笑)!!


じつはロビーの音楽を、
”デレク・ジャーマン”の音楽をやっている
”サイモン・フィッシャー・ターナー”にオリジナルで依頼していて。。。
“ブライアン・イーノ”の『ミュージック・フォー・エアポーツ』って名作があるじゃない?
だから、『ミュージック・フォー・シネマロビー』って言うコンセプトで、
トラックをつくってもらっているんだよ。


─ソレ!いいですねー!!


「アップリンク吉祥寺」に行くと、
『ミュージック・フォー・シネマロビー』がアンビエントで流れていて、
で、そのスキマでDJが入ってくる(笑)!


─ぜひ(笑)!
あたらしい吉祥寺カルチャーが生まれそうな気がします。
期待しています!







(おわり)
>>>その1はコチラ
>>>その2はコチラ







「アップリンク吉祥寺」オープン日決定!





オープン日:2018年12月14日

住所:
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-5-1 吉祥寺パルコ地下2階
「アップリンク」オフィシャルサイト:http://www.uplink.co.jp/

>>>詳しくはコチラをチェック!!!



□プロフィール

・浅井 隆(あさい・たかし)





アップリンク代表/未来の映画館プロデューサー。
1987年、有限会社アップリンクを設立。
デレク・ジャーマン監督作品をはじめ、国内外の多様な価値観を持った映画を多数配給。
2006 年には渋谷区宇田川町に映画館、ギャラリー、カフェレストランを一か所にあつめた総合施設「アップリンク渋谷」をオープン。2011年にデジタルカル チャーマガジン『webDICE』、2016年には動画配信サービス『アップリンク・クラウド』をスタートし、映画を中心としたさまざまなインディペンデ ント・カ ルチャーを発信しつづけている。


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